狸の話
私が忙しい要因の一つは、娘が一年半ほど前から夕方のアルバイトを始め、車をシェアしているために週に二度ほど娘の送り迎えをしているからです。
私に似て、人との摩擦を嫌う性格の娘は職場に近い駐車場ではなくて、夜になると車がほとんどいなくなってしまう離れた駐車場を待ち合わせ場所に指定しました。なので、私も車が多くても三、四台、時によってはゼロ台しか停まっていない駐車場で、彼女が来るのを15分くらい待つことになります。退社時間からそのくらいの余裕がないと不安なのでそうしているのですが、そこは駐車場とは名ばかりで、沼地と雑種地の間の広い場所に砂利を敷いて明かりのポールを何か所かに立てただけものでした。
一年前のある夜、山にも似た雑種地の近くに車を停めて、手持無沙汰に待っていた時、白いうさぎが左手の方にいるのに気が付きました。そろそろとカメラを取り出そうともぞもぞしている間に彼または彼女は車の真ん前を通って右手の藪の中に消えていきました。しばらく興奮冷めやらずです。
またある日は二匹の、多分狸だと思うのですが、左手の沼地の藪の中から出てきました。しばらく話をしているように一緒にいたのですが、一匹は右手の山の方に入っていき、もう一匹は左の藪に戻っていきました。どんな話がなされたのか、気になりました。また、ある時は二匹とも右手の山に入って行った時もありました。
そして極め付きは、停めた私の車の左横で、狸がおしっこをして去っていきました。それは確かに狸でした。
また、ある時はオコジョのような小さな動物が走り去るのも見ました。それが最後だったと思います、待っていたのに今年の冬は一匹も見ませんでした。
果たして、今年の初夏にはカエルの大合唱は聞かれるのでしょうか。