2021年12月17日金曜日

 年寄りのダイエット

 一年位前、足が痛くなって、運動ができなくなったこともあって、体重が増えました。これはいけないと思って、何か私にできるダイエットはないかとファスティング、つまり16時間断食というのを始めました。2、3か月は体重も増えなくなり、これは正解かなと思ったのですが、なんとなく頭の働きが悪くなっていくような気がしてしばらくして止めました。

 それから自由に食べ始めて、また体重が増えて、といつものパターンになったのですが、足も治ってきて、少し運動もできるようになり、今度は運動するために体重を軽くしなくてはと、回らない頭で考えました。

 で、また行きあったのが、腸内フローラを増やすというあのダイエットです。私はイタリア人みたいに、昼頃にお腹がすいてたくさん食べます。その時、いわゆる、『ドカ食いはしない』という昔のダイエットの言葉が思い出されました。好きなものはそればっかりいくらでも食べられてしまうのですが、これを『いろんなものを食べる』に変えたのです。同じものはなるべく食べないようにして明日に残し、違うものに手を出すようにして、多分一日30品目は食べています。

 この昼食にたくさん食べるという習慣は、結構役に立っているような気がします。つまり、夕食に食べる量が減りますし、娘が5時に作ってくれる今どきの夕食を食べて、そのあと食べないようにすると、翌朝6時過ぎに食べるまで、およそ13時間くらいの断食ができるわけです。

 昼に一気に食べ過ぎたり、だらだらと食べ過ぎたり、時々便秘をしたりで、口角炎になったりしますが、体重は抑えられているようです。やっぱり年寄りはそれなりに燃料を補給してやらないと頭も体も動かなくなるような気がします。

2021年12月10日金曜日

 本、『野望』船山馨 1976年、三笠書房発行

 これは図書館の除籍本でした。この船山馨という名前に聞き覚えがあって、『昔テレビドラマでやっていた北海道開拓の話ではないかしら』と思って、いただいて来てしまったのです。それから40年でしょうか、結局読まないで積んでありました。

 読み始めると、どうも北海道ではなくって東京のようです。でも、この作者は私の大好きだった山本周五郎のようなストーリィテラーで、難なく物語に入っていけましたから、きっと面白く読めるだろうという予感はありました。

 それでも、やっぱり気になるので、ウキペディアで調べてしまいました。

 1914年『北海道札幌市生まれ。実父の小林甚三郎は余市町の出身で、馨の出生当時は東北帝国大学農科大学(現・北海道大学農学部)の学生であった(後に北海道拓殖銀行などに勤務)。母方の実家の意向で母方の船山姓を名乗り、実父とも生後間もなく離別した。なお、馨によると甚三郎はクリスチャンで、トルストイなどの文学愛好者でもあったという。養父は新聞記者・森笛川。』

 やっぱり北海道の人だったようです。

 若くして名が売れたのに、ヒロポン中毒で名を汚し、『1967年に地方紙(北海タイムス)に発表した歴史ロマン『石狩平野』がベストセラーとなり、小説新潮賞も受賞、文壇の表舞台への復活を果たした。その後も『お登勢』『見知らぬ橋』『蘆火野』『放浪家族』、遺作となった『茜いろの坂』まで、新聞小説を主として精力的に作品を発表し、また多くの作品がテレビドラマ・舞台化されるなど、中間小説の大家として活躍し、国民ロマンの巨匠の異名を取った。』

 私がテレビで見たのはこの『石狩平野』ではなかったかと思うのですが、覚えてはいません。のちに『北の零年』を見たのですが、ウキペディアには『北の零年 - 2005年公開の映画作品。監督は行定勲、出演は吉永小百合、渡辺謙など。脚本は那須真知子のオリジナルであるが、船山の北海道開拓をモチーフにした2作品(『お登勢』、『石狩平野』)を参考にしており、本編のクレジットでも参考文献として紹介されている』とありました。

 この『野望』という小説は再ブレークより10年前の作品で雌伏期の作品のようです。で、少し読んでみると、若く美青年の主人公が、人を利用しながら、半分裏社会でのし上がっていく様を描いているんだとわかります。若く美青年じゃないとダメなんです。本人も人を、特に利用価値のある女性をたらしこむのに気おくれがしてしまうでしょうし、テレビ映りも良くありません。

 こういう人は庶民ののんびりと楽しい生活なんて考えないのでしょう。全身全霊でお金を追いかけ、策をめぐらします。

 貧しい苦学生で別れざるを得なかった男女の悲恋を対比させると、その醜さが際立ちます。そういう人種がいっぱい出てきて、最後は自ずとわかってしまうのですが、それでも最後まで飽きさせることなく引っ張っていきます。

 『1981年8月5日、心不全のため東京都新宿区中井の自宅で死去。享年67。おしどり夫婦として知られた妻の船山春子も同日の夜に狭心症のため急死したことも、船山の死と共に報じられ話題となった。』まるで小説のような一生だったようですが、このニュースを昔私も聞いた気がします。

2021年12月3日金曜日

 ネット記事

 私のように、ちょっと対面の対人関係が苦手な人は、ネットの多様な記事やコメントは、誰にも知られずに、知識を吸収したり、自学したり、賛同したり、感心したりできて、ありがたい存在です。更にこうして、学んだことや感じたことを、素知らぬ顔で発表できるのも、社会性がないと自他ともに認める私の社会参加の表れのような気がして、楽しいのです。

 『元マラソン選手で日本陸連の副会長を務める瀬古利彦氏(65)が1日放送の「徹子の部屋」(月~金曜後1・30)にゲスト出演。今年4月に34歳で亡くなった長男・昴(すばる)さんについて語った。』

 これは先日来、何回か読んでいる記事でした。

 『昴さんの亡くなる2年半ほど前からはマッサージをするのが日課だったという。「肩が凝るからマッサージしてくれる」と頼まれて始めると、半年ほどたったある日、昴さんが「僕一日の中で何が一番楽しみかって言ったら、お父さんのマッサージが一番楽しみだ」と語った。瀬古氏は「じゃあ俺、毎日マッサージしてやるから。飲んで帰ってもやってやるから、待ってろ」と約束。昴さんは言葉通り、瀬古氏が外で飲んで帰って来た時も待っていたとした。』

 リンパ腫で8年の苦しい闘病を家族みんなで支えていたようでした。

『入院中に体調が悪くなり、呼吸が苦しくなり、モルヒネを打つ前には電話がかかってきたとし、瀬古氏がかけ直すと、昴さんに「お父さん、僕がこんな大事なときに何で電話に出ないんだ!僕お父さんに最後に言うね、もう声出せなくなるから言うね!僕、お父さんのこと大好きだよ」と言われたとした。』

 何度読んでも涙でした。

『瀬古氏は「だから天国に行っても悔いはないんです。もうやり切ったんで家族で」』

 この言葉を読んだとき、『ああ、これだ』と思いました。

 夫が亡くなってから二度目の寒い冬がやってきました。まだ時々、隣の部屋にいるような気がして、『着るものは』と考えたりして、少しは淋しい気もしますが、これは自然なことなのだという思いは変わりません。

 私にも、この『やり切った感』があるのです。

 あれは亡くなる何か月か前、ネット記事に、「東大卒ホームレス」という記事が出ていて、私が、家族の前で、「私がいなかったら、パパもこれだったね」と冗談交じりに言ったのです。もちろん、夫が賛同するとは思いませんでした。ところが「本当にそうだ」と言ったのです。一瞬耳を疑いましたが、誰も何も言いませんでした。夫のこの言葉が私の『やり切った感』の根拠となっているのです。

