2015年5月28日木曜日


英国ミステリー噂話、なぜ、みんな、金持ちなの

 以前にも書きましたけど、ポアロもシャーロックホームズも、出てくる人は金持ちが多くって、『なんで探偵業でそんなにお金が入るんだろう』と不思議に思いますよね。あのあと、考え続けて、結局イギリスは国として大もうけをしたから、景気が良かったせいだろうと結論づけました。
 でもそんなはずないんです。『生活の世界歴史』第十巻を読むと、貧しい人々はいっぱいいたんです。金持ちに仕えるメイドさんや執事たちもたくさんいまして、メイドは貧しい娘達が手っ取り早く得る職業だと書いてありました。
 そう言えば、昔、NHKで、BBC『Lark Rise to Candleford』という、貴族に支配されているラークライズという村で、貧しい農民の娘として育った女の子が、口減らしの意味もあってキャンドルフォードという町の郵便局に働きに行くという設定の物語を放送していましたが、あれは意外と現実に近い物語なのかもしれないと思います。イギリスは『ダウントン・アビー』みたいな世界ばかりではないのです。
 コロンボは制作側が意図的に金持ち世界を舞台にして、彼らの鼻を明かす事で、視聴者の胸をすっきりさせるという手法をとったと聞いていますが、同じ製作陣で作られたという『ジェシカおばさん』もそんな感じです。英国ミステリーにもそんな手法があったのでしょうか。
 でも、それも不自然だから、視聴者側はかえって、独り身のフロスト警部やブラウン神父やバーナビー警部やオックスフォードミステリー、ウイッチャーの事件簿など、現実に近いような物語の方に引き寄せられて行くのではないかと、視聴者の一人として私は感じるんですが、いかがでしょうか。

2015年5月21日木曜日


英国ミステリー噂話、フロスト警部の作者、R・D・ウイングフィールド

 私はテレビ映画化されたものしか見ませんが、それぞれの作家が、それぞれの個性的な主人公を描き出しています。中でも、デビッド・ジェイソンの名演技のせいもありますが、フロスト警部は個性的です。
 日本語の題名はフロスト警部なので、最初は『ああ、警部の名前か』と思いましたが、原題を見てみると、それだけではないと気がつきます。『フロスト』って、英語で『霜』の事なんです。そして原題は『タッチ・オブ・フロスト』。訳しづらいですよね。最初、『霜の手触り』と訳しましたが、フロスト警部に後ろからポンと肩を叩かれたような、ヒヤッとするような、そんな感覚的な題名のような気がします。だから、『この作家は言語的な感覚のある人だなあ』と思ったのです。
 Rodney David Wingfieldというのがフルネームのようです。
 1928年6月6日、ロンドンのホックニー生まれ、というと、私より20歳上。2007年7月31日、79歳で亡くなったようです。
 学校はクーパーズ・カンパニースクールというところらしいですが、スポーツと芸術に秀でた1536年創設の古い学校のようです。第二次大戦中は目が悪かったために兵役免除になっていて、南西部サマーセットのフロームというところに疎開していたようです。その後、自宅近くで、様々な事務の仕事を経験して、ペトロフィナという石油会社に職を見つけて、そこでラジオの脚本を書いたようです。1968年、一作がBBCに認められ、他に二作品も売れたので、ここで会社の仕事を辞めたようです。40歳くらいでしょうか。
 彼のラジオ脚本は、出来が良いと評判だったようです。張りのある、時に辛辣な会話、良く練られたキャラクターと、興味を引く動き、それで、聞く人を引っ掛けて、迷わせて、特有のトリック、曲折、驚きへと導くのです。まさにフロスト警部の世界です。
 1972年、マクミラン書店が彼に本を書くように勧めてくれ、彼はFrost at Christmas を書いたのですが、これはダメを出されて、後にカナダの出版社から出されました(1984)。最初、彼は主人公が、最後に死ぬという構成にしていたのですが、勧められて、続く感じにして、その後、二作品を書きました。A Touch of Frost (1987)、Night Frost (1992)。
 1977年にはラジオドラマの『Three Days of Frost』が、友人のレスリー・サンドによって演じられました。1989年になって、やっと本がイギリスで出版され、1992年にデビット・ジェイソン主演でテレビドラマ化されます。しかし、ウイングフィールドは映像化にあまり熱心でなく、デビッド・ジェイソンに文句があった訳ではなかったが、『彼は、私のフロストではない』と言ったそうです。
 Hard Frost (1995)、Winter Frost (1999)が出版されましたが、ウイングフィールドは本を書く事を楽しめず、ラジオ脚本を書く事を好みました。彼は20年間で40本のラジオミステリーやコメディの脚本を書きましたが、ラジオの衰退やフロスト本の成功で、1988年には辞めてしまいました。個人的にはあまり表に出る事を好まず、写真さえ撮らせなかったそうです。
 2002年には前立腺がんを宣告され、同時期に、最後となる、A Killing Frostを書き始めます。出版された(2008)年には、もう既に彼は亡くなり(2007)、2004年には、1952年に結婚して、フィリップという息子をもうけた妻フィリス・パッテンも亡くなり、そしてフロストも、と、まさに、彼は身の回りをすっきりさせた訳です。ジェイソンの演じたフロスト警部と違って、神経質なきっちりした人だったのかも知れません。
 全作品は今、Eーブック・フォーマットで読めるそうです。
 2011年、家族の了承を得て、ジェイムズ・ヘンリーのペンネームで出版された初期の三冊、First Frost, Fatal Frost、Morning Frost,が出版されたようです。
 で、なぜ私が作品名を英語にしたかというと、日本名にすると作者の機智が伝わらないのです。フロストというのは警部の名前ですが、英語の『霜』と掛詞になっているのでしょう。そうすると、
First Frost, は『初めての霜』と訳せます。
Fatal Frost、は『死を招いた霜』
Morning Frost, は『朝の霜』
Frost at Christmas、は『クリスマスの霜』
A Touch of Frost、は、むずかしいけど『霜の感触』でしょうか?。やはり、『霜の手触り』?
Night Frost、は『夜の霜』
Hard Frost、は『固い霜』
Winter Frost、は文字通り、『冬の霜』
A Killing Frost、は、『殺人霜』でしょうか。それとも『フロストを殺す』でしょうか

