2022年11月13日日曜日

 情の深さ

 先日、材木にけつまずいて転んでしまいました。うまく転べば、例えば赤ちゃんのようにゴロンと体ごと転がれば、痛い目をみないで済んだのにと思うのですが、コンクリートの上にばっちりと膝をついて身体を支えようとしましたが、できなくって転がったという感じでした。それで、膝に痛みがあり、歩くのが苦痛になってしまいました。

 で、ここまでは前段階です。私は上の娘の体調不良のために、孫の送り迎えを手伝って隣町まで行っているのです。さあ大変。仕方がないので、下の娘に運転して一緒に行ってくれるように頼みました。下の娘は快く引き受けて、杖を突いた私の介助をしながら、孫の送り迎えを手伝ってくれました。

 そのことを上の娘に話すと、まあ感謝はしましたが、姉としてはプライドがあるのか、「下の子の方が手伝ってくれるみたいね」と言いました。「家でも下の子はとても良く手伝ってくれるのよ」と。

 私はちょっと『まあ』と思いましたが、『確かにそうだ』とも思いました。というのは、私も上の子で挨拶もできないような引っ込み思案の怠け者でした。下の子の弟は積極的でよく母を手伝い、両親の期待によく答え、亡き後もすべてを引き受けて守っています。

 孫の下の子を見ると、キカン坊ですが、積極的に注意を自分に向けるように仕向けないと振り向いてもらえないとわかっているように、親に話しかけ、頼まれたらすぐにやろうと身がまえています。確かに環境の産物というのは当たっていると思います。

 上の娘はなかなかうがったことをいう事があって、昔、「子供を育てるという事は、子供が独立できるように育てることなんだ」と言ったことがありました。私が弟にそれを言うと、弟は即座に「その通りだ」と言いました。確かに弟の子供たちはみな家を出て独立し、弟夫婦は淋しくも安心して暮らしています。

 我が家では、その言葉を言った上の娘は体調不良でいつもヘルプを求めていますし、下の娘はロストジェネレーションの年代で、一緒に暮らしています。結婚がいいとは思いませんが、どちらも独立しているとは言い難い。

 近所の方で、子供たちが独立して遠くにいて、やはり夫婦二人で住んでいる方は、「あなたのところは羨ましい」と言います。確かにそうですね。先行きは不安がありますが、今はとっても幸せです。世の中なるようにしかならないのですから、『今が幸せ』というのは一番大事なことなのかもしれません。