 英国ミステリー噂話 縄張り

 昔、ケーブルテレビを見ていた時、AXNミステリーで英国ミステリーを見ていたのですが、何度も同じものを放送するのです。

 おかげでポワロもマープルも、シャーロック・ホームズもモースもフロスト警部もニュートリックスも全話見てしまいました。それも、終ったと思ったら、また再放送するのです。『まだ見てない人のためだろう』と思って我慢してましたが、この間、よそでAXNミステリーを見る機会があって、見たらまた同じようなものをやっていました。Jミステリーといって国内のも半分を占めていました。

 『ほかにいい作品はないのかなあ、イギリスも予算が取れないのかなあ』とか『AXNも英国ミステリーは高くて買えないのかなあ」とか心配していたのです。

 GYAOで見るようになって、英国ミステリーだけではなく、外国のミステリーや国内のミステリーも見られるようになると最初は、目新しいので楽しんでいたのですが、一年も過ぎると、やっぱり再放送が目立ち始め、『どうしてなんだろう、新しいのはないんだろうか』とか、『シーズンの続きは有料で見ろという事かしら』とか、やっぱり不満が出てきてしまいます。

 そんな時、『重大犯罪課 シーズン5』が終わって、私のように楽しみに見ていた人たちのコメントも見てみたいと、吹き替え版と字幕版の両方のコメント欄をすべて見てしまいました。みんな同じ気持ちのようです。

 『『シーズン6』で最後な様で、是非・是非~よろしくお願いします!』とか、

 『シーズン6が楽しみ。今更、有料なんて言わないでくださいね。』とか。

 『続きは有料でとなったら消費生活センターに連絡だ!』とか。

 中に

 『GYAOさんシーズン5までの無料配信ありがとうございました。

今、配信業界は大手外資系の本格参戦でどこも激戦になってきましたね。

ここでも良くリクエストに上がっているbonesや24などはFOX系列なのでそこの大株主様の配信サイトで独占配信になりましたしネットワーク系はライセンスが複雑なので決まった所でしか配信出来なかったりします。』という内部事情に詳しそうな人のコメントがあり、私のような初心者で、もやもやしている人は『ああそうなのか、縄張りがあるのか』と業界情報を手に入れて、諦めるのです。これ、内部の人かな。

 『私はこのドラマ大好きです。何がどうあっても結局は人間対人間。重犯課のメンバーの絆と仕事への情熱、思いやり等々全部が好きです。』これは私と同意見です。

2021年12月2日木曜日

 自分に勝つ

 誰のことだったか忘れてしまったのですが、多分スポーツ選手の事を扱った番組かなんかだったと思います。

 「毎日、自分に勝って、トレーニングを続けている」という感じのコメントがありまして、『ああ、そうだ』と思ったのです。

 今、私も毎朝、ストレッチや筋トレを十種類くらいしてから起き出して、それから、朝のルーティンの整体屋さんのユーチューブを見て、実践してから、朝ご飯を食べて出かけます。

 この時、ちょっと遅くなったり、他に用事があったりすると、「今日はいいか」となまけたくなります。

 このほかにも、毎日しなければならないことはたくさんあります。歯磨き、風呂、洗濯、掃除、ごみ出し。食べることだけは忘れませんが、「今日はいいか」はちょくちょく頭をよぎります。

 『このことなんだ』と思いました。子供の時から「今日はいいか」と言って、やらないことは往々にしてありました。いわゆる怠け者だったのです。夏休みの宿題はいつも最後の日か、翌朝学校に行く前までやっていました。

 『自分に勝って』毎日やるという習慣はごく最近までありませんで、意志の弱い性格でした。もちろんスポーツなんか、体育の授業以外ではしたこともありません。ヨガは何とかテレビにつられて4,5年続けましたが、他はすべて、長くて一年くらいです。公民館の講座くらい、一か月くらいがちょうどいいと思っていました。しかもこれらはスポーツばかりではありません。

 そういうことなんです。今まで、『自分に勝って』何かしていれば、肥満に悩むこともなかっただろうと思うのです。あとちょっとでも勤勉であったなら、何か技術を身につけられていたかもしれません。

 『克己心』という言葉は知っていましたし、意味もよく知っていました。でもそれを自分がすることだとは考えていなかったのでしょう。

 そういう過去を踏まえて、今、70過ぎて、遅ればせながら、『自分に勝って』朝トレをつづけています。これは、自学というのでしょうか、自覚というのでしょうか。

 おかげで足はだいぶ良くなり、そうするとなまけたくもなりますが、まだ時々思い出させるように痛くなり、やるしかないと思わせてくれます。これが一病息災ということなのでしょう。

2021年11月26日金曜日

 民主主義サミット

 中国には『国恥地図』というのがあると、ネット記事で知りました。中国が最大の領土を持っていた時の地図で、近隣諸国や南シナ海、日本の一部も含まれているのだそうです。中国はその領土を回復したいと思っているようです。

 それに対抗して、アメリカを中心に欧州や豪州が襲われそうな台湾や日本を擁護しながら、乗っ取られてしまった南シナ海を航行して嫌がらせをしています。

 そしてこの度、アメリカは台湾を『民主主義サミット』に招待したのだそうです。また台湾は中国とは政治形態の違う民主主義を標榜していて、この度、リトアニアに代表処を開設したのだそうです。

 リトアニアはバルト三国の一つで、昔ソビエト連邦から必死で独立したのです。あの時の平和的なそして身を挺した抗議運動『人間の鎖』はあまりにも有名ですが、私たちも攻め込まれたら、あれをする以外方策がないだろうと思います。でも、あの時ソ連の指導者がゴルバチョフさんで本当によかったと思います。確か、ノーベル平和賞を受けたんです。

 で、リトアニアと台湾は同じような運命下にあるので、民主主義でがっちり手を握りあったという感じです。

 で、アメリカが開くこの『民主主義サミット』に台湾を招待すると、中国が当然ながら、台湾は中国の一部と反発し、リトアニアからは領事を引き上げたとか。

 で、台湾の蔡英文総統は出席を見送り、代わりにオードリー・タンIT 大臣が出席するのだそうです。当然中国の反発を考慮したのかなと思いました。そういえば、東京オリンピックにもオードリー・タンIT 大臣が代理出席すると言っていたのに、日本側が今度は中国に遠慮したのだと思いますが、断ったのですよね。

 オードリー・タンIT 大臣はきっと優秀で、次期総統候補なのかなとか思いましたが、ちょっと深読みすると、オードリー・タンIT 大臣はトランスジェンダーなのです。自国内の少数民族をも差別する中国ですから、トランスジェンダーが脚光を浴びるのを当然嫌がるだろうと思います。台湾は以前にも書きましたが、少数民族や同性婚の人々をたたえるパレードを催したくらいですから、すべての人に可能性が開かれている国だということをオードリー・タン氏を起用することで中国にも世界にも認めさせたいのではないかと思いました。

 アメリカの民主党大統領の指名選挙で同性で結婚しているブティジェッジ氏が何州かを獲得したように『新しいことに挑戦できるか』と中国に考え方の違いを突き付けているような気がしました。

