2021年8月15日日曜日

 何もない日常なんてない

 じ治療薬ボラギノールのCM のセリフはこんな言葉だったと思います。なぜ正確に覚えていないかというと、きれいな女優さんに見とれて、ちゃんと言葉を咀嚼していなかったのです。

 それがある日突然、はっと気づきました。この人、痔で苦しんでいるのだ。いつも痛いのだ。『何もない日常なんてない』。

 私も、膝が痛い、足が痛い。肩が凝る、腕が上がらない。『何もない日常なんてない』、毎日は不足との戦いなのだ。

 だから、私も、「痛い」というのを止めようと思いました。誰に言っても治るわけでもないし、相手がつらい思いをするだけです。

 昔、書いた長崎の神父さんのお母さんの言葉が思い出されます。「つらいとか苦しいという言葉は神様だけに言うんだ」と息子を諭したのです。

 今思い出しても立派な言葉です。皆さん、日々の中で、いろんな哲学を体得していられるのに、私はこの年になって、初めて自学しています。

 本 山菜のとり方と料理の仕方、中井將善 著、1987(昭和62)年発行

 野草を食べている話をしましたが、先日散歩の途中で、虫がいっぱい穴をあけている雑草に出会いました。いたるところにあるのです。これだけ虫が食べているのだから絶対美味しいに違いないと思って、インターネットで調べてみよう思いましたが、名前がわからないと調べられない。『食べられる野草』と入れて、探す方法もありましたが、『そういえば、昔買った本の中に野草の本があったっけ』と思い出して、引っ張り出してきたのがこの本です。

 昔も食べられる野草には興味があったのです。でも、忙しいと野草どころではありません。それでも興味はあって、食べられそうなものは空いた敷地に植えていたのです。

 今回、見てみると、家にあるのも結構あります。セリ、ミョウガ、三つ葉、食べないけど生えてくるものはヨモギ、山芋、フキ、ノビル、ドクダミ、ツユクサ、タンポポ、オオバコ、アザミ、など。中でもドクダミはいくらでも生えてくるので、何度か試してみましたが、『お口に合いません』でした。

 で、今回見つけたのは、多分『スイバ』と」いうものです。地元で『スカンポ』とも言ったこの名前は子供のころ食べて、酸っぱくって嫌いになったという思い出があります。

 他に試してみたい野草は、クズ、スベリヒユ、ツユクサ、ムラサキツメ草、ヨメナ、レンゲソウ、など。今度見つけたら、本を片手に摘んで来ようと思います。今の季節だと多分、クズですね。密生地を知っています。

 それよりも興味をひかれたのは著者の経歴です。

 著者、中井將善氏は昭和12年生まれ、亡夫が15年生まれで、生きていれば81歳ですから、84歳前後でしょうか。立命館大学の経済学部を卒業というのからして波乱を感じさせます。山之内製薬に勤めながら、薬草の研究をしたようです。退職後、磁気治療器を開発、帰郷して、自然食をはじめ、健康酒、健康茶、野草料理の研究をし、『自然に親しむ会』などのリーダーをし、草心流家元として、『家庭一輪花運動』を展開、ここまでなら何とかわかるのですが、その先、木工芸品の自作で、郷土伝統民具品の伝承に努め、大型路線バスの廃車を民芸調に改装して、山菜料理、手打ちうどんの店を出し、趣味で釣りや狩猟をし、釣りの本も出しているようです。人生、めいっぱい生きている感じの人ですね。

 この本の最後には山菜料理の仕方とか、専門的な見分け方とか、さらに多くの食べられる野草名、毒草類のリストも載っています。