2022年12月24日土曜日

 やせがまん

 『追悼・山本圭さん 共演した羽田美智子が偲ぶ「自分に厳しく、人には甘く優しい人」』という記事の中で、『女房が病気ということは言いたくないんだ。心の中に留めといてくれ』って。同時期に野際さんからも『病気のことは隠しといてね』と言われたのです』というくだりがあります。

 野際さんも山本圭さんも、もちろん羽田さんも成功した一流の俳優さんたちです。『仕事に成功した人たちはこういうやせ我慢をしているんだなあ』と思いました。

 すぐに『ケガをした、あそこが痛い』と、嫌なことから逃げ出す算段をしていた若いころの私は本当に『不熟につき』だったと思います。

 さすがにこの歳になって、世の中を見、考えるようになって、痛いところはふえましたが、言い訳はしないようにしています。たいていの頼まれごとは引き受けるようにしています。

 『心の拠り所』の続きですが、長崎の牧師さんのお母さんの話、牧師さんがきつい仕事に音を上げて愚痴を言ったとき、「つらいとか苦しいという言葉は神様にだけ言うのだ」と諭された話。私の周りの人たちはみんな優しくって、「つらいか、たいへんか、いいよ」という人たちが多くって、とまた言い訳をしてしまいそうです。きっと、苦言を呈してくれる人たちからは離れていって、自分の殻に閉じこもったのでしょうね。

 だから、私の『心の拠り所』は、亡くなった両親だったり、祖父母だったり、甘やかしてくれた人たちばかりなのでしょう。

 それでもこれを持っていると『やせ我慢』もできるのではないかと思います。

2022年12月20日火曜日

 ドラマの話、執事 西園寺の名推理

・原作はなし。

・パーフェクトすぎる執事による最高のミステリー・エンターテインメント。

・出演者は上川隆也さん、八千草薫さん他。

執事 西園寺の名推理(2018年、テレビ東京)テレビ東京系「金曜8時のドラマ」枠で放送されたテレビドラマシリーズ。

 『執事とは―

ハウスキーピング、食事やお茶の給仕、新聞のアイロンかけから、テニスのお相手はもちろん、使用人の監督、財産の管理まで、お屋敷におけるすべてを仕切ります。それも、極めてスマートに…。ご主人様にどうしたら喜んでいただけるか常に気を配り、フル・オーダーメイドで、あらゆることをこなす、“究極の秘書”です。』

 『主人公・西園寺一は、「パーフェクトな執事」と言われる男。

計り知れない能力と、完璧な心配りで、主人のいかなる望みにも応える“名匠”であり、絶対的な忠誠を貫く、現代の“騎士”です。そんな西園寺が仕えるのは、アフタヌーン・ティーがよく似合う、優雅で上品な“奥様”。

好奇心旺盛で少しだけ天然キャラ、「守ってあげたい」オーラいっぱいの貴婦人。

西園寺は、当家の主人が亡くなる前からここに仕えており、奥様と深くて厚い信頼関係で結びついています。

奥様の為なら、文字通りたとえ火の中、水の中、すべてを賭して尽くします。』

 『そんな二人が、殺人事件に出くわします。

事件に疑問を感じた奥様の意思を汲んで、西園寺は独自の捜査を始めます。

もちろんいくら有能な執事とはいえ、事件捜査には素人のはず…ところが、西園寺に不可能はありません。その知識と能力で、鮮やかに事件の謎を解き明かしてしまうのです。

パーフェクトすぎる執事による最高のミステリー・エンターテインメントをお楽しみ下さい。』

とネットで調べた説明文にはありました。

 伊集院百合子役、これが八千草薫さんの遺作なのではないかと思っていましたが、『やすらぎの刻〜道(2019年 - 2020年、テレビ朝日) - 九条摂子役』が遺作だそうです。

 で、なぜこんなに現実味のない、嘘っぽい作品が好きかというと、主演の上川隆也さんが名優であることは間違いなく、嘘を嘘と感じさせない演技力があるからです。そして、八千草薫さんは亡夫の憧れの女優さんで、亡くなるまで、堅実な演技を見せてくれていました。

 それと、この『献身』というテーマに、この歳になって気づくところがあったのです。

 まあ、伊集院家が大金持ちで、生活に困らないから、亡くなった旦那さまがあちこちで人助けをして、さらに、奥さまである百合子さまが老後の生きがいのように人助けをしている。それは人生はそうでもしていなければ、時間を持て余してしまうだろうし、生きがいを感じられないだろうと思うのですが、この優秀な執事はどうして、こんなにも献身的に奥さまに仕えていられるのだろうと思ってしまうからです。ゲスな私等は、「奥さまの遺産は当然執事たちの元に入るだろう」などと思ってしまいがちですが。

 『私は奥さまの執事ですから』という歯の浮くようなセリフをいうのは、決して下心があるからではなく、本心なのだと気が付くと、なんとなくわかってくるものがあります。つまり、この献身も西園寺一の生きがいなのだと。奥さまの信頼にこたえる献身以外に、彼の才能をかけるような生きがいがないのです。

 百合子さま亡き後、西園寺はどうしているだろうかと気になってしまいます。

 運転免許証

 私は今74歳ですが、亡夫は74歳の時に運転免許証を返納しました。亡夫は脳梗塞をした経緯がありましたが、運転はできていましたので、どうしようかと話し合いました。脳梗塞をした人には『主治医の許可がいる』という一行がありましたので、『先生に責任を押し付けることになってしまってはいけないだろう』という結論に達しました。 

 それからは私がどこへ行くにも運転手をしたのですが、今まで思い通りに出かけていた人がいちいち都合を聞きながら、乗せて行ってもらうという生活は、見ていても元気を削ぐような気がしました。

 亡くなる80歳の頃には、少し認知症気味になっていて、免許証はなくてよかったと思いましたが、運転免許証って、ある意味、元気の素、現役の印のようなものだったのではないかと、今自分がその判断すべきあたりの歳になって、『どうするか』となった時に未練が出てしまいます。

 友人は旦那さんに頼って、「もう運転はしない」と言っていましたし、近所の男性は「75歳で返納すると決めていた」と言っていました。また、近所の女性も「そろそろ、返納しようと思う」と言っていました。

 ニュースでも、老人が加害者となった事故のニュースが大々的に取り上げられるので、プレッシャーになります。でもこの間の人は、老人と言っても60歳だったみたいです。だから、年齢はあまり関係ないのです。

 多分、友人も近所の方たちも、脳梗塞とまでは行かなくっても何かしら体の不調を感じて気弱になったのだろうと推察します。というのは、私も今年の暑い夏の盛りに、運転をしていて貧血症状に見舞われたのです。『止まるべきか、どうしよう』と思いながら、深呼吸をして乗り切ったことを鮮明に覚えています。『事故が多かった』と書いた暑い夏のことです。

 それ以来、私の運転と体調管理はさらに慎重になりました。体調不良の娘に代わり孫の送り迎えをしている私は、今、免許証を返納するわけにはいかないからです。思うに、体調不良の娘も、運転していて不安に感じるときがあったから、運転をしなくなったのだろうと思われます。隣に誰かが乗っているときは運転することもあるのですから。

 で、結論としては、体調管理を万全にして、車間距離を十分にとるなど、安全運転を心がけ、後、2、3年したら、自動ブレーキのついた車に乗り換えることにしようと思います。

 あと、2、3年、頑張らなくては。

2022年12月15日木曜日

 心の拠り所

 私が『宗教は詐欺だ』と思っている話は何度も書きました。

 でも、心配事はいつもついて回っています。そんな時、私は、『あの人はどうやってこれを乗り切っているんだろう』と思います。

 私の場合は、亡くなった人に話しかけます。父だったり母だったり、気の合わなかった姑だったり、近頃は夫だったり。生きているときは心配を移し替えてしまうようで言えませんでしたが、今は想像の中なので、遠慮なく言えます。もちろん答えは返ってきませんが、それで、自分もそれなりの覚悟はできるような気がします。つまり、『なるようにしかならない、後は野となれ山となれ』という事ですが。

 私のアメリカの友人は、とてもしっかりした頭のいい女性ですが、彼女もそんなに宗教にこだわっているようには見えません。

 最近、『ウクライナの人たちが心配ですね』とメールを交換し合った時に、『私も窓にろうそくを灯している』と返事がありました。そう言えばと思いました。何か心配事があると彼女は窓にろうそくを灯していました。「これは昔、開拓者たちの家族が、暗くなってしまってもまだ帰って来ない夫や父を心配し、『我が家はここよ』と知らせるために窓に灯したのよ」と教えてもらったことがありました。そう言えば、『大草原の小さな家』でも雪の中を帰ってくるお父さんを待ちながら、窓にランプを灯していたことを思い出しました。

 人や宗教に頼っても仕方がないことでも、人は心の不安を何かに移し替えたいのですね。でないと精神的に参ってしまうから。なんでもいいのです。お化けでも、ろうそくの火でも。でも他人はダメです。不安を増幅したり、他人を押しつぶしたり、宗教家でもお医者さんでも親身にとらえて同調する人だったら、長くやってはいけないでしょう。

 お医者さんは科学的にとらえるしかないのです。そして宗教家は移し替える場所として神様仏様を持ち出すのでしょう。

 人と同じではなくてもいいから、自分の心の移し場所を持っていることは強みのような気がします。

2022年12月6日火曜日

 コロナ感染拡大、再び

 中国で、コロナ感染阻止の厳しいロックダウンで、死者まで出て、習近平さんや共産党を批判するデモが全世界で起きました。

 国の中枢としては 何とか国民を守るという気概の下に、できるだけ厳しくと思っているのでしょうね。下の人たちはその命令を守るのが自分たちの務めと思って、広範囲に検査を行い、疑わしいものを発見すると、街中を消毒して、国民をまるで囚人のように閉じ込めたのでしょう。囚人の方が食事を与えられるだけまだましという話もありました。想像するだけできつい話です。

 我が家のようなアレルギー家族では、その消毒の段階ですでに病気になるか死んでしまうでしょう。つまりコロナ以前に、食料不足で餓死する以前に、閉じ込められる以前に息ができなくなるはずです。

 それが、人間の多様性を認めないたった一握りの人々の考えで強制的にいきわたってしまうという事は、考えてみれば恐ろしい話です。

 他方、日本はというと、ゴ―ツートラベル等コロナの規制が少し緩和されたと思ったら、またぞろ新規感染者が増えてきました。ワクチン接種も大分行き渡ったので、大丈夫だろうという判断もあるのでしょう。

 でもです。コロナ経験者としては、なぜこんなにpcr検査が有料だったり、受けづらかったりするのだろうと思います。なぜ、まずお医者さんに行って、怪しいと判断されてからでないと受けられないのだろうと、外に並んでpcr検査を受けている中国の人々を羨ましく思いました。まず、よっぽど痛くないとお医者に行かない私は絶対に受けられない仕組みです。

 それで、我が家では一人だけがpcr検査を受けました。陽性だったので保健所に通達されたと思いますが、自宅隔離でした。ほかの家族も高低の差はあるものの熱が出たので、新規感染者だったと思います。私は7、8度だったので、のんびりと寝たり起きたりして過ごしていたと前にも書きました。つまり我が家では6人感染して、自宅隔離をしていても、新規感染者と記録されたのは一人です。つまり、自治体の広報などで、新規感染者として出ている人数は眉唾なんじゃないかと疑ってしまいました。我が家の基準に合わせれば、その6倍はいるという事になります。

 それもこれもpcr検査が受けづらい仕組みになっているからです。まあ、どうせお医者に行かない私にとってはいいことですし、このざるの様な仕組みが自由主義のいいところなのでしょう。

2022年11月23日水曜日

 人助けの記録

 『手を差し伸べたのは日本のみ…歴史に埋もれた知られざる“ポーランド孤児”救出の軌跡

第29回FNSドキュメンタリー大賞』という見出しを見て、ウクライナをずっと見ていて何もできないおばあさんとしては読まないわけにはいかなくなりました。

 そういえば、昔「シベリア出兵」という歴史を学んだ気がしますが、結局何のために出兵したのか、ずっと疑問に思っていました。あの頃の話のようです。『「シベリア出兵」とは、1918〜22年にかけて、日本、アメリカ、イギリス、イタリアなどが、シベリアに軍隊を送ったできごとです』。

 ポーランドは『1918年11月11日に第一次世界大戦が終結すると、ヴェルサイユ条約の民族自決の原則により、旧ドイツ帝国とソビエト連邦から領土が割譲され、ユゼフ・ピウスツキを国家元首として共和制のポーランド国家が再生した。

 1920年にはソビエト連邦に対する干渉戦争の一環としてソビエトへ侵攻し、ポーランド・ソビエト戦争が発生した』。それに勝ってしまったため、『この戦いでソ連各地にいたポーランド人が迫害の危機に陥り、子どもたちだけは母国へ戻したいとウラジオストクのポーランド人により「ポーランド救済委員会」が設立された。1919年にポーランドと国交を結んだばかりだった日本は、人道的な見地から救済に乗り出した[14]。同時期に、シベリアやソ連にいたユダヤ系ポーランド人により「ユダヤ人児童・孤児の救済」は全世界に向けて救援援護を発信していた。ソ連の占領下では、100万人以上がシベリアや中央アジアに強制移住させられた』。

 前に『マーラが与えた人生』で見たラトビアやエストニアの話と同じですね。

 ところが、『ポーランドは1939年に第2次世界大戦が勃発し、西からナチスドイツ、東からソ連に占領され、国が消滅する。1945年、ドイツが降伏して戦争が終結するが、その後はソ連の影響下に置かれ、長い間抑圧を受けた。民主化を果たし、ようやく自由を手に入れたのは30年前のことだ』。そしてその時にはもう、日本が救済に乗り出した話は忘れ去られてしまっていたのだそうです。

 その話が再び脚光を浴び、掘り起こされるきっかけになったのは、『2002年、平成の天皇皇后両陛下がポーランドを訪問された際、首都ワルシャワの日本大使公邸に高齢のポーランド人たちが集まった。彼らは、元ポーランド孤児たちで、両陛下に感謝の言葉などを伝えた』

 当時通訳をしていたポーランド在住のジャーナリスト・松本照男さん、『松本さんとともに調査したポーランド国立特殊教育大学のビエスワフ・タイス教授は、「1945年以降のポーランドでは、シベリアを含め、ソ連を政治的に悪く言うことは禁止されていました。ポーランド孤児の話は、この禁止項目に触れていたのです」と明かす』