2021年11月20日土曜日

 本 アンドレ・ジッド『未完の告白』新庄家嘉章訳、新潮文庫昭和35年版

 これは私の本です。一応文学少女で、有名な本をたくさん読みたいと買いあさったのでしょうが、結局読まずじまいだったようです。

 今回11月の月一冊の本にしようと取り出しました。本当に50年前の自分は今の自分とは『違う人』なんです。養老孟子先生のおっしゃる通りです。

 読み始めると、女学校に通う年頃の少女の告白のかたちです。批判精神を持った純真な性格がうかがわれますが、あまりにも若すぎて、70過ぎのおばあさんは、「で、どうやって生きていくのよ」と時々聞いてしまいます。少女は、お父さんのことを、人に取り入って仕事を得ている、それしか取り柄のない俗物と軽蔑していて、「じゃあ、あなたはどうしてこの裕福な生活を享受しているのよ」と、ちょっとは苦労したおばあさんは言いたくなるのです。

 アンドレ・ジッドのことは実はあまりよく知らなくって、フランスのノーベル賞作家だと今回調べて知りました。『未完の告白』は『女の学校』『ロベール』に続く三部作の一部だそうです。

 ある日掃除をしていましたら、全く同じ装丁の『未完の告白』がもう一冊出てきました。そっちはちょっと古くって、昭和30年の版でした。そっちは読んだ形跡有で、夫もその昔読んだのでしょうか。それとも、ある本の『下』を二冊買った前歴のある私がぼけてて二冊買ったのでしょうか。そういえば、全く読んだことがないと思っていたのに、真ん中あたりで、『この情景は見たことがある』と思いました。どうやら、真ん中あたりまでは昔一度読んだようです。

 真ん中を過ぎると、少女の希望する生き方が語られるようになります。その希望が現実と衝突して、衝突するたびに少女は何かを感じ、考えます。これ、『自学』ではないかと思いました。こうすると、「自学ノート」を作らなくても自学することができるのだとわかりました。

 私が少女と同じ年ごろにはこんなこと考えもしなかった、世間の常識のようなものを心から信じ、『学校の勉強が一番大事』と考えていました。『ボケっとしていた、何も考えていなかった』と今思う年頃です。

 後半は急展開で、あっという間に終わってしまうのですが、それが『未完の告白』だったようです。

2021年11月18日木曜日

 ミニマリストとは

 ミニマリスト宣言をして、いわゆるつましい生活を心がけているのですが、『必要最小限で生活する』というミニマリストの定義の段階にはまだ至っていません。

 ものがたくさんありすぎるのです。と言っても、この頃、「何かお宝があれば買い取りますよ」と言って訪ねてくる人たちのターゲットになるようなものではありません。

 古着なんです。衣食住と言いますから、これ、無いと困るものです。もうだいぶ前に亡くなった姑は、私にこの『衣食住』を教えてくれた人ですが、「衣が一番大事」と言っていました。若い私は食いしん坊でしたから『食じゃないかしら』と心の中で反抗していたくらいでしたから、あまり衣類をそろえるということはなくって、食につられて太って行くので、必要に迫られて服を買うという感じでした。それでも物としてはどんどん増えていきました。ところが社交家の姑は食を削っても衣類を買うタイプで、これもどんどん増えて行って、時々、大きすぎると言って私の方にもおさがりが来ました。姑が亡くなった時、体形が合わないので、引き取り手の無い衣類を義兄が何回も車に積んで捨てに行きました。

 私の母も歳をとって、病院通いが始まると、出かけるたびに買っていて、弟が、「ボケたんじゃないか」と心配していましたが、その前にも、編み物教室に通っていて、自分のものだけでなく私や孫たちのものまでたくさん編んでくれました。その母が亡くなった時、弟は体形の同じ私に全部くれたのです。私の服は一挙に増えました。

 それに加えて、娘たちは買ってしまって気に入らない服を私のところに持ってきます。

 もともと衣類が多いほうではなかったので、私は喜んで貰いまして、私のところには大量の衣類が集まりました。

 洋服というものは、そのままではなかなか着れません。身体に合わせて直したり、時にはほどいて編みなおしたり、小さいものは二つを併せて一つにしたり、ある時は帽子を何個かつくりました。これは着道楽の姑がやっていたことです。

 そういうわけで、あれもこれもと直していくと、今や、私は服を買う必要が無くなりました。

 今、私が目いっぱい頭を使っていることは、亡くなった夫の背広です。体形が違うので、引き取り手がありません。弟は背広は全部捨てたと言っていました。あれほど体形に合わせて、詰め物もしてあってきっちり作ってあると、作り変えるのは至難のわざです。まあ、私にはこれから先、ひとりでつぶすべき時間がありますし、失敗しても誰にも迷惑はかかりません。

 工夫というものは楽しいものです。きっと他のミニマリストの方たちも、めいっぱい頭を使って工夫することが生きがいにもつながっているのだろうなと思います。

2021年11月8日月曜日

 ベイシックインカム、続き

 世界的ベストセラーとなった『サピエンス全史』を書いたユヴァル・ノア・ハラリさんの次の本には人類の未来を描いた『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』という本があるらしいです。

 私は読んだわけではありませんが、その中には格差はますます広がって、金持ちだけが永遠の命に近づけるというようなことが書いてあるらしいです。貧乏人の仕事はロボットやAIがして、才能才覚のない弱者は生きていく術を失うということでしょうか。

 生きづらい世の中なら、誰も子供を同じ目には合わせたくない。人口減少は当然起こるべくして起こるでしょう。これを食い止める事は、いわば、公共事業、インフラ整備ではないでしょうか。人口が減少して下請けをする貧乏人がいなくなったら、誰が国を支えるんですか。人民がいなくなったら、王様は生きてはいけないでしょう。ロボットがいるって言っても、それまでの間です。10年でしょうか、20ねんでしょうか。税金を使って人口減少を食い止める、これは福祉ではなく公共事業ですし、インフラ整備です。

 政治家にとって、バックマージンのある公共事業だけが得をするのではありません、ベイシックインカムの恩恵に浴した人はみんなその党に無償で投票するでしょう。政治家は自分のためにも、第二のセイフティネットであるベイシックインカムを法制化すべきです。

 思うのですが、わずかでもベイシックインカムを貰った人は収入の少ない田舎にだって住めると思います。業者さんに頼まなくっても、道路の草刈りなんか自分たちでしながら、過疎とか限界集落なんてなくなるかもしれません。畑を耕して細々と静かに暮らしたい人は少なくないと思います。

2021年11月7日日曜日

 英国ミステリー噂話 メジャークライムズ ロス市警重大犯罪課、シーズン5

 やっぱりこのドラマ好きです。重大犯罪課なのに、家庭ドラマの要素がたっぷり入っているのです。シーズン5まで楽しみに何度も見てしまいました。何度も見るというのは、実をいうと、テンポが速くって、かつ最新の科学技術が入っているので一度では理解できないという理由もあるんです。

 このシリーズは、シーズン6で終ってしまうというので、ネット記事を書いている人たちがいて、それらを見てみると、会社の方針で打ち切り、制作人はみんなもっと作りたいと言っているそうで、ファンは継続の署名運動をしているとか、いないとか。

 これの前作の「クローザー」から数えると、フリン警部補もプリベンザ警部補も13年も続けて同じ役をやっているわけですから、さすがに歳をとったのでしょう。それが打ち切りの一因かなと思えます。

 他にも、出演者たちのその後を書いている方がいて、ひとりひとりについて、経歴、メジャークライムズ終了後の出演作品、私生活と三部構成でまとめています。若いころの写真などもあって、よくこれだけの情報を集めたなと感嘆と称賛をもって見させていただきました。