2015年5月15日金曜日


英国ミステリー噂話、噂のアンソニー・ホロヴィッツ

 英国ミステリーを見ていると、この人の名を聞かない日は無いほどで,いやでも興味を持たされます。
 それもそのはず、ウキペディアに出ている主な作品表には、AXNミステリーで放送している、それも有名な三つのシリーズ名が出ているのです。もちろん、全部の作品を書いている訳ではないようですが、これだけ有名になるという事は、才能がファンに認められている訳ですよね。ちなみに、彼の肩書きは作家、脚本家、児童向けの作家ですが、これを見ると、デレクターとか、プロデューサーとかの肩書きも増えて来ているようです。
インジャスティス 〜法と正義の間で〜 (2011) 脚本/製作総指揮
刑事フォイル (シーズン5) (2007)     企画
刑事フォイル (シーズン4) (2006)     企画
アレックス・ライダー (2006)            原作/脚本
刑事フォイル (シーズン3) (2004)      企画
刑事フォイル (シーズン2) (2003)      企画
刑事フォイル (シーズン1) (2002)      企画
ギャザリング (2002)                 脚本
バーナビー警部 (1997〜2011)           脚本
名探偵エルキュール・ポアロ (1989〜)       脚本
プライベート・アイズ/100カラットの報酬 (1989)<未>脚本/原作
 イギリスの南東部、ミドルセックスのスタンモアという所の裕福なユダヤ人家庭に1955年4月に誕生したらしい。現在、60歳。私とそんなに変わらないのに、まるっきり違って、活躍していますね。
 子供時代は重圧も多く、あまり幸せではなかったようで、本ばかり読んでいたようです。特に、ホラーっぽいものが好きだったようです。
 11歳で、ハロー校の寄宿舎に入れられ、ここではいじめにもあっていたようです。13歳で、ラグビー校へ移るのですが、ここで書く事が好きという事に気がついたそうです。
 インタビューでは、8歳ころから、書いている時が一番幸せと感じたと言い、1977年には、ヨーク大学の英文学、美術史をlower second class degree(低い、二番目クラス)の成績で卒業とあります。ここまでは私と同じなのですが。
 お父さんはハロルド・ウイルソン首相の取り巻きの政治家や事業家達と交友があったようで、破産したとき、全財産をスイスの銀行に隠したようです。ホロヴィッツが22歳のとき、癌で亡くなるのですが、家族がその後何年探し続けても、その遺産は見つからなかったようです。まさにミステリー。
 1988年にはジル・グリーンと言う女性と香港で結婚して二人の息子をもうけ、セントラルロンドンに住み、刑事フォイルなどでは、夫婦一緒に仕事もしているようです。
 今は、ロンドンに住むという事は住居が高騰していて大変らしいですよ。
 またキッド・スケイプという、子供を守る運動もしているようです。
 その他の仕事経歴は英文のウキペディアにたくさん書かれています。

2015年5月7日木曜日


英国ミステリー噂話、ルイス警部と結婚した、ドクターホブソンClare Holman

 1964年、ロンドン生まれの51歳だそうです。夫はハワード・デービスというディレクターで、2005年にコーンウオールのストラクトンというところで結婚したようです。40歳頃でしょうか。ウエールズを含む南部って役者さんとゆかりがあるんですね。ケルト民族だからでしょうか。
 最初はテレビドラマの『レインボウ』というのに出演したようです。その後キャリアを積み重ねて、1996年の『誰がバージニアウルフを恐れるか』で、『1997年度ローレンス・オリビエ劇場賞、最優秀助演女優』にノミネートされたようです。
 その他にもいろんな役を演じているようですが、特筆すべきは、というか、私が知っているのは、モースとルイスのオックスフォード・ミステリーの他には、ミッドサマー・マーダーズに二回、違う役で出ているようです。私はそのうちの一つだけ、はっきりと覚えているのです。だめな男を支える喫茶店のしっかりした女主人役です。ぴったりの役だったと思います。もう一つは気がつきませんでしたが、これを探すのも楽しみのうちですね。『あ、あの人が出ている』とか、思うと、親しみがますます湧いてくるのです。
 音楽と演劇のギルドホール学校というところで先生もしているようです。