 『映画監督のエバ・ミシェビッチさんは、生前の孤児にインタビューして映画を作り、そのオリジナルテープを残していた。』

 こうして『100年前の事実を解き明かすため、取材を続けること6年。忘れられた歴史を今に伝える貴重な資料が次々と見つかった。そこからは“親のいない子どもたちを慰めようと各地から寄せられた善意”“伝染病に感染した子どもを救うため命を懸けた若き看護婦”といった私たちの知らない100年前の日本人の姿が浮かび上がってきた』。

 こうして寒いシベリアで、預けられた孤児たちはウラジオストックから三回に分けて越前敦賀港につき、合計760名あまりが大阪と東京の受け入れ先で、養生し、無事欠けることなく故国に帰ったのだそうです。

 こういう人助けの話をたくさん子供たちに聞かせてあげれば、戦争をしたり、いじめたりする人たちは少なくなるのではと思うのは老人だからでしょうか。

2022年11月19日土曜日

 ドラマの話、『ザ メンタリスト』

 ギャオで放送されるたびに見ています。だから、シーズン2と3は二回ずつくらい見ています。何度見ても面白いのです。

 主人公のパトリック・ジェーンを演じるサイモン・ベーカーがハンサムだからかというとあまり私の趣味ではありません。それでも引きずられるように見てしまうのです。

 殺人事件も陰惨だし、警察官たちが正義の鉄槌を下すやり方も凄惨で、子供たちには見せられないと思うほどですが、そこに働く警察官たちのチームは、皆、暗い過去を背負っているにも関わらず、誠実で、仲間意識が強い。ほっとするところです。

 これも一回ごとの事件と、全体を通して追っていく『レッド・ジョン』との戦いという二つのテーマに、それぞれの人生を重ね合わせたドラマ構成で、関心を途切れさせないように配慮されています。

 それに加えて、メンタリストのジェーンが毎回、洞察力を働かせたり、催眠をかけたり、仕掛けをして、犯人を陥れたり、手品を使ったり、毎回、超人的な頭の良さを見せつけます。

 この観察眼は、シャーロック・ホームズにも通じますが、どこか知識人の鷹揚さを持つシャーロックと違い、ジェーンはサーカスのような環境に生まれ育ち、学校にも行かず、生き残るために全神経を働かせることを学んだようです。

 毎回、私たちにも、『ああなるほどなあ』と思えるような観察が出てきます。私たちにもできそうな気がして来るのです。

 ウキペディアによると、もう結末はわかっているのだそうですが、それ以上に、毎回、『ああ、なるほどなあ』と感心してしまうのです。

 誰がこんなストーリーを考えているのかと興味をそそられますが、原案、総指揮者はブルーノ・ヘラー、イングランドの脚本家、プロデューサー、監督だそうです。確かにと思いました。アメリカドラマのようなおおざっぱさはなく、繊細で、英国ミステリーの香りがするのです。

 また、主演のサイモン・ベイカーはオーストラリア出身の俳優さんで、ハリウッド進出し、メンタリスト終了後はまたオーストラリアに帰っているそうです。

2022年11月13日日曜日

 世の中、スチール棚を売る

 私は引っ込み思案ですから、世の中のことをよく知りません。あれやこれやといろいろ考えるのですが、頭の中の試行錯誤ばっかりで、実行にはなかなか移せません。

 で、今、一番こころを占めているのは、家の片づけです。どれを捨てようか、これはまたいつか使う時が来るだろうか。これはもう使わないだろう、どうやって捨てようか。物置を見るたびに、試行錯誤ばかりしています。

 『もうスチール棚を置くスペースはない。古くて錆が出ている』とは思っていたのですが、『これを市の処分場へ持って行くと、処分してもらうのに千円くらいとられる。重いからと言って取りに来てもらうとその倍はかかる』 そう思うとなかなか実行に移せないでいました。

 そうこうしているうちに、いつもの道すがら、それまで廃業したレストランだと思っていたところが、いつの間にか鉄くず屋さんになっていて、『鉄くずを現金買取します』と書いてありました。『あそこに持って行こう』と思っていたのですが、なかなか実行に移せないで、ある日、偵察に行きました。

 すぐに事務所らしきところから顔を出した女性に、「スチール棚なんかも持ってきていいですか」と聞いたら、日本人ではないとわかる流暢な日本語で、「いいですよ」と言われました。

 その数日後、スチール棚を二個ほど解体して車に積み込み持って行きました。すぐ前に一台入っていったので、横に止めると、この前の女性が、「今、男の人が来てくれるから待っていてください」と言いました。しばらく待つと、前の車が出てきて、降りた男の人たちが事務室に行き、大枚のお金を受け取っていきました。

 しばらく待っても男の人が来てくれないので事務所の女性に言うと来てくれて、荷を下ろしてくれました。が、それだけで、私には大枚のお金はくれそうもありません。どういう事だろうと事務室をのぞくと、別の女性があまり上手でない日本語で、契約がどうのこうのと言っています。私も弱気になりかけましたが、看板を指して「現金買取と書いてあるので」と言いました。了解してくれたようで、先ほどの男性を呼んで、持ってきた棚を秤にかけてくれました。それから事務室の窓口で、1000円弱のお金を貰いました。私は本当に心からお礼を言いました。捨てるものがお金になるなんてこんなうれしいことはありませんでした。

 その後、重くて大きいスチールのロッカーをなんとか車に詰め込んで持って行きました。今度は、私も事務室の正面で車ごと秤に乗って奥に進み、下ろしてもらってから事務室の窓口に行きました。いつもの女性が事務所の中に入れと言いました。入り口を入るとそこにも窓口があって、もう一人の女性もそこにいました。今度は2000円弱になりました。それとウーロン茶を一本くれました。恐縮してもらってきました。中国の方たちだそうですが、大変なお仕事だろうに皆さん元気にやっています。私のぐずぐずが恥ずかしいくらいです。

 「またお掃除をして持ってきます」と言いましたが、次の荷はまだできません。

 情の深さ

 先日、材木にけつまずいて転んでしまいました。うまく転べば、例えば赤ちゃんのようにゴロンと体ごと転がれば、痛い目をみないで済んだのにと思うのですが、コンクリートの上にばっちりと膝をついて身体を支えようとしましたが、できなくって転がったという感じでした。それで、膝に痛みがあり、歩くのが苦痛になってしまいました。

 で、ここまでは前段階です。私は上の娘の体調不良のために、孫の送り迎えを手伝って隣町まで行っているのです。さあ大変。仕方がないので、下の娘に運転して一緒に行ってくれるように頼みました。下の娘は快く引き受けて、杖を突いた私の介助をしながら、孫の送り迎えを手伝ってくれました。

 そのことを上の娘に話すと、まあ感謝はしましたが、姉としてはプライドがあるのか、「下の子の方が手伝ってくれるみたいね」と言いました。「家でも下の子はとても良く手伝ってくれるのよ」と。

 私はちょっと『まあ』と思いましたが、『確かにそうだ』とも思いました。というのは、私も上の子で挨拶もできないような引っ込み思案の怠け者でした。下の子の弟は積極的でよく母を手伝い、両親の期待によく答え、亡き後もすべてを引き受けて守っています。

 孫の下の子を見ると、キカン坊ですが、積極的に注意を自分に向けるように仕向けないと振り向いてもらえないとわかっているように、親に話しかけ、頼まれたらすぐにやろうと身がまえています。確かに環境の産物というのは当たっていると思います。

 上の娘はなかなかうがったことをいう事があって、昔、「子供を育てるという事は、子供が独立できるように育てることなんだ」と言ったことがありました。私が弟にそれを言うと、弟は即座に「その通りだ」と言いました。確かに弟の子供たちはみな家を出て独立し、弟夫婦は淋しくも安心して暮らしています。

 我が家では、その言葉を言った上の娘は体調不良でいつもヘルプを求めていますし、下の娘はロストジェネレーションの年代で、一緒に暮らしています。結婚がいいとは思いませんが、どちらも独立しているとは言い難い。

 近所の方で、子供たちが独立して遠くにいて、やはり夫婦二人で住んでいる方は、「あなたのところは羨ましい」と言います。確かにそうですね。先行きは不安がありますが、今はとっても幸せです。世の中なるようにしかならないのですから、『今が幸せ』というのは一番大事なことなのかもしれません。

2022年10月25日火曜日

 ドラマの話 この男不熟につき

 昔見たドラマで、ずっと覚えているものがあります。いまだによく覚えているのです。小林薫さんの困った顔と引導を渡す中村梅之助さんの厳しい顔。その言葉、『この男不熟につき・・・』、つまり使えないので、放逐する、解雇するというのです。そして、この後、出ていく小林さんの何かほっとしたような顔と、後を追って家を出ていく、多分、中村さんの娘だったと思いますが、奥さんの姿。

 今回調べてみたら、『藤堂家城代家老の日誌より(1990・NHK)』とあり、題名は『ドラマスペシャル 不熟につき…』とありました。いくつかの賞もとったようです。

 で、なんでそんなに身につまされているのかというと、私も夫も、一応、会社は作ってありましたので、厚生年金ですが、フリーランスのようなものでした。だから、収入も年金も少ないほうです。

 で、この歳になって周りを見回してみると、大きな会社で定年を迎え、豊かな貯蓄とそれなりの年金で、生活を送っている方々。共働きで公務員を退職されたご夫婦。羨ましいなと思います。

 でも、わが身に置き換えてみると、私たちにはできなかったろうなと思います。『すまじきは宮仕え』の言葉のように、それができない人もいるのです。

 例えば、芸能人はお金がたくさん入ってうらやましいと思いますが、毎日あんなにきれいにお化粧をして、ドレスアップして、きついパンプスを履いていることなんて、私にはできないだろうと思います。加えて対人関係に弱点のある私が、毎日人の中にいることは、若いころでも悩みでした。つまり、私は『この女、不熟につき』だったのです。

 だから、若いころはそれなりに苦労しましたが、今は低収入でも仕方がなかったと思っています。その分、人にあまり気を使わずに済んだこと、好きなドラマを見られていること、幸い生活に困らないでいられることを幸せなことだと思えています。

 ドラマの話、『メジャークライムズ』第6最終シーズン

 これは2017年頃の製作のようです。あの頃はまだコロナなんかなかったころだったと思うのですが、設定ではインフルエンザが大流行して、フリオのお母さんが亡くなり、レイダー警視も治り切っていないという設定で始まりました。

 コロナの前から、アメリカではインフルエンザで亡くなる人は多いと言われていました。そんな中で、レイダー警視に後遺症の心筋炎が出てしまうのです。

 私の浅い知識ですが、これはコロナの後遺症としても知られていて、確か、細菌をやっつけるための抗体が、何を血迷ったか、臓器を攻撃してしてしまうという話で、心臓を攻撃してしまうと心筋炎になるそうなのです。

 何に感動したかというと、レイダー警視の身の処し方です。心臓移植も視野に入れなければならないという時間との戦いの中で、常にどう対処すべきかを考えていて、死の準備をしていくのです。

 彼女にとっては、生きているという事は常に自分を正しい位置に置くことのようでした。

恐れるとなにもできない、恐れずに冷静に周りを見、判断を誤らない。

 これ以上書くとネタバレになるので書けませんが、この姿勢は見習いたいものだと思いました。

2022年10月24日月曜日

 十年後

 この間、『ガレージセール・ミステリー 探偵ジェニファー』を見ていたら、ジェニファーの相棒のダニが、十年後の自分を思い描いて、目的を持って生きるという講座に出ているという設定でした。

 「ふむふむ なかなかいいアイディアだ」と思ったのですが、私の十年後を考えると、私は84歳です。生きてはいるかもしれませんが、まともに動けているでしょうか。今だって怪しいのに。

 やりたいことはあるので、もう少し時間ができるのが楽しみなのですが、それまでの間、体力をつけようと運動をしています。朝、出かける前の30分から一時間のストレッチと筋トレ。一日30分のヨガか有酸素運動。痛いところを治すユーチューブの整体屋さん。家事と庭仕事も運動だと思って頑張っています。

 でも、やっぱり歳とともに衰えては行くのです。例えば、筋トレとストレッチを一年間続けて、姿勢がよくなった、お腹がへっこんだと思っていると、どうも足の踏ん張りが昔ほど効かない。よろよろする。多分、浮指と言われるものだろうと思うのですが、で、一日30分ヨガかウオーキングをすることにしたのです。

 そういえば、と思い出しました。昔は週に一度くらい、プールに行って歩いていました。プールの中だと歩くのに足を踏ん張らなければいけないので、指まで使うのです。歩かなくなったのはコロナ以来です。まあ、今はウォーキングとヨガで代用するとしましょう。

 という事で、私の十年後はスタイルもよくなり、衰えもなく、元気になんでもやりたいことのできる体になっていることでしょう。

 本 『バシャール x 坂本政道、人類、その起源と未来』

 これは亡夫が買った本です。まだ新しく、読んだ形跡はありませんので、捨てるにも捨てられず、かといって、あまり求められているような本でもないようなので、一応読んでみようかと手に取ったのです。

 で、どういう構造になっているかというと、このバシャールという人は、人とも言えない人なのです。このバシャールさんのいう事を、ダリル・アンカという人がチャネリングという方法で伝えるのです。一種の霊媒のようなものだと思います。

 坂本さんはそういうことに興味と知識のある人のようで、人間にはわからないことを聞いていきます。

 最初は「人類の起源」、星座などに興味のない私は、聞いても分かりませんでしたが、前人類の存在から人類になるまで、こと座、オリオン座、プレアデス、そして、シリウスを経て地球まで変化をしながら、生成されたという事です。

 あまりよくわからない世界の話ですが、ただ一つ、私が、ほっとしたと感じたことがありました。それは死後の世界の話です。

 『死後はどこに行くの』かという問いに、『元来た様々な星に行ってもいいし、生まれ変わって、地球に戻ってきてもいい。本人の意思次第です』というような話でした。これで、『輪廻』なんかしなくてもいいんだと思ったのです。死んだらどこかの星にふわふわと飛んでいけるのだと想像してしまったのです。

 人間って、想像する生き物ですからね。でも、後ですぐに気が付いたのです。これって宗教と同じだと。キリスト教なら天国、仏教なら極楽浄土、昔からそんな世界は想像の世界で作り上げられていたのです。誰も見たことがないのですから、本当かウソかわからない。本当にあるのかも知れない、バシャールさんも言っているのだからと思うか、みんな、頭の中の想像の産物、観念の世界、物理的な世界にはないと思うか。

 確かに、あると考えれば、私がほっとしたように、こころが救われる人も多いだろうと思いますが、それはみんな想像の世界、頭の中だけにあると考えるのが妥当のような気がします。頭の中だけで、死者と会話したり、未来を描いたり、私程度の苦労ではその程度でも、十分に救われるのです。