 ちょっと驚いたのは、このドラマの中で、ラスティとガスがゲイとして描かれていて、コメント欄には「いやだな」という書き込みがあったりしましたが、重大犯罪課の仲間たちには自然のこととして受け入れられていました。

 『さすがアメリカ、進んでる』と私は思っていたのですが、フィリップ・P・キーン(バズ・ワトソン役)のところに、『原案・製作総指揮を務め、長年の恋人だったジェームズ・ダフと同性結婚しています』と書いてあったのにはびっくりしました。やっぱり『さすがアメリカ』ですね。他にもう一人、ジョナサン・デル・アルコ(フェルナンド・モラレス役)が、ゲイを公表していて、結婚しているそうです。

 アメリカでは自然に受け入れられているんですね。私のように騒ぎ立てているのがおかしいみたいです。離婚、再婚も多いです。リストアップされた主な出演者の半数は離婚経験者みたいです。

 などなど、興味を持ってみてみると、ネット記事でいろんなことがわかるんですね。


 この作品がなぜこんなに受け入れられているのか、なんとなくわかった気がしてきました。この作品には、いろんな人たちがそれぞれの個性を前面に出して生活しているのです。人種的にもそうですが、こういう個人志向、フリオのような熱血漢、元アル中、離婚経験者、プリベンザやシャロンのように部下思いで頭が働く智慧者、若くて熱血漢の刑事たちはあとから参加しています。そこに、身内がちょこちょこ出てきます。息子にしろ奥さんにしろ、あんなに警察内部に入って来れるのかしらと思うくらいですが、これはアメリカだからなのかもしれません。

 とにかく、いろんな個性が、まじりあっていて、中には一人くらい自分に似ている人がいて、ついつい応援したくなってしまうということなのだろうとわかってしまいました。

2021年10月28日木曜日

 株価は上がっているのになぜ困窮している人がいるのでしょう

 以前、「金持ちはますます金持ちに、貧乏人はますます貧乏に」というブログを書きました。これがコロナ後の世界じゃないかと推量したのですが、経済に疎い人間としては金持ちはますます金持ちになっていくというのはやっぱり不思議ですよね。

 それで考えたのです。金融緩和政策を政府はしていたのですよね。金融緩和って、お金をたくさん印刷することじゃないかと。調べてみると「中央銀行(日銀など)が、政策金利を引き下げたり、資金の供給量を増やすこと」と書いてありました。

 ゼロ金利というのは見ても聞いてもわかるのですが、資金の供給量を増やすことというのはお札をたくさん刷って、配ることですよね。資金などというあいまいな言葉を使わないで、お金の供給量をと言ってくれればわかりやすいのに、なんの資金と言いたくなります。どこに配ったんでしょう。それらはみんな余剰資金として株に投資されているということでしょうか。

 我が家でも、みんなと同じに10万円の給付金を頂いたのです。車を買う資金にためておいたはずですが、ガソリンの値上がりであっという間になくなってしまいました。使って貰うための給付金だったなどと識者は言いますが、使う前にあっという間になくなってしまいました。

 で、今度の総選挙です。私たちの選挙区では前職が二人だけ立候補しています。選択の余地はないので、棄権しても同じだなと思っていました。でも、確か、ベイシックインカムを公約に掲げている政党があったなと思い出しました。維新の会です。比例で維新の会に投票すれば私の意思は表明できるのではないかと思いました。北関東ブロックに誰か出ているかもしれないと思って、投票に行ってみることにしました。年金生活者は、基礎年金がそれに代わるということですから、あまりメリットはないようですが、ベイシックインカムがあれば、若い人たちが、安心して暮らしを立てていけるのではないかと思います。お札を印刷するくらいですから、財源はないとは言えないでしょう。

 お金に困ったことのない人たちは、今日の食べ物に使うお金がどんなに大事かわからないのです。ベイシックインカムで支払うお金は、確実に消費に回るのです。株や貯蓄に回ることは絶対にありません。狙い通りではないでしょうか。

2021年10月20日水曜日

 本 棟梁の知恵袋、森谷春夫、講談社、昭和56年第6刷、実用書

 あまり読んだ形跡はありませんが、これは夫の古い本です。

 著者は岩手県生まれの大工さんで、上京し、従軍し、中国大陸で、日本在来工法の良さを実感し、戦後、東京で工務店の社長さんとして多くの住宅を作られた方のようです。今、生きていれば、百歳を超えているでしょうか。

 ですから、欧米のテレビドラマの家を羨ましがっている私にはちょっと違和感があります。例えば、「二間続きの和室を作っておくと便利」などと言われても、家のアレルギー家族が抗菌畳に反応してしまうことを考えれば、絶対にダメです。

 社長さんが長年にわたって蓄積した知識と技は、敬服に値するものです。でも、それを40年後の令和3年に読むと、やはり違和感があるのです。特に素人が読むとです。

 知識とか技術とかはこういうものかもしれません。常に変化しているのです。  例えばカメラ、私たちの時代のカメラはもう誰も使えません。フィルムさえ売っていないでしょう。あれからデジカメになり、携帯やスマホで簡単に撮れる時代になりました。昔は一枚の写真も貴重でした。現像代も高かったし。今はメモリーに保存しておくと現像しなくても見れるのです。

 タイプライターもそうです。昔は大学の必修科目になっているところもありました。和文タイプは会社の書類にはなくてはならず、時間をかけて漢字を探しながら、ミスしたところは修正液を使いながら、書類作成をしたものです。それがワープロになり、今はコンピューターで何枚でも印刷できます。

 夫のカメラはもう捨てましたし、私のタイプライターはとっくの昔に捨てました。

 実用書って、難しいですね。いつまで実用に耐えられるのでしょう。

2021年10月12日火曜日

 弟への手紙

 先日、お米を持ってきてくれた弟が、「足が冷えて、つって、朝、痛くって死にたくなる。俺は義兄貴の歳までは生きられないだろうな。あと五年かな」と、勝気な彼には珍しく弱気なことを言っていました。

 弟には、心臓や糖尿などの持病の他に、脊椎管狭窄症という病気があって、過去に何度か手術をしました。それでも治らなくって、足を引きずり加減に歩きます。

 それ以来、ずっと心に引っかかって、足の痛い私が、どんなマッサージを毎日しているか、手紙を書いて送ろうか、どんな手紙にしようかと数日考えました。

 でも多分、弟は反発して決してやらないだろうなとわかります。

 二歳違いの二人姉弟の私たちは、年上だから、ひとり息子だからと、常に覇権争いをしていました。寄ると触るとケンカしているのに、いつもそばに寄りたがる、仲のいい姉弟だったと思います。

 性格も顔も全く似ていなくって、弟はスポーツ万能で、全国大会にも出場しましたが、私は食っちゃ寝タイプの何もしない人でした。

 だから、余計、私のアドバイスなんか鼻で笑って聞かないだろうとわかるのです。手紙は即ごみ箱行きでしょう。

 書こうか書くまいか、悩んでいると、だんだんわかってきたことがありました。それは、上から目線のアドバイスなんか、誰にとっても迷惑なだけだということです。ましてや、スポーツ素人の私の付け焼刃の知識など誰も信用しないし、心配の押し付けも反発を招くだけでしょう。

 この歳になって、相手の感情を思いやることを自学したわけです。

 それでも、なんとか、少しは伝えたいと思って、いただき物のお礼のハガキを書きました。そこに、『私も足先がしびれることがありますが、風呂に入った時や、寝る前にマッサージをするといいみたいです。マッサージの仕方はユーチューブの整体やさんにたくさん出ています』と書きました。