 それとこの頃、この歳になって、思うことがあります。天国って、人の心の中、つまり、思い出の中にあるのではないかと。後に残った人たちがこころの中で懐かしがったり、いい意味で思い出したり、ありがたがったり、そうしてくれることが、『天国に住む』という事なんじゃないかと。そのためには、生前に、仏教でいう『徳を積む』事や、キリスト教でいう『愛を育む』事が大事なんじゃないかと。そういう意味でも、『歳をとるということ』は『天国に住む』ための準備期間で、ある友人が言ったように『ギフト』ですね。

 で、よくわからないこの本は捨てることにしました。

2022年9月21日水曜日

 百万本のバラ

 『日本語でも歌われる「百万本のバラ」などのヒット曲で知られるロシアの国民的女性歌手アーラ・プガチョワさん(73)は18日、ウクライナ侵攻を批判した夫(人気テレビ司会者のマクシム・ガルキンさん)がロシア政府からスパイを意味する「外国のエージェント(代理人)」に指定されたため「夫への連帯として、私も指定してほしい」と訴える声明を発表し、侵攻を批判した。』

というネット記事を見て、「え、百万本のバラって、加藤登紀子さんの歌ではなかったの」と思ったのは、無知な私だけだったでしょうか。

 そこで、無知な私はまたウキペディアを開いて、勉強させていただきました。

『「百万本のバラ」の原曲は、1981年にラトビアの放送局「ミクロフォンス (Mikrofons)」が主催する歌謡コンテスト「ミクロフォナ・アプタウヤ(ラトビア語版、英語版、ロシア語版) 」に出場した『Dāvāja Māriņa(マーラは与えた)[1]』というラトビア語の歌謡曲である[2]。作曲はライモンズ・パウルス(ラトビア語版、英語版、ロシア語版)、作詞はレオンス・ブリアディス(ラトビア語版、英語版、ルーマニア語版) [3] による[4]。このコンテストにおいて、アイヤ・ククレ(ラトビア語版、英語版、ロシア語版)と、終盤の少女のパートを担当するリーガ・クレイツベルガ (Līga Kreicberga)(当時9歳)の2人によって歌唱された『Dāvāja Māriņa』は、優勝した[5]。

歌詞の内容は、後述のロシア語版やその内容を踏襲した日本語版とはまったく異なり、大国にその運命を翻弄されてきたラトビアの苦難を暗示するものだった[4]。』

 つまり、ロシアの国民的歌手と言われたアーラ・プガチョワさんが歌ったのは、加藤さんと同じ恋の歌。では同じ曲で、最初の歌はどんな歌だったのでしょう。

『ラトビア語版原曲に基づく訳詞

小田陽子 - ラトビア文学者の黒澤歩と小田陽子による共訳。タイトルは「マーラが与えた人生」(2006年 、アルバム「ROMANCER」に収録)』。脚注には『「マーラ」はラトビアの神話に登場する女神で、ラトビア神話の神々のなかで最高位にある神のひとりである』という記載もありました。

 動画では、小田陽子さんが歌っているみごとな訳詞の歌と、アイヤ・ククレと、リーガ・クレイツベルガの悲しげな、ソフトな歌の両方を聞きました。優勝しただけのことはあると思わせられます。歌詞の意味はわからないのに、また聞きたいと思いましたから。

 詩はウキペディアには載っていないので、別に探しました。訳詞をして、さらにその背景を書いている方がいました。

『マーラが与えた人生

 訳 楓

幼い頃のこと 悲しみが襲うと

私は母の胸で 抱きしめてもらう

母はやさしく笑みを浮かべ 私の耳元で囁く

マーラは与えた 娘に命を

与えて、与えて、与えてくれた

マーラは忘れた 娘に幸を

忘れて、忘れて、忘れさられたままに


時が過ぎて母は この世にもういない

いまは一人きり 一人で生きていく

寂しさに襲われると 母の囁きをつぶやく

マーラは与えた 娘に命を

与えて、与えて、与えてくれた

マーラは忘れた 娘に幸を

忘れて、忘れて、忘れさられたままに


忘却の彼方に 置き去りにしたものが

突然よみがえり 私は身がすくむ  

私の娘が笑みを浮かべ あの囁きを口ずさむ

マーラは与えた 娘に命を

与えて、与えて、与えてくれた

マーラは忘れた 娘に幸を

忘れて、忘れて、忘れさられたままに



ラトビアは、1918年11月に独立を宣言したものの1920年まで内戦状態が続き、

1940年には独ソ密約により旧ソ連の領土となりました。

そして、1941年から1945年までナチス・ドイツの占領を経て、再びソ連領となりました。

その間、1940年から1949年にかけて約8万にも及ぶラトビア人がシベリアに流刑され、また多くの国民が難民として国外に亡命しました。

この結果、1939年にはおよそ73%いたラトビア民族は、1989年には52%にまで減少しました。

この詩は大国の犠牲となった悲しみの象徴です。

「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか。」

エストニアでは、ナチの占領期間に1万というユダヤ人が殺され、ラトビアでは約8万5千のユダヤ人が殺されています。

バルトの神話、女神マーラは、ユダヤ人には生も幸も授けず、迫害と死を与えた・・・

1982年

「マーラが与えた人生」は、

ロシアのアラ・ブガチョワの持ち歌「百万本のバラ」にかわりました。

放浪の画家ピロスマニが女優マルガリータのホテルの前を花で埋め尽くしたという伝説をもとに詩を創作しました。

原曲の詩のまま、ロシアで訳すわけにはいかなかったのですね・・・

原曲の詩で、改めてこの曲を聴くと、涙が出るわけが納得です。

薔薇 アンネ・フランク  ホロコーストのあとで 「マーラが与えた人生」より』

2022年9月17日土曜日

 ドラマの話、『ひとつ屋根の下』

 これは、およそ30年程前のドラマです。

 あの頃、40代の私は、生きるのに必死で、ほとんど見たことはありませんでしたが、やっているのは知っていました。主演の江口洋介さんのいるシーンがまだ頭の中にありますが、ほかにだれが出ていたかは知りませんでした。

 ウキペディアには

『この年(1993)最もヒットしたドラマで、フジテレビの連続ドラマ史上最高の視聴率を記録。主人公のセリフ「そこに愛はあるのかい?」は流行語ともなった。』『第11話で記録した視聴率37.8%は1990年代の全民放ドラマの最高視聴率であり、2020年現在のフジテレビドラマの歴代最高記録でもある。』と書いてありました。

 今回、ギャオの放送で見て、のちに有名になっていく俳優さんたちがずらりでした。

 主演の江口洋介さんはどこか渥美清さんを思わせる演技、福山雅治さんは林隆三さんぽい役どころでもそこまでニヒルでもなく、酒井法子さんはあくまでも清純で、いしだ壱成さんは才能を感じさせる演技で、大路恵美さんものちの活躍をうかがわせる演技で、そして、あの山本耕史さんはこんなにかわいい子役だったんだと目を見張らせる存在、安達祐実さんもしかり。

 山本圭さんが重要な役どころで出ていましたが、ウキペディアには『(脚本の)野島伸司や番組プロデュースの大多亮が山本圭の出世作「若者たち」を見たことがきっかけで制作した。』と書いてありました。でもこれだけ、前途有望な俳優さんたちを見極めて使えるという事は、見る目があったんですね。高視聴率もうなずけました。

 主題歌の『サボテンの花』素敵でした。財津和夫さんって、有名で、お名前だけは知っていたのですが、どんな曲を作ったのか知らなかった。今回初めて聴けました。

 パート2もあるそうなので、ギャオさん期待しています。

2022年9月15日木曜日

 夏休みを取りました

 この2022年の夏は本当に過酷でした。関東地方のこのあたりで、気温が37度以上になるなんて、記憶している限り聞いたことがありません。体温以上です。自治体は熱中症に気を付けてと言いますが、電力が逼迫しているから節電も呼び掛けています。庶民は、電気代が高騰しているので、節電せざるを得ません。みんな、ふらふらしながら運転していまして、事故もよく目にしました。

 こんな過酷な夏に、ウクライナに侵攻したロシアは、ミサイルで学校や病院、発電所やインフラストラクチャーを攻撃し、ウクライナの人々が生活できないようにしています。いったい何がしたいのでしょう。ウクライナ人の殲滅でしょうか。

 『シベリアで火事』のニュースもありました。これは毎年、シベリアの凍土が溶けて泥炭が発火するのだそうです。例年ならロシアの軍隊が出動して消火に当たるそうですが、今年はウクライナに侵攻していて、出動できないのだそうです。更には『モスクワ南東約200キロにあるリャザニ市を中心とするリャザニ州は(8月)22日、広がり続ける森林火災を受けて非常事態を宣言した。煙はモスクワにも到達』

 夏の森林火災はアメリカ、カリフォルニア州でも起きました。『オレゴン州との州境のシスキュー郡で発生した森林火災「マッキニー火災」や他の2つの火災を受け、同郡に対し非常事態を宣言』

 『ポルトガルやフランス、クロアチアなど欧州南西部では現在、気温40度を超えるなど猛烈な熱波に見舞われており、各地で森林火災が発生している。』他に、スペインやトルコのニュースもありました。

 確かにグレタさんの言うとおり、未来に残るいい空気は少なくなるでしょう。そう言えば、先日チリの氷河が崩れ落ちる動画が投稿されていました。

 9月に入って学校も始まり、気温も下がってやっとほっとできると思ったら、コロナ感染第7波が私の周りにも押し寄せてきました。私も明日で、自己隔離7日間を終える見込みで、熱は平熱に戻りましたが、咳とそれに伴う頭痛はまだ抜けません。私は例によってお医者に行きませんで、自己診断ですが、周りに陽性者がいたので間違いありません。私のような申告しない陽性者はまだもっといると思います。とすると、毎日発表される新規感染者数は信用できませんね。

 でも、この七日間、全く退屈することなく、好きな時に起きてドラマを見、ウクライナの占領地奪還のニュースをむさぼり、眠くなったら寝るという久しぶりの自由気ままを味わえて、たまには病気もいいものです。特に、ウクライナの人々が解放されて、ロシア兵が武器を捨てて逃走したというニュースを見ると、ロシア兵たちも自由に故郷に帰ってほしいと、みんなが自由になることが我がことのように嬉しかったです。

2022年7月21日木曜日

 ミニマリスト、上を行く


 『シャンプーも歯磨き粉もやめた私が気づいた真実

足りないものなど何もなかったということ

稲垣 えみ子 : フリーランサー』というタイトルのネット記事を読みました。

 まさに目からうろこです。私の上を行く方がいたのです。

 『体も頭も「湯」で洗う まず、シャンプーおよびリンスをやめた。ボディーソープもやめた。』

 私は家に多量にあるいただき物の古い化粧石鹸を使っています。アレルギー一家の我が家では洗濯もこれを溶かしてしている、それで十分間に合うと昔書いたことがありました。その上を行く、『体も頭も「湯」で洗う』』は画期的です。

 稲垣さんは次のように説明しています。

『基礎化粧品をやめたことの延長ですね。』、『余分なものを塗らなければ取る必要もなしという』

『全然洗わないのも不潔だろうが、洗えば洗うほど清潔というわけでもなかろう。「洗いすぎの害」というものも当然あるはずだ。

ついでに言えば、一定の化学物質を下水に流し続けることの環境負荷も無視できない。他の生物を犠牲にして自分だけがキレイになるなど、そもそもその心根がちっともキレイではなかったと、今更ながらに反省するところである。』

 私は植物性ならいいかなと、我が家のアレルギー家族もそのくらいなら我慢できるだろうと思っていたのです。それに太っている私は皮脂も多いし、と。でも、歳をとりましたから、こまめにお湯で洗えば、間に合うほどの皮脂の量になっているかもしれません。昔、温冷浴で皮膚を伸び縮みさせて身体を洗うというのを聞いたことがありましたが、あれの一種でしょうか。私にもできそうです。

 『まだまだ「やめた」シリーズは続く。』、『身だしなみ関連として、私は歯磨き粉をやめたことをご報告しておく。歯磨きは、歯ブラシでこするのみ。例の小さすぎる洗面台収納に悩んでいた頃、知人から「歯磨き粉は使わなくても歯磨き効果に影響なし」「むしろ、歯磨き粉を使うとそれだけで歯磨きをした気になってちゃんと磨かなくなる」と聞いたのがきっかけである。

ナヌー、そ、そうだったの?!