 少しでも役に立つといいのですが、実際やっている私でも治ったわけではありません。少し軽減しているかなという感じです。きっと死ぬまで続ける作業なのでしょう。

2021年10月8日金曜日

 鈴木誠也選手の話

 何年か前、鈴木誠也選手が横浜スタジアムでケガをしたことがありました。飛んできたボールを追いかけて壁際で足が溝のようになったところで踏ん張ったらしくガクッと来たようです。詳しいケガの様子はわかりませんが、そこから休場して手術を受けたように記憶しています。

 あの後、インタビューで、「このケガが無かったら、自分は終わっていただろう」と言っていましたが、どういうことなんだろうとずっと思っていました。

 でも、自分で、ちょっとした足の踏み外しから膝が痛くなり、歩くのも大変になり、ユーチューブの整体屋さんを見ながら、毎日復調に努めていると、『ああ、このことか』と分かった気がしました。

 つまり、体が強く、練習熱心で、若く、怖いもの知らずだった鈴木誠也選手はがむしゃらだったのでしょう。けがをしたことで、落ち着いて自分や自分の身体を見つめる機会を得たのだろうと思いました。

 私が膝の痛さと向き合って、マッサージする術をマネしながら、これからの人生、こうして体のケアを続けていくことにしようと思っているように。

 この人、本当に頭のいい選手だと思います。私がこの歳で自学したことを、もう二十代で学習してしまっているのですから。

  大活躍とはいきませんでしたが、東京オリンピックで、稲葉監督が四番をはずさなかった理由がよくわかります。他の誰にも務まらなかったのです。つまり、おかげで、他のみんなが重圧を感じることなくのびのびと大活躍できたのです。

2021年9月26日日曜日

 本、『野良犬の値段』、百田尚樹、著、2020、幻冬舎発行

 これは最近、知人にいただいた本です。新しい本なんて何年ぶりでしょう。また現代の第一線の作家さんの本も何年ぶりだかわかりません。なので、いつ読み始めるか、戦々恐々で、なかなか表紙を開けられませんでした。だって、知らない人に会いに行くようなものですから。

 しかし、次に読む本はこれなので、次の隙間時間ができたら、一時間でも読みだすぞと気構えていました。でも、コロナの自粛が延長されて、どこにも行くところのない娘家族が、休みの度にやってきます。忙しいですよ、掃除、買い出し、料理、ごみ出し、その合間に九月の草取り、木の伐採。秋に死ぬ人は春に死ぬ人より多いと昔聞いたことがありました。猛暑が急に治まって、台風に気を取られていると、急に寒くなり、また暑さがぶり返す。高気圧と低気圧の間で、血圧も上がったり下がったり。同居している娘は体調不良でお医者さんに行きました。私はしっかり体操時間を取っています。

 などなど、言い訳をしながら、それでもある日、恐る恐る表紙をあけました。手がかりは、帯に書いてある、『私たちは、ある人物を誘拐しました。この人物を使って実験をします』という言葉だけ。一体、何が書いてあるのでしょう。

 ありがたいことに、大きな字でした。でも、読みだしてすぐにこりゃダメかとガックリ。出だしからスマホでツイッターをやる人の話でした。爺さん婆さんはスマホは持っていないし、ツイッターもしません。そこへ行くとトランプさんは進んでいますね。アメリカは国が広いせいか、通信手段は進んでいるようです。コロナのせいで会えない分、老人でも毎日スカイプをしているので忙しいと言っている人もいます。と、余計なことを考えてしまいました。

 少し読み進むと、だんだん日常の話になり、私にも読めるかなと思えてきたのですが、今度はツイッターがどんどん拡散していき、登場人物がどんどん増えていき、所属場所も数か所にわたっていきます。

 作者の経歴を見ると、放送作家として活躍、有名な「永遠の0」で作家デビュー、本屋大賞受賞など輝かしい経歴の持ち主で、最新ニュースに疎い私でも名前を知っていたくらいの人でしたから、広い行動範囲はあたり前なのかもしれません。でも、社会性ゼロの私は、場面が変わるたびに右往左往、ここはどこ、誰だっけという状態でした。

  第二部に近づくとますます難しくなって、第二部でぱっと変わるのです。ストーリーは書いてはいけないのですが、そこからはドラマを見るように一気に読めました。様々なメディアの功罪、眞子さまや菅首相に向けられたようなバッシングの被害、ロストジェネレーションの話、派遣の現実、高給取りの話、企業の裏側や収益、ネットの使い方、作戦のたて方。社会を知り尽くした作者ならではだと思いました。まさに当代の気鋭の作家さんだと思います。

2021年9月25日土曜日

 眞子さまの結婚

 以前、マスコミのバッシングを受ける菅首相を見ながらも、「私は菅首相でいい」と書きましたが、先日の訪米で、バイデン大統領に慰労された記事を見ていましたら、そのコメント欄に、私と同じ意見の人がたくさんいて驚きました。「口下手でもたくさん仕事をした」とか、「実務家として短い間にたくさんの難題を乗り切った」という意見が書かれていました。小泉進次郎さんが、涙を流しながら「短い間にこんなに仕事をした内閣はない」と言っていたと聞きましたが、そう思っている人はたくさんいたのです。

 今月中に結婚すると言われている眞子さまへのバッシングもひどいですね。私がどんな意見を持とうと大勢には関係ないと思いますが、あまりに思いやりのない言い方に心が痛みます。

 まず、眞子さまの結婚は自由です。小室圭さんはこんな逆境の中、よく頑張って、資格をとり、家族の成立のために努力したと思います。

 シングルマザーのお母さんは生きて子供を育てるのに必死だったと思います。貧乏を経験した私には分かります。どんなことでもしよう、どんなことでも利用しようと頭を働かせるのです。でないと、子供を道連れに心中なんてことだって起こりうるのです。あまりのバッシングに、今回そうならなくてよかったと思います。眞子さまの強い精神力のたまものだと思います。

 人生は長いし、一気にすべてを解決なんてできません。これから、二人で努力して、少しずつ信頼を取り戻せるように、決して安易な道のりではないと思いますが、ここまでやったのですから、乗り切ってほしいと思います。あんなに難しいと言われたオリンピックだってできちゃったのですから。

 ゴキブリの生命力

 涼しくなって、家の中でゴキブリを見る機会も少なくなりましたが、夏の間、涼しいからと真夜中に起きて、居間の電気をつけようものなら、数匹のゴキブリが一斉に別方向に向って走り出します。

 アレルギー症の家族がいて、殺虫剤の使えない我が家では、昔からゴキブリハウスをあちこちに仕掛けてありました。昔は結構入っていたような気がしますが、いつのころからか、ほとんど入らなくなってしまったようです。今年も一ハウスにひと夏で五、六匹です。これは多いほうです。

 で、涼しい真夜中に起きだしてコンピューターをつける私としては見て見ぬふりをするわけにも行かず、古いハエたたきを二本見つけてきて、手元に常備しました。で、エイ、ヤとたたくのですが、結構すばしっこくてたいていは逃げられます。逃げ足の遅い、ドジな奴が私ごときにたたかれて、椅子の横あたりで動かなくなります。私は当然死んだと思って、明日片付けようとそのままにしてコンピューターに戻ってしまうと、翌日の朝にはもういないのです。

 最初は、『さては仲間のゴキブリに食べられたかな』と思いましたが、そういうことが二、三度起きると、『あいつ生きてたな』とわかりました。何のことはない、たたかれて気絶していただけだったのでしょう。そういうわけで、私が、この夏に退治したゴキブリもやはり五、六匹です。そして、一晩に四方八方逃げ回るゴキブリはやはり五、六匹いたのです。

 ドラマで、「地球上で一番強い生き物は昆虫だ」という人がいましたが、私は最強の生き物と死闘を繰り返していたわけです。昔はゴキブリでも殺すのはかわいそうなどといい子ぶっていましたが、テーブルの上などに二、三匹のゴキブリがはい回っているのを見ると、やっぱり、戦わないわけにはいきません。この間の子連れで家に入ってきたネズミと同じ、人間のおごりを感じて後ろめたい気持ちはありますが、やっぱり殺してしまいました。

2021年9月5日日曜日

 菅首相の退陣

 私は菅さんはいいと思っていたのですが、数を頼まなければならない総裁選に、選挙資金を牛耳る長老たちの賛同を得られなかったのでしょうね。

 二階さんと刺し違える覚悟だったのでしょうが、賛同が得られなかったということでしょう。そのためにはもっと時間が必要だったのかもしれません。オリンピックやコロナに忙殺されてしまったのでしょう。

 しかし、いつまで自民党は二階さんや麻生さんや阿部さんの長老会政治をするのでしょう。結局、彼らに反対すれば、選挙資金を貰えないということなのでしょうか。だから、派閥に入るのでしょうか。河合杏里さんが貰った一億五千万の選挙資金はどこに還流していったのでしょう。

 国民はお金より人を選ぶ選挙を実践していかないと、大変なことになりそうな不安があります。

 英国ミステリー噂話 『第一容疑者』最終章『希望のかけら』 2006と、原案、脚本のリンダ・ラ・プラント

 いつもは、ストーリーの出だしの予備知識を入れてから見ていたので、主人公のテニスン警視がアルコール依存になっていて、事件の連絡の記憶もないという設定に、ちょっと暗くなりました。

 この『第一容疑者』のストーリーは社会性があるということで、みんなちょっと暗いのです。でも、エミー賞を取ったり、ロンドン警視庁の教材になったりとか、現実を踏まえて、できているので、一度見出すと、止められなくなります。

 で、最後のシーズン7まで来たのです。

 事件解決もありますが、出世して、力を存分に振るいたいと願ったテニスン巡査が、警部になり、女性初の警視になり、女性蔑視の組織内で、能力を発揮していくのですが、やっぱり、大変な苦労をしていくのです。恋愛も子供も家庭もすべて捨てて邁進してきて、このシーズン7は、いわゆる退職前のシーズンです。

 父の死で、心の通う家族を亡くし、同じアルコール依存の治療を受けていた同僚を亡くし、心を通わせた若者たちに失望し、タイトルの『希望のかけら』がみんな無くなっていくのです。

 これから、ハードな再生の老後が楽しいといいと願わずにはいられません。

 で、原案、脚本のリンダ・ラ・プラントさんのウキペディアもこの際見てしまいました。

 ラ・プラントというのは17年くらい結婚していたご主人の姓のようです。本名はLynda Titchmarsh 1943年3月15日生まれの現在78歳、リバプールの出身のようです。

 the Royal Academy of Dramatic Art.で学び、 the Royal Shakespeare Companyで、女優としての仕事を得たようです。その後子供番組に出演し、やがて脚本を書いたようです。1983年に売れる脚本を書き、その後小説も書くようになり、

1991年にグラナダテレビで放映された『第一容疑者』は、アメリカでも放送され、1993年にアメリカの推理作家協会からエドガー賞を授与されました。

 1993年に彼女は自身のテレビ制作会社を立ち上げ、精力的に作品を制作し、その間もベストセラー小説を書き続けたようです。テニスン警視と似てますね、キャリアにまっすぐに向き合って進んでいったようです。かくして彼女は多くの賞を受賞し、高名な脚本家、小説家と言われるようになったのです。

 私生活では、1996年に、音楽家の夫と離婚し、57歳で、男の子の赤ちゃん養子を迎えたようです。これが、まだ描かれていないテニスン警視の未来でしょうか。ラ・プラントはヘレン・ミレンのテニスン警視をまた書きたいと言っているそうです。

 本、『黄色い部屋の秘密』ガストン・ルル―、木村庄三郎 訳,

昭和41年角川文庫

 これは夫の本です。夫は若いころ推理小説が好きでたくさん読んだようです。あまりに古いので、敬遠していましたが、これは、この間文化論を読んだ、木村庄三郎氏の翻訳なので、ついに手に取ってしまいました。

 まず、ガストン・ルル―ってどんな人だろうと、ミステリアスな好奇心が湧きました。で、ヤフー検索。

 『Gaston Leroux, 1868年5月6日 - 1927年4月15日)は、フランスの小説家、新聞記者。フランス推理小説創成期においてモーリス・ルブランと並ぶ人気作家だった』。『オペラ座の怪人』の作者だそうです。百年前の人ですが、このころの人は早死にで、これだけ活躍しても五十八歳で亡くなったそうです。両親も早く亡くなり二十歳ころには弟妹を養っていたみたいです。尊徳さんと同じです。

 同様に、この前は調べなかった木村庄三郎氏のウキペディアも見てみました。そこで最初に見つけたのは、西洋学者は同音異字の『木村尚三郎』氏で、同音同字には相撲の行事の『木村庄三郎』もいるということです。調べてよかった。大恥でした。で、ご本人は『木村 庄三郎(きむら しょうざぶろう、1902年8月10日 - 1982年1月10日)は、日本の翻訳家』。戦後たくさんのフランス文学の翻訳をされたようです。

 この推理小説は大変有名で、多くの人が翻訳しているようです。訳者は元は小説も書いた方のようでそのせいか、文章は手慣れた感じで、翻訳ものにしては読みやすいです。ストーリーも煩雑ではなく、『謎』が中心で、追いかけていく感じです。さて、どうなっていくのでしょう。

 隙間時間を利用しながら、少しずつ少しずつ読んでいったのですが、言葉巧みに引っ張る、引っ張る。十八っ歳の新聞記者は頭脳も言葉も巧みです。 

 作者は弁護士の資格を取ったようですが、飽き足らず新聞に記事を書いていて、そこから作家になったようで、これが最初の作品のようです。

 結局、真ん中くらいで結末を予想したのですが、全くのはずれでした。

 私は推理小説は本当は苦手で、せっかちなせいで、普通は真ん中まで読んだら、最後のページに手をかけているのですが、これは最後まで追いかけながら読むのに精一杯でした。でないと、鍵がどこに出てきたかわからなくなってしまいそうなのです。

 ネタバレにならないようにこの辺でおしまいにしますが、それなりに面白かったです。

2021年8月15日日曜日

 何もない日常なんてない

 じ治療薬ボラギノールのCM のセリフはこんな言葉だったと思います。なぜ正確に覚えていないかというと、きれいな女優さんに見とれて、ちゃんと言葉を咀嚼していなかったのです。