もちろん、すぐにやめた。』 専門家に聞いても、歯磨き粉はさほど重要でない、歯磨きだけでいいというと書いてありました。

『フェイクニュースが社会問題になっているが、我らは案外ずっと前から、何がフェイクで何が真実か、実は曖昧モコモコな世界を生きているのやもしれぬ。まずは何事も自分でやってみることである。』

 私も企業の宣伝が私たちの脳を洗脳していると、この頃思います。

 しまった、歯磨き粉、大量に買ってしまったのです。それに、老人の私は歯周病予防の塗り薬を塗っています。おかげで歯は元気です。でも、今度からは歯ブラシと塗り薬だけにしましょう。歯磨き粉はいる人にあげる決心をしてしまいました。

 極め付きは足の爪のケアです。稲垣さんは『親指の爪は何年も前に死に絶えたままほぼ真っ黒、しかも長年の巻き爪で妙な形に歪みきっている。そして痛い。さらに表面がボコボコ。』と書いています。私の足とほぼ同じです。

 で、『爪やすりで表面のボコボコを平らにし、切りすぎない程度にマメにカットし、風呂に入ったら一つひとつやさしく洗い、あとは例の「ごま油」を目薬の容器に入れ、こまめに爪の先端と皮膚の間に油を差す。本によれば、油はごま油でなくとも。爪の乾燥を防ぐのだそうです。』と書いています。足の運動やマッサージも加えて、

『その結果はといえば、ボディーソープなどと違い、やってみればメキメキ物事が解決というわけにはいかずに何カ月も変化なし。

それでもめげずにコツコツ爪に愛を注いでいると、3年ほど経つと巻き爪が回復して痛みが消え、さらに数回の爪の生え変わりを経て、最近ようやく、そこそこ鑑賞に耐えるようなピンク色の爪が戻ってきたのであります。』と書いています。

 私もごま油ではなく水虫薬を塗ってですが、もう何年も爪ケアをしています。私の巻き爪はまだ痛いですし、たこもあり、水虫も治りませんが、確かに少しピンクの部分が出てきたような気がします。治った人がいるなら、私も勇気百倍で続けられる気がします。

 『5年前に「ガーン」となっていた私に、大丈夫だよと言ってあげたい。これでようやく、化粧品がなくとも平気と心の底から言うことができる。やっとここまで来た。やればできたのだ。』

 私も頑張ります。ちなみに、私は風呂上がりに時々、自家製のアロエを剥いて、液を顔に塗ります。我が家の鉢植えアロエの使い道がないこととアロエに殺菌作用があるようで、肌はさらさらします。

2022年7月11日月曜日

 宗教は詐欺である

 人生をある程度生きたころから、そう思っていました。でも、夫もいたり、両親も存命だったりすると、世間に忖度して、大っぴらに言うことができませんでした。今、皆亡くなって、私自身も死兵となって、社会性をかなぐり捨てると、宗教は弱いものを虜にする詐欺であると改めて思うのです。

 この度の安倍元総理の事件、人殺しは悪いとは思いますが、代々の安倍氏や岸元総理が統一教会を組織票の票田として利用していたことを知ると、阿部さんも間接的な加害者だったのではないかと思えてきました。

 昔、統一教会が有名になり、近くのビルに写真入りの教祖の結婚式のビラが貼りだされているのを見て、なんで韓国の宗教が日本でこんなに人を引き込んでいるのだろうと違和感を持ったことがありました。良くも悪くも組織を作っていたのです。みんな疑ってみるべきなのですよね。素直な人たちは、善男善女になってしまうのです。

 キリストや釈迦がどんなに奇跡を起こしたとしても、それは歴史の一部です。私も時々亡くなった人の存在を感じたと言ったりしますが、それは個人の観念の世界で、人様がどうこうできることではないと思っています。ましてや人様の心象世界に他人が入り込むことなど、神や仏でもできないのです。助けてほしいと思う心に付け入って、あれやれこれやれというのは詐欺です。

 韓国の大統領経験者はみんな牢屋へ行くと、笑われているようですが、安倍さんも、誠実な公務員が公文書書き換えを命じられ自責の念で自殺した森友問題や、公費流用の桜を見る会、友人の学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設など、あれだけ疑わしい不祥事があっても逃げおおせてしまいました。でも、有罪になって、韓国の大統領と同じように牢屋に入っていたら、今回の狙撃からは逃げられたでしょう。

 政治家は何をしても罪悪感を持たないのですよね。国のために一生懸命やっていると思うから。私のように気の小さい人間は、この一挙手一投足がまわりまわって誰かを傷つけているのではないかと戦々恐々としているのですが。政治家はそんな事を思っていたら務まらないのでしょう。清濁合わせのむ世界ですから。

2022年7月10日日曜日

 テロ、暗殺

 安倍元総理が拳銃で撃たれて亡くなられました。世界中からお悔やみの言葉が寄せられ、身近な人々は、慌ただしい中にもお力落としのこととお悔やみ申し上げます。

 その中でプーチンさんからの言葉がやはり、気になりました。

 『安倍元総理の死去をうけ、ロシアのプーチン大統領が声明を発表しました。

プーチン大統領は声明で「犯罪者の手は、長い間、日本政府を率いて、両国間の良好な隣人関係を発展させるために多くのことをした優秀な政治家の人生を断ち切った」』

『ロシア外務省情報局長は「正当化できないテロ行為」だとのコメントを発表した。』

 ウクライナに侵攻し、民間施設をミサイルで無差別砲撃し、多くの人の命を奪っているロシア軍は『犯罪者』ではないのかなと思います。どんなに言い繕っても『正当化できないテロ行為』ではないのかなと。みんなそう思っているのにと私は思うのですが。

2022年6月30日木曜日

 亡夫の誕生日

 マイナポイントの申請に行ってきて、すっかり忘れていました。私のマイナンバーカードの暗証番号は夫の誕生日なので、何回も使ってきたのですが、その番号が今日という日につながりませんでした。

 やっと気が付いたのは、今、夫が帰ってくるような気がして、「そんなはずはない」と打ち消した時でした。「そう言えば、今日だったのです」

 夫は照れ臭いのか、家で誕生日をすることはほとんどありませんでした。昔から、お友達とどこかでお祝いして、酔っぱらって帰って来る。嫌な日でした。誰に言わせても、私が気が利かないからなのでしょうが、この点でいえば、お互いさま。あまり記念日などを祝うことが好きではない夫婦でした。

 特に私は古稀とか喜寿とか、ほとんど関心がありませんで、冷静に『何歳』と思うだけです。

 歳をとって、さすがに祝いあうお友達もいなくなったようで、「今年は喜寿だ」と娘夫婦に催促して祝ってもらっていました。

 このように夫のこともときどきは思い出すのですが、この頃、母のことを思い出します。私と母はそんなに仲のいい親子ではありませんでした。母は忙しく、娘に何かを教えたり、躾けたりするような時間を取れませんでした。その代わり、なんでもやってくれましたし、助けてくれました。口で言うより、その方が早かったのでしょう。

 おかげで私は何にもできない、何にもわからない、世間に出て、よそ様に叱られたり、嫌われたりするたびに、基本のしつけもしないまま、放り出されたと思うようになりました。あとで考えれば、『世の中ってそういうもの、その場でしか学べないものはたくさんある、特につらいことなど』は。とわかるようになるのですが、つらいときはやっぱり、『教えておいてほしかった』と恨んでしまいます。

 そしてこの頃は、あのボケ―としていて、何にも考えずにみんなやってもらっていた頃のままでいたかった、『母親の羊水の中に帰りたい』と誰かが言っていましたが、『生まれて来なければ、どんな苦労も味わなくて済んだのに』と思います。

  私の子供たちもいつかそんなことを思うのでしょうか。

 だから、亡夫はきっと、姑の傍らに行って甘えているのだろうと思うのです。

 もう直ぐお盆のこの時期、私はあまり信じないのですが、帰ってきたのかもしれないとも思います。

2022年6月26日日曜日

 百歳までのYT

 冬の間、時間の余裕があったせいか、ユーチューブにまた動画を載せてみようという気になって、安いカメラを手に入れて、撮り始めました。

 前回載せたのは、もう何年も前になって、とっくの昔に消えていました。

 今回のは、いつも『いいなと思う景色』を録って、ほかの皆さんのように自慢げに見せようという魂胆でした。

  この『いいなと思う景色』、昔は油絵に描いて、今でも何枚か残っています。でも、今はそんな時間もないし、写真なら一度ですぐにできると高をくくっていました。

 勉強から始めて、二本くらいまでは気に入らないながらもなんとか載せました。

 ところがです。春になると、空気に水蒸気が混じり始め、写真がきれいに撮れません。『いいなと思う景色』がぼやけてしまうのです。

 そこにもってきて、家の周りに草が生え始め、少ない余暇がそっちに回されてしまいます。更にイチゴもでき始め、ブドウも大きくなり始めると、もう写真どころではなくなってしまいました。肥料を買ってきたり、植物性百パーセントの殺虫スプレーを探して買ってきたりと、頭も体も大忙しになってきました。

 でもまあ、また冬になったら始めればいいのですから、今は実りに感謝して、いただこうと思います。今年は枇杷とイチジク、プルーンもほとんどダメですが、イチゴはたくさんとれましたし、ブドウはたくさんなっています。これから、大きく紫色にできるかどうかは、ひとえに私の丹精にかかっていると思えば、動画どころではありません。

 これも動画の対象にすればいいのかもしれませんが、とてもそんな余裕はありません。『育て方』という名のユーチューブを見て勉強するのが精一杯です。

 まあ、百歳まではまだ時間もありますから、ゆっくりとテーマを探し、温めながら、また冬になって時間ができたら、撮影に行こうと思います。これは『冬仕事』ですね。畑仕事は『夏仕事』なのでしょう。

2022年6月11日土曜日

 こわいもの無し

 毎日ウクライナの戦争を見ていると、自分の身に置き換えて考えることがたくさんあります。

 今日のニュースでは激戦地セベロドネツクで、住民を避難させようとしている兵士や警察官の様子が撮影されていました。でも、市内のほとんどが制圧されていると言われるこの時期、残っているのはほとんどがお年寄りたちです。「病気なの、みんなに助けられながらあちこち行くのは嫌です」と言っている人や、「今ここを離れたら二度と帰って来れないと思う」と言って泣く人もいました。

 私もやっぱり動かないだろうなと思います。この歳になったらどこでいつ死んでも同じのような気がします。前に見た映画『黄金のアデーレ』でナチス占領下のオーストリアで、ユダヤ人の老親がアメリカに避難するという娘夫婦を笑顔で送る場面がありましたが、宇宙の歴史の小さな一コマとまでは言いませんが、何も怖がることはないような気がします。

 アゾフスターリ製鉄所に残った兵士たちが食料も弾薬も尽きかけ、兵站が維持できなくなった当局から投降を勧められて、二千人がロシア軍に投降した時、後五百人が残ることを考えていた節があります。「司令官がいない」と言っていましたから。「五百人なら、まだ食料も間にあうのかもしれない」というコメントもありました。中に「『死兵を相手にするな』という言葉がある」と語るコメントがありました。死に物狂いで戦うからだという事でした。彼らも投降後の拷問や裁判を考えるとそうしたかったのだろうと思いますが、『英雄には生きていてほしい』というゼレンスキー大統領の言葉がしめすような国民の願いの下に投降しました。生きていて捕虜交換してくれれば万々歳だったのですが、ロシアはどうするでしょうか。期待が甘かったのでしょうか。

 話が逸れてしまいました。元に戻すと、我々老人にはこの『死兵』の感覚があるような気がします。

 何にも忖度する必要はない。こわいものはない。誰にでも元々そういう気質があるから、歳をとって経験を積んで世の中が見えてくると出てくるのだと思いますが、私のように、夫も亡くなって庇うべき相手もいなくなり、加えて、もともとなかった社会性も益々面倒臭くなってくると、『死兵』になっていくんだなあと思いました。決して嫌なことではないですけど。

 気が付いたのですが、プーチンさんも『死兵』になっているのかもしれません。

2022年6月9日木曜日

 映画の話 『最後のマイウェイ』

 最近ギャオで見た映画で、ミステリーにはない感動を受けたのがこの作品でした。

 『あの名曲「マイ・ウェイ」には、知られざる真実があった。1939年、エジプト。クロード・フランソワは、実業家の父と派手な母のもとで少年期を過ごしていた。しかし第二次中東戦争による父の失業にともない、一家はモナコへ移住。家計を助けるため楽団のヴォーカルとして働いていたクロードだが、厳格な父は決して仕事を認めなかった。デビューを果たし、生涯6700万枚のレコードを売り上げたクロード。そして世界的名曲「マイ・ウェイ」の誕生……。フランスのスーパースターの知られざる栄光が今、明かされる。』という説明がついていて、『マイ・ウエイ』という名前だけは知っていたので見たのです。

 フランク・シナトラの歌で有名ですが、本当はクロード・フランソワ本人が書いたもので、映画の最後のころにロンドンのアルバート・ホールで熱唱する場面があり、それも素晴らしかったのですが、エンドクレジットの時の「アレクサンドリ・アレクサンドラ」の歌が本当に素晴らしかった。遺作だそうですが、あれは誰が歌っているのでしょうか。俳優か、本人のレコードか。

キャストは、出演:ジェレミー・レニエ ブノワ・マジメル モニカ・スカティーニ ジョセフィーヌ・ジャピ

スタッフは、監督:フローラン=エミリオ・シリ

 あのクイーンのフレディ・マーキュリーの映画のような感じでステージが見ごたえありました。

 フランスで絶大な人気を誇り、世界デビュー直前に39歳で亡くなったそうです。いかにも生き切ったという感じで、実話と歌がマッチしていて、レビューでは歌手の性格や生活に批判も多かったのですが、私は、感動しました。これ以上はできないというほどの努力と自我の人生だったと思います。

 で、この俳優さん、ダンスも超うまいし、歌もうまい、本当に歌っているのかしらと思って、タイトルで調べてみましたが、わかりませんでした。ベルギーの俳優さんだそうです。ちなみに、歌詞は英語だと思ったら、作詞はポール・アンカだそうです。その間の事情が出ていました。『フランソワはジャック・ルヴォー、ジル・ティボとともに、彼の代表曲のひとつ「Comme d'Habitude」(「いつものように」の意)を制作する。この作品をテレビを通じて知ったポール・アンカは、まったく新たな英語の歌詞をこの曲に与え、それは1969年にはフランク・シナトラが歌う「マイ・ウェイ」として世界的にヒットし、またエルヴィス・プレスリーや、後にはシド・ヴィシャスらによりカバーされた。』

 でも、シナトラよりも、クロードの人生を見た後では、クロード・フランソワの方がずっとマッチしている感じです。

2022年6月2日木曜日

本、神谷美恵子著作集第3巻、『こころの旅』みすず書房、付録

 『付録として加えた、本に関する小さな文章群はまた、著者の神髄をいかんなく示すものである。いかに本を愛し、文化を愛し、人間を愛したか、視野の広く豊かな、開かれた世界である。』とカバーに、多分編集者だと思われる方の文章があって、少し休んだ後に読み始めてみました。

 確かに、そうでした。神谷美恵子さんのこころの中が見て取れるような文章が多くて、その人となり、生活がよくわかります。

 例えば、『桜井方策『救癩の父 光田健輔の思い出』、この本の編集には彼女自身も参加していたようで、これは序文らしい。この光田健輔という方は長島愛生園を創立し、園長を務め、患者たちのために生涯をかけた人のようです。それが、戦後、治療薬が開発されたことで、隔離は人権無視と激しい反発を受けるようになります。私も裁判が起こって、隔離政策が不当との判決を受けたことを覚えています。

 『たとえそれが自由と引き換えであったとしても、多くの浮浪患者が困窮のどん底から救われたことは否定すべくもない。この精神の輝きは歴史を超えて伝達されるべき日本の宝ものであると信じる』。

 『切れば血の出るような 』と著者が表現した姿。『先生は晩年に至るまで彼らの中に入り込み、自ら手を下して診察し、彼らの一人一人の悩みを聞くために島の中の起伏の多い土地を、不自由なあしをひきずってくまなく歩きまわっていた。患者さんたちの隔離政策を推し進めながら、一方では隔離される彼らの心の中を察し、忍びない気持ちに苦しんだことも少なくなかったことがうかがわれる。』これは患者さんたちを含めた、関わりのあった方々の手記を集めた本のようです。