 それがある日突然、はっと気づきました。この人、痔で苦しんでいるのだ。いつも痛いのだ。『何もない日常なんてない』。

 私も、膝が痛い、足が痛い。肩が凝る、腕が上がらない。『何もない日常なんてない』、毎日は不足との戦いなのだ。

 だから、私も、「痛い」というのを止めようと思いました。誰に言っても治るわけでもないし、相手がつらい思いをするだけです。

 昔、書いた長崎の神父さんのお母さんの言葉が思い出されます。「つらいとか苦しいという言葉は神様だけに言うんだ」と息子を諭したのです。

 今思い出しても立派な言葉です。皆さん、日々の中で、いろんな哲学を体得していられるのに、私はこの年になって、初めて自学しています。

 本 山菜のとり方と料理の仕方、中井將善 著、1987(昭和62)年発行

 野草を食べている話をしましたが、先日散歩の途中で、虫がいっぱい穴をあけている雑草に出会いました。いたるところにあるのです。これだけ虫が食べているのだから絶対美味しいに違いないと思って、インターネットで調べてみよう思いましたが、名前がわからないと調べられない。『食べられる野草』と入れて、探す方法もありましたが、『そういえば、昔買った本の中に野草の本があったっけ』と思い出して、引っ張り出してきたのがこの本です。

 昔も食べられる野草には興味があったのです。でも、忙しいと野草どころではありません。それでも興味はあって、食べられそうなものは空いた敷地に植えていたのです。

 今回、見てみると、家にあるのも結構あります。セリ、ミョウガ、三つ葉、食べないけど生えてくるものはヨモギ、山芋、フキ、ノビル、ドクダミ、ツユクサ、タンポポ、オオバコ、アザミ、など。中でもドクダミはいくらでも生えてくるので、何度か試してみましたが、『お口に合いません』でした。

 で、今回見つけたのは、多分『スイバ』と」いうものです。地元で『スカンポ』とも言ったこの名前は子供のころ食べて、酸っぱくって嫌いになったという思い出があります。

 他に試してみたい野草は、クズ、スベリヒユ、ツユクサ、ムラサキツメ草、ヨメナ、レンゲソウ、など。今度見つけたら、本を片手に摘んで来ようと思います。今の季節だと多分、クズですね。密生地を知っています。

 それよりも興味をひかれたのは著者の経歴です。

 著者、中井將善氏は昭和12年生まれ、亡夫が15年生まれで、生きていれば81歳ですから、84歳前後でしょうか。立命館大学の経済学部を卒業というのからして波乱を感じさせます。山之内製薬に勤めながら、薬草の研究をしたようです。退職後、磁気治療器を開発、帰郷して、自然食をはじめ、健康酒、健康茶、野草料理の研究をし、『自然に親しむ会』などのリーダーをし、草心流家元として、『家庭一輪花運動』を展開、ここまでなら何とかわかるのですが、その先、木工芸品の自作で、郷土伝統民具品の伝承に努め、大型路線バスの廃車を民芸調に改装して、山菜料理、手打ちうどんの店を出し、趣味で釣りや狩猟をし、釣りの本も出しているようです。人生、めいっぱい生きている感じの人ですね。

 この本の最後には山菜料理の仕方とか、専門的な見分け方とか、さらに多くの食べられる野草名、毒草類のリストも載っています。

2021年7月29日木曜日

 韓国の話

 あまりに多くの反日のニュースに恐ろしくなって、思わずコメンテーターの反応意見を見てしまいます。「言わせておけよ」みたいなコメントに「なるほど」とうなずいて少し安心します。

 人に嫌われるということは恐ろしいことなんです。特に私のように対人恐怖症の人は。だから、余計に韓国のニュースを見てしまい、反対に台湾の蔡英文総統の善意とおおらかさに感激してしまいます。

 連日のオリンピック報道における反日の様子は、選手村の垂れ幕や放射能汚染の食べものの話など、あらゆる機会をとらえているようです。周りで嫌韓行動をしている日本の右翼も悪いと思いますが。

 開会式の韓国の放送では各国選手団のお国の事情をテロップで流したとして自国民からも非難があったようです。「オリンピックに政治は持ち込まない」というルールがあるようです。

 ここで、昨日でしたか、『<W寄稿>韓国人には確実に「残忍さのDNA」があるようだ=収監中の朴槿恵前大統領の近況 7/23(金) 17:56配信 WoW!Korea』という記事を見つけて読みまして、『なるほどな』と思いました。

 一度権力を握れば、前大統領の裁判だって思惑通りに判決を下し、正義の見せしめのように牢獄に入れる。『誰かを失墜させて苦痛に陥れるのに喜びを感じる残忍な人間性の持ち主が韓国人の中にひときわ多いという推論が可能となった。事情を寛大な気持ちで見てやる側と苦痛を与える側の内で選択すべき時、「苦悩せず(情け容赦なく)」苦痛を与える側へ大勢が形成されるのだ。』

 この頃、大統領選に絡んで『竹槍』の話が出てきますが、何の話だろうと思っていたのです。そのことについての言及もありました。『6・25(朝鮮戦争)時に一時的に共産勢力の統治下になるや否や、少し前まで互いに笑顔で向かい合っていた者が完全に冷淡になり、竹槍を持って人民裁判を開いていた。自分の上司を、あるいは自分の同僚を残忍に殺戮して殺した事件が発生した。共産主義者が抱く元々の特性に加え、このような韓国人の基本的な人間性を勘案すれば、なぜそのような悲劇が発生したのか理解するのに、容易に合点が行く。』

 『<W寄稿>『朝鮮策略』から140年、その時と比較して変わったものがあるのか=日中韓の今とは?』という記事に、『「サイレント・インベージョン:オーストラリアにおける中国の影響」という本を書いた「クライブ・ハミルトン」教授(オーストラリアのチャールズ・スタート大学)は、朝鮮日報とのインタビュー(7月20日付)で、当時の王、高宗は総理大臣たちを逆賊として処刑を命じ、『親露政権の高宗によって動員された行商人ら、数千人の群衆が金弘集などを処刑するために集まって来ており、日本軍は金弘集などを護衛した。兪吉濬、趙羲淵、張博は日本への亡命の途に就いたが、金弘集と鄭秉夏は日本軍の引き留めを振り払って、街路に出て捕まり、グァンファムン(光化門)の通りで悲惨な死を遂げた。』という、読むに堪えないような歴史が語られています。

 これって、北朝鮮の首領が叔父を逆賊として処刑した、あれに似ています。読むに堪えないとして捨てた『三国志』にもよく出てきたような気がします。つまり、権力を握れば、反対するものは抹殺しなければ安心できない。日本の戦国時代にもよくあった話です。つまり、残虐のDNAは誰にでもあるのです。

 人間の恐怖の表れのような気がしますが、平和な世の中では、人はゆとりと共に成長して、やがて、相手の気持ちを推し量るようになり、理解と寛容を持つようになるのだと思います。

 それができないのは、朝鮮半島が常に周りからの脅威におびえ続けているからだという気がします。つまり、地勢的な要因もあるのではないかと。日本は島国でよかったといつも思いますが、台湾もそうです。オーストラリアやニュージーランド等もそうでしょう。平和ボケしていると言われるときもありますが。

 中国や朝鮮半島はいつも緊張状態を保ち続けています。自分を守ることに精一杯なのです。だから、人の善意なんて信じられない、裏がないかと勘ぐってしまう。京畿道知事が、『竹島を足掛かりに日本が攻めこんでくる』というような秀吉を想定したような妄想を抱いているようですが、まさに、『攻撃は最大の防御』と思っているのでしょう。その精神状態を気の毒にも思いますが、やはり、先のコメントのように「言わせておけよ」と思うしかないような気がします。

 韓国の自殺率は先進国で一番だと聞きましたが、みんなが正当性を主張して攻撃することが正しいと思っていると、苦しむ人が出てくるのは当然です。それでなくても世の中は厳しくてつらいのですから。