 なかに、実業家で、日本キリスト救ライ協会を設立した人物、故後藤安太郎氏の言葉が書かれている。『一人の人間の祈りがこんなに大きな組織的働きをやり遂げた例を他に見ることができない』。著者は『ただ単に過去の偉人を礼賛するためだけでなく、光田先生を通して現れた日本人の精神の可能性を、未来の世界に生かしたいというまえむきな意欲があったのである』と代弁する。

 生きる姿勢が感じられて、頭が下がります。これを読んで、現在のウクライナの問題を考えるとき、プーチンさんは『クズだ』と本当に感じてしまいますが、精神科のお医者様の神谷先生なら、きっとプーチンさんの病気を探して解決法を探してくれるのだろうと思います。

 もう一つ印象に残ったのは、著者の『読書目録』です。精神医学書はもちろんいろんな本を読んでいるんです。知人の愛読書と聞いた本とか、外国の知人から贈られたフランス語の本とか、宗教の本とか、比較文化論、詩集とか。

 バージニア・ウルフの病理の研究もしていたらしく、英文の資料を何冊も読むという項目もあります。バージニア・ウルフはイギリスの女流作家で有名ですが、カッコだけ英文科だった私は、訳本さえ読んだことがありません。「確か家に文庫本があったな、捨てたかな。今度探してみよう」と思いました。

2022年5月27日金曜日

 英国ミステリー噂話 シェトランド ジミー・ペレス警部役のダグラス・ヘンシュオール

 また放送が始まりました。これで何度目でしょう。

 毎回、見るのですが、そのたびに暗いなあと思って、ウキペディアを調べるまで行きませんでしたが、今回、他に見るものもなかったので、調べてしまいました。

 まず、位置、スコットランドの右上、ちょっと離れて、ノルウェーとの間です。ウキペディアで見てみると、歴史的にノルウェーのものであった時もあったようです。こんな北の方の島々に、どうしてみんな住んでいるんだろうと、便利な関東地方に住んでいる人間は思ってしまいますが、北海油田も採掘され、漁業もあり、さらには気候がいいみたいです。

 『シェトランド諸島は、寒い期間は長いが、あまり厳しくはならない冬、短くて冷涼な夏が特徴の海洋性亜寒帯気候である。ケッペンの気候区分では西岸海洋性気候に属し、夏は涼しく冬も緯度の割に寒くない。 周囲の海からの影響で、3月の最高気温は5℃、7月8月の最高気温は14℃と、気候は一年中穏やかである。気温が21℃を上回ることはまれである。』オーロラも見られると書いてありましたし、歴史も古そうですから、観光資源に事欠かず、観光客も多いのではないでしょうか。

 で、一番気になっていたのが、原作者のアン・クリーヴスです。この方、確か、『ヴェラ』の原作者で前にも調べて書いたことがありました。ちなみに、『シェトランド』のシーズン1とシーズン2が原作から作られた脚本のようです。

  で、今回はシェトランド署のジミー・ペレス警部を演じるダグラス・ヘンシュオールを調べてみました。生まれはスコットランドのグラスゴーだそうで、アン・クリーヴスさんよりシェトランドに近く、だから、方言も上手なのだろうと思いました。お母さんは看護師、お父さんはセールスマンだそうです。英文のウキペディアの方がさすがに詳しく書いてあります。高校時代に演劇に興味を持ったらしく、卒業後、ロンドンに出て、マウントヴュー演劇アカデミーというところに入り、のちグラスゴーの7:84劇団に入ったようです。さらに、ロンドンに戻り、演劇に磨きをかけ、パートナーのクロアチア人の作家のティーナさんとラスベガスで2010年に結婚します。

 こうして、2013年『シェトランド』のシーズン1が始まるのですが、それまでにもたくさんの作品に出ていて、この時が49歳ころでしょうか。それから、シーズン7くらいまで行くそうです。途中、この役でスコットランドの主演男優賞を獲得しています。

 最近、ギャオで『グラスゴーの殺人鬼』という作品が出ていて、視ようと思ったのですが、パスしてしまいました。スコットランドの俳優という風に書かれているので、どうしても暗く荒涼とした北のイメージがあって、いまいち乗り気になれない気がします。景色はいいのですが。

2022年5月19日木曜日

 ミニマリスト、春の野山

 ロシアの成金、オリガルヒは、豪華ヨットだけじゃなくって、ニューヨークの高級マンションをたくさん持っていたんだそうですか。ロンドンの高級住宅街にも持ち家がたくさんあるって出ていました。制裁を受けて、今はドバイやイスラエル、トルコのようです。

 お金があれば、いくらでも買えますが、彼らはそれらを心ひそかに自慢しているだけです。だって妬まれますから。ロシアの庶民が非難しないのがおかしいと他の国の貧乏人は思っています。でも、これって、どこの国についても言えます。中国だって、地方と都市の格差、韓国だって、政治家やお金持ちは東京にマンションを持っています。日本人だって、バブルの時、トランプタワーを買ったのは日本人です。でも、自慢しないから、ニュースにならないと誰も知らない。羨ましいですが、ちょっと孤独ですね。

 でもです。貧乏人は、ちょっとした節約の工夫を誰はばかることなく自慢できるんです。むしろみんなに広めたい。自分のため、みんなのために節約本を書いている人は多いです。

 かくいう私も節約自慢をしたいのですが、なかなか。洋服のリフォームぐらいです。いくらリフォームしても、着るのは一日一着、体は一つです。

 でも、この春は、中井将善氏の『山菜のとり方と料理の仕方』を読んだおかげで、俄然『春の野山』が気になり出しました。

 私は、山の近くで生まれ育ったので、子供のころは野山しか遊び場がありませんでした。山遊びと言えば、蕨とり、ぜんまいつみ、秋はキノコ採り。野遊びと言えば、親たちの田んぼ仕事の傍らで、ドジョウ掬い、ザリガニとり、タニシとり、セリ摘み。みんな食料に関係していました。学校の帰りには、友達とスイバをかじって、「これはもう食べない」と思ったりしました。友達も、食べられる野草を知っていたのです。まだそういう時代でした。

  以前、『超自然農法』の項目で、我が家の空き地庭の収穫をお披露目しましたが、春は、もっと柔らかくて、たくさん芽が出ます。

 例えば、ミョウガは花の部分ではなくて芽の部分、柿の木の新芽、今まで、クチナシは花のにおいを嗅ぎたいだけのために手入れしていましたが、新芽も食べられるみたいで、ちょっと茹でて食べてみましたが、美味しいと思いました。だってあんなに虫が食べに来るのですから。

 中井将善氏の『山菜のとり方と料理の仕方』からは、いくつか試してみました。『ヤブカンゾウ』、10センチ以下なら美味しいです。それ以上は固くて食べられません。『クズの蔓の先』、これも10センチ以下で、太いほうが柔らかいです。『ツユクサ』ほんの先っぽを摘んで茹でてみましたが、おいしいです。

 『白つめ草』は、もう花盛りで固くなってしまってダメでした。『たんぽぽ』や『すみれ』も試したいと思いますが、草取りをしている間に、もう春は過ぎてしまいました。

 初夏になって、桑も、枇杷もイチジクもブドウもプルーンも実がついています。イチゴももうすぐ赤くなります。みんな栄養不足で小さな実ですが、楽しみに待っています。

2022年5月13日金曜日

 本、神谷美恵子著作集第3巻、『こころの旅』みすず書房、1989年第10刷

 ついに読みました。母親として知らなければならないことがたくさん書いてありましたが、当時読んでも、当時の私には受容する余力がなかったでしょう。無我夢中の時代でしたから。

 でも、中盤からは今の私にも思い当たることが多くて、割とスムーズに読めました。と言っても、たくさんの参考文献を示した学術書ですよね。

 例えば、『思春期の自意識』、今でもそうですが、自分の言ったことしたことが頭の中で何度もこだましている思いをしましたが、みんなそうなんだそうです。『アイデンティティの問題』、自分の生き方や役割は何なのか、若いうちに確立しなければ、無為に生きてしまう。私は若いころ、親に言われた通りに生きてきて、自分では考えもしなかったような気がします。何にも自学しなかったのです。

 『人生の旅路半ばで』、これはダンテの『神曲』の最初の行だそうです。不勉強な私は読んだことがありません。ダンテは若いころ、政治運動に没頭して、30代後半に故郷から追放され、イタリア各地を放浪し、困窮の日々を過ごし、41歳ころから56歳でマラリアで死ぬまでの間にこの『神曲』を書いたのだそうです。人生の旅、こころの旅は思い通りには行かないと示してくれています。

 そしてお医者さんとしての、病や死との向き合い方、その中でも人生は『宇宙的時間の一部』という言葉に何か救われるものを感じました。私の自意識の塊の対人恐怖症なんて、無に等しいのです。

 本も断捨離の対象にしているのですが、この本は座右においておこうと思いました。時々開いて、判断を考える助けになってほしいのです。この本を買うきっかけを作ってくださった、皇太后陛下に感謝です。

 最後に、神谷美恵子氏のウキペディアから、その生き方を読んでみると、優秀な家庭の中で、学ぶ多くの機会を得ながら、まさに『アイデンティティー』を確立し続けた一生が見て取れます。この『こころの旅』は彼女の一生だったんだなあと思いました。

2022年5月5日木曜日

 英国ミステリー噂話  私立探偵ジャクソン・ブロディ

 この頃、あまり魅力を感じる英国ミステリーをgyaoでやらないのです。野球が始まったからでしょうか。他に興味を引くニュースがありすぎるのでしょうか。それで、この頃は、日本のミステリーばかり見ていますが、結構面白いです。

 でも、この項目を書くためには当てはまらないので、前に見たジャクソン・ブロディを思い出したのです。

 これは間違いなく英国ミステリーだそうです。で、何が魅力で見始めたかというと、あの『ハリー・ポッター』のマルフォイ役を演じたジェイソン・アイザックという俳優さんが、タフで心優しい、元刑事の私立探偵を演じていると書いてあったからです。

 『ハリー・ポッター』は大好きで全巻見ましたし、全巻英語で、時間はかかりましたが読みました。その中のマルフォイは小柄で、金髪で、色白で、悪役ではありましたが、実にきれいな子役さんでした。

 まさかこんなおじさんになっているとは、本当に同じ人なのかと思ってしまいます。

 でも、俳優として、彼には努力のあとが確かにあります。きっと時間のある時は毎日ジムに行って、体を鍛えたのだろうと思いますが、あのきゃしゃだったマルフォイが、筋肉隆々として、まるで『ポルダーク』のエイデン・ターナーのようになっていました。劇中でも、走っていて、走ることをトレーニングにしているようでした。

 英語の題名はCase Historiesというようです。一話二時間ほどの長編ですが、いろんな人物たちといろんな事件、飽きさせずに物語は進行していきます。それでもやっぱり最初は見る方も演じる方も、制作側もこなれていない感はあります。制作13年のメジャークライムのそれぞれがそれぞれの特徴を出した役作りには至っていないという事でしょう。

 私立探偵という設定ですから、科学捜査もあまりできず、その分、勘や推理が大きなウェイトを占めてきます。そして、警察でない分、自由裁量という手も使えて、主人公の優しさや度量が発揮できる、それがこのミステリーの大きな魅力になっているようです。

 最後に、ジェイソンはいかつい顔ですが、青い目でした。マルフォイもそうだったかなと記憶を探してしまいました。

で、後で知りましたが、この役者さん、同じマルフォイ役でもお父さんのルシウス役だったそうです。私は、息子のドラコ役と勘違いしていたわけです。

2022年4月28日木曜日

 コメント、書いてしまいました

 毎日、ウクライナが心配で記事を読んだり、コメントを読んだりしては同じ意見の人がいてほっとしたり、「こんな当たり前の意見にどうして反対するのだろう」と憤慨したり、だんだん、「いいね」や「反対」を自分でも入れるようになってきて、「ルハンシク」とか「アゾフスタリ」とかが俳優さんの名前よりもスムーズに浮かんでくるようになったころ、自分でも「コメント」を書いてしまいました。

 記事をよく読んで、きちんとした意見を書いたコメントには、今時点で86の「いいね」がつけられ、さらに見方を補充してくれるような「返信」が1つ来ていました。記事の読み方が甘くって、的外れなコメントには「反対」意見の方が多くって、自分でも恥じて削除しました。

 そして三つめが『眞子さんに上皇ご夫妻から“生前贈与” 初孫を案じ「ロイヤルサポート」4/27(水) 11:31配信、コメント6034件、デイリー新潮』という記事でした。「1000万円ほどで、毎年贈ることは可能」という『憶測』に、ちょっと、悪意を感じたのです。そして他の人のコメントを見ると、皆さん記事に同調する意見を書いていて、それにたくさんの「いいね」が付いているのです。

 私の年代は、上皇ご夫妻が子育てをしながら、国際親善に世界中を飛び回り、敗戦国の日本を先進国と同等になるまで、もちろん高度成長期の猛烈社員の皆さんと一緒に押し上げてきたことを見て知っていますし、自分たちも孫のいる年代ですから、「なんでこんな批判が書けるんだろう」と悲しくなってしまったのです。

 それで、『いいんじゃないですか。体面を守って、一生懸命働いて、孫にあげるお金くらい自由であっても。』と書いたのです。はじめは「反対」のマークばかりでした。「反対」のマークが10になった時、一つだけ「いいね」がつきました。ちょっとほっとしました。私と同じことを見てきた人もいたんだと思いました。

 先日、『政府は8日の閣議で、社会問題となっているインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷を抑止するための「侮辱罪」厳罰化』というニュースがありました。

 誹謗中傷を受けて自殺した木村 花さんの母親 響子さんの「加害者は指一つで人を傷つけて心をえぐっている。『木村花さん死んでおめでとう』と言ったり、 『地獄に落ちろ』と言ってくる人がいたり、(響子さんに対して)娘の名前を使って金儲けをしているなどと誹謗中傷をずっと受けてきました」という記事や池袋暴走事故の遺族・松永拓也さんの「金儲けのためにやっているのか」と言われるという記事を見て、このデイリー新潮の記事も誹謗中傷の部類に入るのではないかと思ってしまいました。

 皇族でもやっぱり、人権はあるんです。感情もあるんです。憶測記事は人を傷つける誹謗中傷の部類に入るのではないでしょうか。これはニュースではないです。コメントを書くなら自分だけはそれをしないように戒めながら書かないといけないと思いました。もう書かないとは思いますが、これが真実だと言いたいときもあるのです。

2022年4月20日水曜日

 生まれてきたからには楽しく生きる権利

 神谷美恵子さんの『心の旅』はまだ半分までしか読み終えていません。やっと学齢期に差し掛かったところです。

 学術書ですから、著者の意見はほとんどさしはさまれていませんが、昨今のわが子に対する暴力や殺傷のニュースを見ると、何か、答えが書かれていないだろうかと目を皿にしてしまいます。中に一つ見つけたと思ったのは、と、後から探しましたがどこだったか見つからなくなってしまいました。

  とにかく、親になる自覚を持たなければならない。親にならない選択をする人たちも増えてくるかもしれないという感じのところでした。

 これ、私がこの頃思っていることです。今この歳になると、子供や孫のいることは心強いし、楽しい老後です。でも、今起こっているウクライナ戦争や自然災害、地球を破壊しかねない化学物質のことを考えると、自分は幸せだけれども、子供や孫たちも幸せに過ごせるだろうかと思ってしまいます。グレタさんが言っている、『子供たちの未来』です。

 病気もあります。そして何よりも誰もが老化して死んでいくのです。死を迎えるという事を考えると、自分自身でさえも暗い気分になります。子供たちだって例外ではないはずです。

 生んでしまってよかったんだろうか、自分の保身のためだったんじゃないだろうかと思うこともあります。そして、生まれてしまった以上は、今を最高に楽しく生きていくしかないのではないかと思います。

 この間、『赤ちゃんポスト』の記事を読みましたが、これを考えた人は本当に神様ですね。生まれてきてしまった以上、楽しく幸せに生きる権利があるのです。

2022年4月13日水曜日

 岡田准一さんのいい言葉

 実は、本当を言えば、私はジャニーズ系の役者さんは好きではないのです。たとえどんなにハンサムでも。

 この方も昔大河ドラマの『軍司官兵衛』で黒田官兵衛役をやられていたのは知っていて、少しは見たのですが、あまり印象に残っていません。

 その後、宮崎あおいさんというその頃、悪い男に引っかかって離婚した有名女優さんと結婚したのも知っていました。そこのところは、まあ『いい奴だな』とは思っていたのですが、宮崎あおいさんもそんなに大好きな女優さんでもなかったので、ミーハーな私でも追っかけて情報を探すなんてこともしませんでした。

 この記事を見つけたのは本当に偶然だったんです。何が自学になるかわかりません。でも、一発でいい言葉だとおもいました。

 『岡田准一 小学生時代から「どういう大人に、男になりたいか」意識 きっかけは両親離婚後の母の言葉』という題名で、『大黒柱』と言われたことを意識していると答えています。

 私が感心したのは次の言葉です。『岡田はまた「自分も25年仕事をしてきて、『人生を愛するように、仕事は恋するように』っていう、僕の中で大事にしている言葉があって」と語り、』という下りです。なかなか忙しい日常の中で意識し続けることは難しいと思いますが、まさに理想です。

 老いた今になって、『ああ、私もこんな人生を送ればよかった』と思います。

これからでも間に合いますかどうか。

2022年4月6日水曜日

 英国ミステリー噂話 マヨルカ島の捜査ファイル

 『国際色豊かなスペインのリゾート地マヨルカ島を舞台に、エレン・リス演じるイギリス人刑事ミランダとジュリアン・ルーマン演じるドイツ人刑事マックスが事件を追う1話完結の刑事ドラマ』と説明には書いてありました。また、『制作:2019~2020年 イギリス/尺約60分 シーズン1・全10話 シーズン2・全6話、原語:英語、原題:The Mallorca Files』という情報も見つけました。

 これぞ正真正銘の英国ミステリーです。このところ、なかなか気に入った英国ミステリーに出会わなくって、アメリカのドラマやオーストラリアのドラマを見ていましたが、これは気に入りました。その理由は端的に言って景色がいいからです。

 『国際色豊かなスペインのリゾート地マヨルカ島』なんてこれから先も見られそうにありません。

 イギリス人にもこの傾向はあるんだろうと思います。見たことはありませんが、カリブ海の島に赴任する刑事のドラマが時々放送されています。

 『ミステリー in パラダイス(原題:Death in Paradise)は、イギリスBBCが製作・放送するミステリードラマ。2021年5月時点でシーズン10まで製作されており、日本でもAXNミステリーチャンネルにて最新シーズンまで放送されている』

 これは『シェトランド』や『ヴェラ』等の英国北東部の荒涼とした風景のドラマと好対照で、イギリスの人たちも温かい気候や景色は憧れなんだろうなと思います。

 で、これと言って、個性的なドラマの特徴もありませんが、国際色豊かなスペインのリゾート地マヨルカ島で、楽しそうに暮らしている美男美女の刑事は、心から羨ましく思います。

 そういえば、ここマヨルカ島で「ロシアのオリガルヒの豪華ヨットが」というニュースがありました。正確には『[マドリード/ワシントン 4日 ロイター] - スペイン警察は4日、米当局に代わり、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)ビクトル・ベクセリベルク氏が保有する豪華ヨットを差し押さえた。』というニュースです。

 ロシア軍のウクライナでの虐殺の報道でもちきりのなか、お金持ちは逃げられるんだと思ってしまいました。UAEやトルコでは不動産を買いあさっているようですし、戦場で戦っているロシア人は、何のためにやっているのでしょう。

2022年3月30日水曜日

 ミニマリスト、洗濯のウソ、ほんと

 毎日ウクライナが心配で、落ち着かない日々です。

 そんな中、ガスの値上げの通知がまた来ました。この前は全般的な燃料費の値上がりの時期で、その時はガソリンも徐々に上がってきていました。今回はロシアの侵攻一か月後で、短期間で二度目の値上がりです。

 ガソリンは何とか政府が抑えているようですが、高止まりです。灯油は一年前に比べたら、四割くらい上がっているようです。数字でいうと、670円くらいから1040円くらいです。当然のように電気料金も値上げです。

 これが、サイクルになって、配送料の値上げになり、製造費の値上げになり、円安も始まって、原料も高くなり、インフレーションの始まりでしょうか。政府が言っていたインフレ策とは別のかたちで、自然に来てしまいました。

 昔は、年金は物価にスライドして上下すると言われていましたが、今度それは改訂されて無くなったようです。なので、私たちも自衛しなければなりません。

 どんな自衛をするか、ミニマリストの腕の見せ所ですが、製品を買わないと今度は生産者が困ってしまうので、必要なものは、特に食料品は買わなければなりません。

 で、今、足りなくなっている石油については、ある程度、工夫できるのではないかと提案いたします。

 ニュースで見ましたが、あのマヨネーズの袋のようなポリ袋、あれも石油製品なのだそうです。で、原油が来なくなってポリ袋が足りなくなったとして、製造会社が独自に回収箱を置いているという話題を放送していました。

 だから、無駄な石油製品を買わなければいいのですよね。

 ここからが、本題の洗濯の話です。よく、石油系の洗剤という言葉を聞きますが、洗剤やシャンプーはどんどん進歩して、今やおちないものがないような宣伝がされていて、さらにはそれが強すぎるのか、柔軟剤とやらで、静電気を防ぎ、柔らかく仕上げるというのが定番のように言われています。私もそうでしたが、そう言われればそうだと思い込んで、お金もないのに、一通り揃えたりしていました。これ、洗脳というものじゃないですか。

 でもです、我が家で化学物質に過敏な人が出てしまい、洗剤もダメ、柔軟剤もダメ、になってしまいました。昔、夫のお仲間の人たちが湖に流れ込む界面活性剤の反対運動をしていて、その時我が家も自然由来の粉せっけんを使っていたことはありましたが、匂いがきつくって長続きしませんでした。でも、今は探せばそれなりの自然由来の洗剤が見つかります。

 それで、最初はそれを使っていたのですが、今は普通の化粧石鹸を溶かして使っています。つまり、小さくなった石鹸とか、ホテルでもらった石鹸とか、使い心地の悪い石鹸とかをネットに入れて水につけておいて洗濯水と一緒に洗濯槽に入れるのです。今はこれですべて間に合わせています。つまり、毛糸洗いもおしゃれ着洗いもです。アクロンとかモノゲンとかは当然石油系だと思いますし、クリーニングもダメなのです。

 一度お試しいただくとわかると思いますが、洗濯機のコースをおしゃれ着洗いにしておけば、そん色無く仕上がります。要は、私程度の働きでは、仕事に着ていてもそんなに汚れないのです。今どきのフリースなども静電気が起きません。それに、今どきはそんなに大事に洗って長持ちさせるというような衣類はありません。材質も形もどんどん変化していますし、むしろ、二、三年で廃棄出来たらちょうどいいのではないでしょうか。私は十年以上も長持ちさせていますが、よれよれでも全然破れませんし、私は修理ができるので、ちょっとくらいだったらたちどころに修理してしまいます。おしゃれだった私の母はポリエステルの服に対して「こういうのは古くならないから、捨てられなくて困る」と嘆いていました。

 こうしてプラごみのリサイクルと、石油系洗剤の不使用で、少しは石油の節約になるのではないでしょうか。そういえば、マイクロプラスチックが血液の中から見つかったという記事もありました。

2022年3月19日土曜日

 アメイジンググレイス

 このところ、車でCDを聞いているのです。娘に借りたもので、何枚かシリーズになっているものの一つです。

 最初は、鮫島有美子さんの『千の風になって』が入っているからという理由だったのですが、全曲聞いてみると、ある傾向が分かりまして、なんと言ったらいいのか、どうしようかという感じです。

 最初は『千の風になって』から聞き始めて、そのあとは『四季の歌』、『シューベルトの子守歌』、『涙そうそう』、『アメイジンググレイス』が12番目で最後です。それから1番目の『七里ガ浜』に行きます。これがダカーポさんの実にいい声で、いい歌だなと思っていると、「真白き富士の根、緑の江の島」って、どこかで聞いた歌だなと思ったのです。その歌詞をたどっていくと、これは、ここ七里ガ浜で12人の子供たちが亡くなって、それを悲しむ親の歌だと気が付いたのです。

 それから『大きな古時計』もおじいさんが亡くなった歌ですし、『赤いサラファン』は「若いときはすぐに過ぎてしまうよ」と諭す母親の歌のようです。そのあと『手のひらを太陽に』、『七つの子』、『船頭さん』は童謡ですが、『曼殊沙華』は意味も分からないし、陰気な曲だなあと思っただけでしたが、調べてみると、『「GONSHAN(ごんしゃん) GONSHAN 何処へゆく」が歌い出しの『曼珠沙華(ひがんばな)』は、北原白秋の詩集『思ひ出』に収録された詩に山田耕筰が作曲した日本の歌曲』だそうで、幼子を亡くした母がヒガンバナを摘みに来る悲しい歌のようです。それからまた『千の風になって』につながります。ここで『千の風になって』はお葬式ソングだと気が付きます。だからこのCDはお葬式ソングのCDだったんだと気が付いたわけです。

 考えてみれば、『手のひらを太陽に』、『七つの子』、『船頭さん』『四季の歌』、『シューベルトの子守歌』もどこか人生をうたっているような気がします。『涙そうそう』、『アメイジンググレイス』は死者を悼む歌です。この『アメイジンググレイス』が、外国の歌手かと思ってしまうほどの幸田浩子さんのソプラノで、非常に美しく歌い上げられているので、最初は気付かなかったのですが、メジャークライムで、お葬式のシーンで歌われているのを見て、確信してしまいました。

 このお葬式のシーンで歌われた歌は子供たち3人が歌う低音の歌で、こちらも胸にずしんと響く歌い方でした。歌い方でこんなにも違うんだと思ったものです。

 で、どうしたかというと、今もこのCDを毎日聞いています。よく考えたら、お葬式ソングって、鎮魂歌ですから、運転中の精神の安定にはいいんじゃないかと思ったのです。事故を起こさないように。

2022年3月6日日曜日

 映画の話 『2012』

 GYAOでドラマやミステリーを見始めてから、英国だけではなく、あちこちの英語のドラマや映画が見られるので、つまり、アメリカやオーストラリアやカナダ、もちろんイギリスも、タイトルを変えざるを得なくなってしまいました。

 で、ある日、テレビドラマ部門では目新しいのが無くなってしまって、映画のところを物色しているとこれがありました。二時間以上の長い、世界中が出てくる映画です。

 ウキペディアによると『『2012』は、2009年製作のアメリカ映画。監督はローランド・エメリッヒ。日本では2009年11月21日に公開。

古代マヤ人が2012年の冬至ごろに訪れると予想した人類滅亡に関する幾つかの仮説を元に製作された[3]。これはメソアメリカ文明の長期暦において、2012年12月21日に一つの区切りを迎えることから来ている。数人の登場人物らの行動を同時進行的に一度に描くグランドホテル方式である』

 地球の核が溶けだすという大惨事で、地球が壊れだし、大変精巧な映像描写で、まるで体感しているような感じでした。争いばかりの今の世の中にこんなことが起こるとしたら、人は反省するだろうなと思えました。

 東日本大震災が起きたのは2011年3月11日のことでしたが、なにか予言めいた作品になっている気がして、恐ろしさと謙虚な気持ちを持つべきだという覚悟じみた思いを感じさせられました。

 映画の話 黄金のアデーレ 名画の帰還

 これは正真正銘、イギリス映画だと思います。B B Cフィルムと最初に書いてありましたから。それに主演はあの『第一容疑者』のヘレン・ミレンでした。

 彼女について、最近記事を見たのです。『(2月)27日(日)にロサンゼルスで開催される全米映画俳優組合(SAG)賞で同賞(功労賞)を授与されるヘレンは、自身の輝かしいキャリアにもかかわらず、そのような栄誉に値するとは思っていないと明かしている。』と書いてあったので、この映画は彼女を称える意味で、gyaoが配信したんだと思っていました。

 でも、中身を見始めると、プーチンさんのウクライナ侵攻の恐怖を警鐘するためにgyaoが選んだのかなと思えてきました。

 ネタばれになってはいけないのですが、私がそう思うのは、彼女の演じるマリアの生い立ちからです。彼女はオーストリアに住んでいました。成功したユダヤ人の一家で豊かに暮らしていたのです。一家は音楽にも絵画にも造詣が深く、子供のいない叔父夫婦と両親、姉とみんな一緒に住んでいました。伯父は画家クリムトに、伯母のアデーレを描かせ、家に飾っていました。それが、「ウーマンインゴールド」という金箔張りの豪華な絵でした。

 時代は第二次世界大戦の時で、オーストリアはすぐにナチスドイツに併合されてしまい、ユダヤ人はすべてのものを略奪され、連れ去られました。

 彼女は運よく、声楽家の夫とともに逃れて、アメリカに住んだのです。

 核心の物語は、彼女が63年後にその絵を取り戻すというものです。どうも実際にあった話のようです。

 もう一つ、ソフィア・ローレンの『ひまわり』も、gyaoで配信していましたが、舞台はウクライナだそうです。ソ連侵攻に派遣されたイタリア軍の兵士が雪の中ふらふらになりながら撤収してくるところです。

 あの辺りにはひまわりの畑があるんです。ウクライナ侵攻の動画で、ロシア軍の兵士に「何しに来た」と詰問していたおばさんが、「ひまわりの種をやるよ。あんたが死んだらそこにひまわりの花が咲く」と言っていたのを思い出しました。

 プーチンさんもヒットラーも一度戦争を始めてしまうと、もう収められなくなってしまうのでしょうね。ウクライナの国連大使が言ったように、「自殺するなら、地下室でどうぞ」ですね。

2022年3月2日水曜日

 ウクライナ侵攻

 主に欧米のドラマを見続けているせいか、それとも、ロシアの動きが活発になってきていて、注意が喚起されていたせいか、24日に侵攻が始まった、どの国も助けに行かないと報道されると、ニュースから目が離せなくなってしまいました。

 確かにNATO軍が手出しをすると、バイデンさんの言うように第三次世界大戦になってしまうでしょう。それでも平和に暮らしている人たちが攻撃をされているのだから、と、気が気ではない思いです。

 2日、3日とウクライナが持ちこたえると、次々にロシアに対する制裁が始まり、全世界が結束してプーチンさんに立ち向かい始めました。バイデンさんは無能だとかトランプさんが言っていましたが、武力に頼らず、これだけの制裁をまとめたバイデンさんは実に有能な、生まれながらの政治家です。本当はもっとヨーロッパが動くべきです。太平洋側だって、知らん顔して中国もロシアも狙っているのですから。

 ウクライナの大統領のゼレンスキーさんも命がけの戦いを指揮しているわけで、コメディアンだったからなどと馬鹿にしている舛添さんたちが非難されるのは当たり前です。早く降参すれば、国民の犠牲も少なくて済んだのにという理論で行くと、舛添さんたちは自分はいち早く逃げると言っているようなものです。

 私は、まあ、老人ですし、大したことはできないと思いますが、タンクに詰めよっている住民たちのように、残って戦おうと思います。強権の独裁政治の下で暮らしていくのはもっと大変だろうと想像できますから。

 鳩山さんの投稿は、ウクライナ国内で、ウクライナ人に攻撃を受けているロシア系住民を守るために、プーチンさんは侵攻したという論理をそのまま信じているようです。そんなことないでしょう。もともとウクライナだったところにロシア系住民を移住させたのではないですか、日本人を追い出した北方四島にロシア人を移住させているように。

 プーチンさんがエリツィンさんを追い落とした時から、私もちょっと違和感を持っていたのです。その後も反対する人を次々に暗殺して、皆がやはりKGBだからやるんだなあと思っていたと思いますし、離婚して、ますますエスカレートしたように思いました。憲法を改正してまで大統領職にしがみつき始めました。

 今度のウクライナ侵攻では、私は最初老人ボケかと思いました。ひろみさんが「みんなが地球規模で未来を考えようとしている時代に」と言っていましたが、核兵器まで持ち出して脅しをかけるプーチンさんを、やはり、みんながおかしいと思っているようです。プーチンさんの精神状態を論ずる記事がいくつか見られるようになりました。中に、「プーチン氏は3年ほど前からカフェインを過剰摂取するようになり、性格が変わったといわれる。カフェインは男性ホルモンのひとつであるテストステロンを濃縮する効果があるが、恒常的に過剰摂取すると攻撃性が高まることで知られる。これによって元来持つ冷徹で攻撃的な部分が暴発し、ウクライナ侵攻に至った可能性は否定できない」という記事がありました。

 私も薄いけど一日に何杯もコーヒーを飲むので、コーヒーの飲みすぎかなと思って、よく読んでみたのですが、どうも違うようです。推測ですが、男性用の強壮剤でしょうね。薬はダメです。サプリだってダメだという事を実感したことがありますし、認知症の処方箋が怒気を誘発するのも見たことがあります。副作用があるんです。近くで注意する人を排除してしまった結果なのでしょう。

 今やプーチンさんは大変な大金持ちのようです。ロシアの初年兵が時給300円だというのを聞くと、ぼけて、しがみついているのかなと思えて仕方ありません。

2022年2月23日水曜日

 命短し恋せよ乙女

 これは大竹しのぶさんのお母さんの好きだった歌だそうです。NHKのファミリーヒストリーで見たのですが、お母さんはエステルさんといって、キリスト者の家に生まれて、洗礼名のような名前だったようです。

 キリスト教を広めるお祖父さんの家に、救いを求めるように来ていたお父さんと大恋愛をして結婚したそうですが、実はお父さんには別居中の妻子がいたようでした。まさに、命短し恋せよ乙女だったわけです。

 でもです。今は百歳を見据えて生き方を考えなければなりません。

 どうやって生きていけばいいのか。

 できれば、女性でも職業を持って、独立して生きていけるようにした方がいいと思います。私たちのころは、女性は結婚して子供を産み、家庭を守るのが目標のように教えられてきましたが、時代とともに価値観はすっかり変わってきてしまいました。

 子供はかわいいですが、収入が不安定では育てられません。子供がいれば、老後も楽しいことは確かですが、子供を老後の保険のように考える時代ではなくなってきているように思います。

 少子化だと言われていますが、育てるのも大変ですし、親も子も生きていくのも大変です。そして、老いや死は誰の上にもやってきます。歳をとった今日この頃は、人間は生まれたときから死に向かって走っているのだという、見たくない現実を身近に感じてしまいます。

 生きていくのも大変だと感じているときに、ロシアがウクライナに侵攻して、支配しようとしているだの、中国が台湾に侵攻しようとしているだのを聞くと、私もリトアニアの人々のように人間の鎖を作って、無暴力主義で戦って、死んでもいいかなとか思ってしまいます。中国のロックダウンのように町中消毒をされたら、アレルギー体質の我が家族はそれだけで死の苦しみを味わうことになってしまいます。本当に強権下で生きていくのは大変なことです。

 こういうことを若いころから予測できたら、人は子供を、その愛のために産まないだろうと思います。

 命短し恋せよ乙女というのは、そういう現実を考えるな、と幻惑している歌のように聞こえてしまうのですが、それは年寄りのひがみでしょうか。

2022年2月15日火曜日

 本、神谷美恵子著作集第3巻、『こころの旅』 月報(9)

 この本、美智子妃殿下の愛読書だと聞いて即、買ったものです。いつのころだったでしょう。妃殿下が療養生活を終えられたころだったと思います。私にだって人に言えないつらい時期はありました。結構言いまくっていましたが。

 で、買ってみたのです。ところが、一ページで閉じてしまいました。いわゆる学者さんの本でした。血沸き肉躍るという文章ではありません。それ以来、40年くらいたってしまったでしょうか。つぶす時間に本を読み始めて、またこの本に行き当たったのです。

 本の間から、この月報がはみ出ていました。普通は月報はあまり読まないのですが、なかなか気が進まない本体を前にして、ちょっと見てみたのです。

 三人の方が、神谷先生の人となり、ご自分とのかかわりを書いていました。

高橋幸彦氏、「神谷美恵子先生と愛生園」。ここで『お』と思ったのです。愛生園って聞いたことのある名前でした。何年か前、隔離されていたハンセン病の患者さんたちが解放されて補償を受けられたという話があって、そのドキュメンタリーをテレビでも何度か放映していました。神谷先生はそこの精神科のお医者さんだったというのです。この高橋先生は神谷先生のお弟子さんで、同じく精神科のお医者さん、東京の大学に転任される神谷先生のあとを託された方のようでした。この文章の中でお二人のやり取りを見ていると、世の中にはこんな誠実な方たちがいるんだと、自分が恥ずかしくなります。そう感じるという事は、私にも誠実のかけらのようなものが少しは残っていたという事でしょうか。 

 二文目の『神谷先生を偲んで』の田中孝子さんは園の中で看護婦長さんをされていた方でした。前に読んだ『世界の奇談』でライ病に苦しむ患者さんたちの隔離政策の歴史を読んだばかりでしたので、身を投じて看護をしていた方がいたという事も驚きでした。まさに愛生園の看護の歴史を物語ってくれ、その中で神谷先生が、本を書いて印税が入ったから何かに役立ててと寄付をしてくれる様子を描写してくれていました。

 三文目は玉川よ志子さんという方で、病気のご主人を看病しながら、神谷先生と文通を重ねた方のようでした。その縁は先生のご尊父とご主人のご尊父が内村鑑三先生の門下だったという事でしたから、あの時代のキリスト教の精神が色濃く感じられました。

 氏も育ちも頭もよく、本の裏の経歴を見ただけでも「津田塾大卒、コロンビア大学留学、東京女子医専卒、東京大学医学部精神科、大阪大学医学部神経科勤務を経て、神戸女学院大学教授、長嶋愛生園精神科勤務、津田塾大学教授、医学博士」。

 ウキペディアには、そうそうたる家族のメンバーも書いてありましたが、あの時代の波の中で自分を貫いた生き様は尊敬すると言う言葉しか思い浮かばない、激しいものだった気がします。

 それはまた、『こころの旅』を読み終えたら、再考することにしたいと思います。先ずは読まなくっちゃ。

2022年2月9日水曜日

 本、『世界の奇談』ー秘められた真実―庄司浅水著 現代教養文庫 社会思想研究会出版部刊、昭和36年初版第11刷

 夫は昭和15年生まれでしたから、これは夫が若いころに読んだ本だと思います。確かに、血沸き肉躍る外国の歴史の逸話集です。

 この本、今でも改定を重ねて何冊も出ているロングセラーのようですが、これが初版です。著者の庄司 浅水という方はこういう奇談集を何冊か出版しているようですが、どんな方なのか気になりますよね。奥書には書物研究家と書いてあります。確かにたくさん本を読んで、たくさんの逸話を知っているという方のようです。

 本には13篇の逸話が載っていて、題名を見ただけでも興味をそそられます。

1と2はロシア革命の話です。1では国王一家を処刑したという処刑人の告白が書かれていて、処刑人は全員殺して、灰になるまで焼いたと今わの際に言ったようです。1958年出版のこの本にはそう書かれていますが、その後、遺体が掘り返されてDNA鑑定がされたというニュースがありました。きっと改訂版には、違う結果が書かれているのでしょう。とにかく古い本ですが、書物研究家の著者の面目躍如というほど、興味深い知識がいっぱいちりばめられています。

 3と4と5と6,7はアメリカ大陸の話です。コロンブスからハイティー、メキシコ、チチェン・イッツア、インカのこわい逸話。

 8はギニアにある、監獄島の話です。ここはフランス、イギリス、オランダに分割されているのだそうですが、その中のいくつかの島は監獄として使われていたのだそうです。死ぬまで出られない監獄だそうです。

 こんな話、ごく最近でも聞いた気がします。それはアジアから船に乗ってやってくる移民を受け入れないオーストラリアが近くの島に居留地を作って閉じ込めているという話でした。移民受け入れをしない日本でも入管施設で、長期に渡る無期限の収容をして、問題になっています。あとはキューバのグアンタナモの監獄なども浮かんでくるような話でした。

 9、10、11、12、13は中東の昔の話です。その時代、エルサレムに住んでいたユダヤのダビデ王は人類始まって以来の世界一の金持ちだったのだそうです。ここを読むと、やっぱり金持ちとユダヤ人て縁が深いのだなあと思います。

 さらに、紛争ばかりしている感じのエルサレムがそんなに大きな都市だったのだと初めて知りました。

 その息子ソロモン王が建てた神殿のうえに、今はイスラム教のモスクが建っているんだそうです。そのモスクの下にソロモン王の秘宝が眠っているとかいないとか。いつの世もお金のある所には、人が集まり、争いが起こるのでしょう。

 サロメの話も出てきます。殺されたバプテスマのヨハネはイエスの先行者だったようです。この辺りは著者の聖書の知識が遺憾なく発揮されています。昔、英文科の必修科目に聖書があったのを思い出しました。あの頃は興味がなかったのですが、あちらの方では聖書は多方面に多大な影響があったのでしょう。

 パルミラ(シリア)の女王ゼノビアは、ローマに抵抗して、パルミラに大都市を築いた砂漠の女王の戦いの一生の話です。

 最後はライ病の島の話。この島はクレタ島の近くにある美しい島だそうです。古来から、ライ病は感染症として恐れられ、日本でも隔離政策がとられました。この本が出版された1957年までには特効薬も開発され、光が見えてきた時期のようです。どこかコロナのパンデミックを想起させます。

 知識がいっぱいのようで、あとがきにも、死海文書や雪男の話など、これから書きたいことが点描されていました。

 目からウロコ!という話が多くて、人間は恐ろしいという感じの世界観が広がった気がしました。

2022年2月2日水曜日

英国ミステリー噂話 クロッシングライン

 ヨーロッパの国境をまたぐ事件を捜査する国際警察の話なのです。で、言語は英語なので、当然英国ミステリーだとばかり思って見ていました。

 集められた刑事たちは、フランスの警視とアメリカの元刑事、ドイツのコンピューターに精通した刑事、イタリアの女性刑事、イギリスとアイルランドの出身の男女二人、フランスの女性刑事。始まってまもなく二人の刑事が殉職してしまうという、ちょっとハードな展開でした。

 で、やっぱり、このころから、ちょっと英国ミステリーっぽくないなと感じ始めて検索で調べてみたのです。

 『クロッシングライン 〜ヨーロッパ特別捜査チーム〜』は、アメリカ・NBC放送のクライム・サスペンス。とウィキペディアには出ていました。

 放送チャンネルはRai 2 (イタリア)、TF1 (フランス)、NBC (U.S.)、Sat.1 (ドイツ)の四か国のようです。

 確かに情緒たっぷりに描く英国ミステリーと違って、事件もきついし、テンポも速い、チームの構成員の専門性が強いし、それぞれに訳ありで、それでいて、結束が強い。そういうところをみると、『メジャークライム』を想起してしまいます。

 こういうのがアメリカのドラマ作りの主流になっているのでしょうか。

 昔、ケーブルテレビで見たときは、あまりにも速いテンポに圧倒されて、一話でやめてしまったのですが、メジャークライムで、テンポになれたせいか、今回はついていけて、というより、いわゆる、くせになりそうという感じです。

 確かに、警察社会はただ単に一つの犯罪を追いかけるというより、チームのそれぞれの人間性がぶつかりながら、交錯しながら、科学捜査を駆使して、結果として仕事を成し遂げるというののほうが現実味があるような気がします。だから、圧倒的なスターはいらないのかもしれません。

 人間味のある刑事たちが、それぞれ葛藤しながら、チームとして事件を解決していく。まさに、『メジャークライム』の世界です。

 シーズン1は2013年で、2014年、シーズン2、2015年、シーズン3が放送されたようです。

 ちなみに『メジャークライム』の放送期間は、2012年8月13日ー2018年1月9日だそうです。

2022年1月27日木曜日

 みんな元気だね、気合を入れる

 ある日ネットにこんな記事がありました。『〈近く結婚へ〉コロナ拡大の中、2週間で5回不倫デート、厚労省の橋本岳副大臣と自見英子政務官が交際』。これだけ人目を惹く立場にいながら、『度胸がいいなあ』』とうなってしまいました。

 人の批判や目が怖くって頭を抱えてしまうような私には考えるだけで恐怖です。

 こんな時、思い出します。貴族の夫を捨て去って、何度も結婚し、父親の違う兄弟たちを何人も生んでくれたという、ベニシア・スタンリーさんのお母さんが子供たちに言ったという言葉。『引っ込み思案は損だよ』『チャンスを逃してしまう』

 彼女は晩年、最後のパートナーとアイルランドでホテルを経営していたみたいです。

 日本には『もときにまさるうらきなし ;』『【意味】、 本木に勝る末木なしとは、いくら取り替えてみても、結局は最初のものが一番よいというたとえ。特に、夫婦関係、男女関係』ということわざがあります。彼女の場合も十分に当てはまりそうですが、彼女はこれらの言葉を息子の嫁に言ったようなので、彼女自身は波乱万丈の人生に後悔をしていなかったのでしょう。

 かくいう私は、引っ込み思案の典型のような『時間つぶしの老後』を静かに幸せにおくっています。

 誰でもこんな時は、『これでいいのかな』と思うもののようです。ドラマを見ていると。

 私も思います。『引っ込み思案は損だよ』『チャンスを逃してしまう』というベニシアさんのお母さんの声が聞こえてくるようです。

 かといって、老人の私に何ができるのでしょう。考えてしまいます。この考えるという行為が『一歩前進』なのかもしれません。いいアイディアが浮かんだら、しぼんでしまいそうな自分となまけ心に気合をいれて、前に向かう。生きるってそういうことなのかなと、ひとりの時間に一人納得しています。

2022年1月15日土曜日

 この歳になると、人生は時間つぶし

 そんな言葉が漏れてきてしまうほど、必死に忙しく時間つぶしをしている感じです。時間割さえ決めてあります。筋トレをして、ごみ出しをして、歯磨きをして、ご飯を食べて、整体のユーチューブ、それから、外回りに行って、用事をして帰ってくると、縫物、掃除洗濯、料理、一日の終わりはネットを見て、ドラマを見ながらマッサージ機にかかり、風呂に入って本を読みながら寝る。このパターンが出来上がりつつあります。

 「もっと有意義に生きられなかったのかなあ」と、来し方を振り返っていると、『小学校で、経済の授業を取り入れるらしい』と聞きかじりました。

 「当然だよね。だって、どうやって生きていくのか、自分に何ができるのか、世の中にどんな仕事があるのか、全然わからないんだもの」と娘も言いました。

 また、入試の季節が巡ってきて、『韓国版大学入試共通試験 ことし唯一の満点獲得者は「仮面浪人女子」だった その徹底した勉強法とは?』という記事が目に入りました。もちろん中身は読んでいません。もう入試はたくさんです。

 入試の勉強って、一種のゲームのようなものだと思います。大人がこぞって、子供たちにゲームをさせているようなものです。少なくとも私は、自分が何になりたいのか、何ができるのか、全く考えることもなく、人と競争して、丸暗記して、大学に行ったような気がします。そして、結局、何にもなりませんでした。

 毎年、入試の季節が来ると思うのですよね。もっと子供たちのためになるシステムはないのか、本当に勉強をしたい人たちに機会を与えられるシステムはないのか、子供たちが迷いながら、自問自答しながら社会に参加するシステムはないのか。

 今、大学生が社会勉強をする機会って、アルバイトだけです。そうして、機会を与えられないまま、就職して、違っていたとなったら、あとは契約社員とか、フリーターになるしかない。自分の道は見つけられない。私のように。

 私が特別とろかったのだとは重々思うのです。なぜなら、同級生たちは先生になった人が多く、定年まで全うしたようですから。

 私のこの時間つぶしの老後は静かで、十分に幸せなのですが、それでも入試の季節になると、心穏やかでなくなるのは、私だけでしょうか。

2022年1月14日金曜日

 ミニマリスト、われらの時代

  今の70代の日本国民は、いわゆる団塊の世代です。親たちは戦中戦後を生き抜き、私たちは戦後のもののない時代に育って、親世代のおかげで確かに豊かさも感じさせてもらいました。

 それでも、われらの世代の人々は、絶対に節約の何たるかを知っている人たちだと私は思います。私がしまり屋でケチなのかなと思ってしまいますが、昔は主流だったのです。

 例えば、同年代の知り合いに、「靴下にツギを当てる」と言った人がいました。もうその頃でも、そういう手仕事をする人はほとんどいなかったのですが、昔からそうしていると、それが当たり前になってしまっていたのでしょう。ちなみに、戦中生まれの夫は、底が薄くなってくると底を上にして履いていました。二倍長持ちするはずです。

 その頃、というのは、私の子育て時代のころですが、既製品と言われる衣類がどんどん出てきましたが、まだ布地を買ってスカートやブラウスを作る人はたくさんいて、いわゆる手仕事のできる世代でした。その頃の、新聞の投稿欄に、「パンツを手作りしている」という記事が載っていました。ご主人が「そろそろ、古くなってきたから、新しいのを作ってくれ」と言ったのだそうです。奥さんは新しい綿生地を買ってきて作ったと書いてありました。

 そこはそれ、なんにでもすぐに影響されてやってみてしまう私ですから、古いパンツをばらして、型紙を取り、いらなくなった浴衣地や古いTシャツで作ってみました。結果、夏は浴衣地や綿のもの、冬は伸びちじみのするニット生地のTシャツをリフォームしたものが着心地がいいとわかりました。市販のパンツよりずっと着心地がいいのです。

 で、新しい生地で作って、娘たちや姪にあげたのですが、即、返されてしまいました。

 今、困窮していて、紙おむつが買えないというシングルマザーの訴えがありましたが、私たちのころは、紙おむつを使わない世代でした。古い浴衣地を母が直したおむつとおむつカバーで、毎日洗濯して使いました。昔のやり方がよいとは思いませんが、今はものが豊富になり、使い捨ての時代ですから、節約の下地がないような気がします。だからミニマリストというと珍しがられるのです。

 でも、われらの世代、特に親の世代の人々が、今いうところのミニマリストだったわけでもありません。何せ、物のない時代ですから、手元にあるものは何でもとっておいた、捨てられない世代でもありました。手元にあれば、いつか使える、いつか役に立つと思っていたのです。そういう傾向は、私なんかにも大いにあります。どれを断捨離するか、選ぶのが大変です。

 近所の人が、親の家を片付けていて、「箱がたくさんあるから、なんだろうと思って開けてみると、空箱ばっかりだった」と閉口していました。いつか役に立つだろうと思っていて、あればそれなりに役には立っていたのでしょう。

 姑や母の衣類もそうです。いつか着る機会が来ると信じていたのでしょう。私にもその傾向があって、みんな直して掛けてあって、娘に「体は一つよ」と言われています。体もそうですが、時代差もあります。昔は何でも、夏は綿、冬は毛でしたが、いまは全く違います。夏には発汗性の化学繊維がありますし、冬には起毛させた温かい、洗濯も簡単な化学繊維が主流です。古い毛百パーセントのコートを直してあげても誰も喜ばないのです。それでもミニマリストを認じる私は直してきています。私は知っているのです。あの頃は高かったのですよ。

 私の世代の人たちは、結構みんな無意識のうちにミニマリストをしているような気がします。言い換えれば、節約家という事です。

 近所の同年代の人たちは、まあ、年金世代になって時間もできたからでしょうが、畑で野菜を作っている人がたくさんいます。草取りが大変だと思いますし、買った方が安いという指摘もありますが、自分が作ったという安心感は何物にも代えがたいようです。ミニマリストとしては自給できているという満足感もあるのでしょう。

2022年1月7日金曜日

 英国ミステリー噂話、またメジャークライム、作ってる人はどんな人。

 あまりに環境が自由で、同性愛あり、マイノリティーの優秀な警官たち、養子、アルコール依存、ギャング抗争、アメリカ社会のありとあらゆる現象を取り入れて物語が展開してゆく。俳優さんたちも役になり切って、体当たりで演じている。一体どんな人が総指揮をして作っているのだろうと思ってしまいました。

 ジェームズ・ダフという人らしいです。私が知っていることは、ワトソン予備警官役のフィリップ・P・キーンと同性婚をしているらしいという事だけです。

  さて、ウキペディアに行ってみましょう。と意気込んで調べたのですが、出ていませんでした。

 一つだけインタビュー記事があって、その中にこんな記述がありました。どうやら最初に有名になったテレビ脚本が『クローザー』だったようです。それから『メジャークライム』へとつながったようです。

 『ニューヨークで役者とアルバイトの合間に書いた芝居がウケて、ロンドン、ヨーロッパから全世界で興行に。映画の脚本を書くためにロサンゼルスに越して来て、居ついてしまいましたが、映画になるまでの時間は、氷河が溶けるのを待っている感じで…(笑)。初めて書いたテレビ用脚本がエミー賞候補にあがって、それ以来テレビです。企画の進行が抜群に早くて、物書きには魅力ですが、その分怖いし、挑戦ではありますね。』

 年齢も書いてありませんでしたが、『クローザー』は2005年に始まったようですからまだ若そうです。ちなみにフィリップ・P・キーンの記事を読んでみましたら、彼は1966年生まれだそうですから、そのくらいでしょうか。中に、『Phillipと夫のJames Duffはすでに20年間一緒になっており、2013年に結婚しました。DuffはThe Closer and Major Crimesの創設者です。』という記事がありました。

 結果として、若くて、いろんなことに関心があり、いろんなことを鋭敏に察知する能力がある人という事でしょうか。なんとなく、台湾の蔡英文総統を思い浮かべてしまいます。

 本、『無の道を生きるー禅の辻説法』有馬頼底著 2008年集英社新書

 これは夫の本です。夫は得度したくらいですから、仏教にあこがれを持っていたのでしょう。この著者の名前は何度か聞いたことがありますが、宗教って詐欺だと思っている私はきっと上の空で聞いていたのだと思います。

 読み始めてみると、以前『色即是空』で書いた、『クワイ河に虹をかけた男』永瀬隆さんが言っていた『人間とは価値のないもの、その行動で初めて価値が生まれてくる』という考えに似ていると思いました。それと似たようなことが『第一章、禅ってなんやろ』に書いてあって、少し親近感を持って読み始めました。

 第二章からは著者の生い立ちが書いてありました。

 1933年生まれということは夫より七歳上、それで夫は親近感を持ってこの本を読んだのでしょう。しかもその生い立ちはまるで夫の尊敬する一休さんのよう。旧華族の出自でも、戦後の家庭崩壊で8歳で寺に預けられる。昔お寺はそういう施設のような役割もになっていたようで、昔のお坊さんには小僧として育ったという方が確かにいました。結構つらい小僧修行ののち、やがて、京都のお寺に入門し、そのままそこで出世していくのです。『臨済宗相国寺派七代管長(相国寺一三二世)に就任。相国寺、金閣寺(鹿苑寺)、銀閣寺(慈照寺)の三ヵ寺の住職を兼ねる』

 この経歴を見たときに、私は違和感を感じたのです。『なんでこの有名な三ヵ寺の住職が同じ人なのか』。が、大徳寺の住職になった一休さんを尊敬していた夫は拍手喝采して益々親近感を持ったのではないでしょうか。本の中で、著者はその権限の役職にいたとき、自分で三ヵ寺の寺法を改正したと書いてあります。『まるで習近平さんやプーチンさんのような」と思いました。私は批判心が旺盛なので、ちょっと悪意がありすぎるかもしれません。書いてはありませんが、有名な金閣、銀閣の方が収入があって、本山の相国寺が疲弊してしまうのを防いだというようなことを夫から聞いたような気もします。

 そのあとに、養護施設を運営していること、当時の六億円を集めて、美術館を建てたことなどが書いてありました。お寺の蔵の中に眠っている美術品を皆さんに見せたいという思いがあったそうです。確かにこの方は美術に思い入れがあるようで、ご自分が書かれる書も立派なものです。

 同時に文化財保護に対しても強い意見があるようで、京都の街並みから茶の湯や能などの文化や西陣織などにまで深い造詣が語られています。当時京都市が行った古都保存協力税に反対して拝観拒否をした中心人物だったようです。夫もこの古都税に大反対をしていましたから、だんだんに著者と夫の接点が現れてきました。

 この辺で、『まだ生きているのかしら』と思ってウキペディアを見てみました。まだご健在のようです。その中に『朝鮮民主主義人民共和国とも親しく往来している。在日本朝鮮人総聯合会の式典にも出席し、『故金正日総書記の指導のもとに発展を続ける朝鮮』を讃えた[7]。2016年11月に仏教界代表団として4度目の訪朝をしている。2017年12月24日に大阪府で開催された金正恩著作研究会(北朝鮮・チュチェ思想研究会)結成集会に参加した』という記事がありました。

 この旅行を取り仕切ったのは、多分夫の知り合いです。夫は行きたそうに話していましたが、行かなかったのを見ると、旅行代金が相当高額だったのだろうと思われます。そのあとには次のような記事もありました。

 『大阪国税局の税務調査により、2009年からの3年間で約2億円の所得の申告漏れを指摘され、修正申告した。所得内容は揮毫料で、使途は文化財購入で個人的消費はしておらず、お金もないと主張している。しかし、相国寺・金閣寺・銀閣寺の三つの宗教法人から受ける給与だけで年間所得は3000万円超だと報道された』

 とにかく、地位も名誉もそしてお金もすべて手に入れた、現代版一休さんです。でも、こういう方にはお金を吸い取り紙のように吸い取る腰巾着が必ずついているものです。

  最後につらい修行にもかかわらず、仏教が好きで離れられなくてここまで来たと話し、禅に関係する歴史や哲学の造詣を話します。禅は経験を通して学ぶ学問であり、有るのは今だけ、あとは無。確かに地獄極楽の話は一行もありませんでした。これ、自学に似てるなと感じます。自分で考えて学ぶ。