 もちろんそうでない人もいます。駅で落ちた人を助けようとして亡くなった韓国の若者のような人もいるのです。先日の鹿島スタジアムの韓国対ニュージーランド戦では地元の小学生たちが、友好都市の小学生のために大韓民国を一生懸命応援していたという泣かせる話も報道されていました。その試合で、握手を求めたニュージーランドの選手を無視したとして韓国10番の選手が有名になりました。大人たちは何をやっているのでしょうね。

 祈るしかない

 この頃、車でアメイジンググレイスの歌を聞いています。作詞者はその昔、奴隷貿易にかかわってしまったイギリスの商船主だと聞いています。

 反省というのも自分を苛み、恐ろしいことですが、私はこの頃、ひきつけられるように中国やロシア、朝鮮のニュースを見てしまいます。平和ボケの日本にいてさえ、誰かが強い個性で引っ張ろうとすると反発を感じるのに、あまりの個人の独裁に、恐ろしさを感じます。

 習近平氏も、プーチン氏も、自分で憲法を改正して長期政権を可能にしてしまいました。三代続く北朝鮮のキム政権もそうですが、誰かに譲って、悠々自適に老後をとはいかないようです。韓国のように、退任後牢獄という事態になりかねないからです。文在寅氏もできることなら自分があと一期大統領をやりたいでしょうね。

 独裁者たちもつらいでしょうが、反対勢力の暗殺や拘束、事実の隠蔽、隣国への侵攻など、必死に生活しながら黙って見ているしかない庶民もつらいです。

 近年、子供を持たない選択をする人が増えて、少子化になっていますが、本当はこんなつらい状況をいやしてくれるのが子供たちの成長なんでしょうと思います。でも、こんなつらい状況を子供たちが味わうことになるのも想像するとつらいのでしょう。

 本当に祈るしかできないんです。生まれてしまったみんなが楽しい人生を送れますように。

 本 『二宮尊徳先生の生涯と教え』そば処「報徳庵」のしおり

 これは本当に薄くて粗末なしおりです。今市の杉並木の中の蕎麦屋さんでもらってきたのだと思います。夫は一時二宮尊徳にも凝っていて、結構集めていました。そのうちの薄いホチキス止めの、本とも言えない本です。

 最初に、尊徳先生が晩年を今市に住み、近隣の農村の復興に尽力していたと書かれています。

 どういう形態で尽力していたのかなとお金に苦労した俗物の私は思ってしまいます。この人は実務経済学者だから、経済的には妻子を養えるほどきちんとしていたのだろうと思いますが、今でいうコンサルタントのような仕事をしていたのでしょうか。

 安政三年(1856)に70歳で亡くなり、市内の如来寺に葬られましたが明治30年二宮神社が創建されたそうです。今市市内には「二宮堀」「二宮林」「報徳役所跡」「報徳仕法農家」「沢蔵司稲荷」「二宮神社」等などが保存されているようです。

 次の略年譜を見ると、十代で両親を亡くし、一家離散の状態からの出発だったようです。二十歳で家の再興を決意し、二十四歳で成功させたようです。三十一歳で結婚するも三十三歳で離婚、三十四歳で再婚。三十二歳の時に、初めて、経済復興の仕事を引き受け、成功し、三十五歳の時に栃木県(下野国)での更に大きな仕事を引き受けて、家財を売却して下野桜町に転居してきたようです。有名な二宮町の『桜町陣屋』でしょうか。

 これは五十歳までかかったようです。

 このころ、天保の大飢饉が起こり、尊徳先生は加えて、烏山、下館、小田原の農村復興事業を進めていたそうです。

 五十六歳の時、幕府に召し出され、御普請役格に任命されたそうです。これは給料が出たのでしょうか。

 五十八歳の時、日光神領荒地起返しの見込調査を依頼されて、三年かかったそうです。

 五十九歳で相馬の農村復興に着手。

 六十七歳、日光神領の農村復興を命ぜられる。病を押して着任。視察をしている間に病が再発。

 六十八歳、嫡子弥太郎が見習いを命ぜられて助力したようです。

 六十九歳、今市の報徳役所が完成し、桜町から転居。

 七十歳(1856年)、二月御普請役に栄進したが、十月病状急変で永眠する。

1866年、幕府転覆。弥太郎(46歳)は磐城の国へ移転する。

1871年、弥太郎病死(51歳)。

 過日、カブールで亡くなった中村哲医師を思い出しました。農村復興って土木事業なんですね。

 次に『報徳道歌』が数首。常に自然を見つめ、戦い、感謝し、常に身近のものに心を配っていた張り詰めた神経が感じられました。

 次は報徳訓の注釈があります。これは夫が張ったものが我が家にもありますが、先日、私が『草取りの真実』で「気づいた」と思ったことがここに載っていました。『田畑山林は人民の勤耕にあり』『自然の恵みは、これを人間が耕すことによってより豊かになりますが、それを怠ると自然は荒廃して洪水などの災害を引き起こします。自然の恵みを豊かに引き出して暮らしに役立てるのは、人間の努力次第なのです。』

 尊徳先生はあくまでも前向きです。大飢饉の起こった時代に、苦労があっても、人生に絶望することなく、未来を見据えて、敬愛しあいながら生活するようにという教えがそこここにあります。

 次に尊徳先生語録。『夫れ我が教えは 書籍を尊ばず。ゆえに天地をもって経文となす。・・・・・・・かかる尊き天地の経文を外にして、書籍のうえに道を求むる学者輩の論説はとらざるなり。』『二宮翁夜話』というのが印象的でした。実務家だったのですね。

 でも、こんなに忙しい生活をしていて、よく道歌とか語録とか考えていられるなあと思いましたが、こういう農村復興事業というのは人をうなずかせることから始めなければならないから、こういう説得力のある哲学は必要だったのだろうと思いました。

 昔、報徳社という団体が北海道の歴史に入っていたのを見たことがありましたが、尊徳さんの教えを生かした運営をして成果を上げたようです。

2021年7月22日木曜日

 草取りの真実

 梅雨が明けて、またいつものように突然暑くなりました。雨が上がって暑くなると、当然のように草が大きく育ちます。

 我が家はほとんど敷地いっぱい建ててあるので、草の生える余地はそんなにはないのですが、それでも、昔の建物で、余地にコンクリートや砂利など敷いてありません。それに、シソやミョウガなどの生えている野草を収穫する心づもりもあって、土のままにしてあるので、どんなに狭くても草取りは大変です。今日はここ、明後日は裏、と少しずつ、時間を見つけては抜いています。

 前にも書いたかもしれませんが、私の実家は農家で、家の敷地は農作業のためもあって広くとっていました。それに敷地の中に畑もあり、竹林もあり、杉林もあり、洗い物のための池もありで、除草剤が普及するまで、母はそれこそ一年中草取りをしていました。それを見ていた私は、家は狭くていいと思ってしまいました。おかげでずっと狭い家に住んでいますが。

 母は怠け者の私に手伝えとは言いませんでした。草取りのノウハウを知らない私は鎌の使い方を知りません。だから、今も手で、大きくなった草を抜いたり、木ばさみでサクサクと上の方を撥ねるだけです。幸い、狭い我が家の敷地ではそれで何とか間に合います。

 それでも、ある日思いました。『こうやって、毎年草と格闘して、一生を終るのだな』と。これは家の掃除にも言えます。掃除機なる便利なものができていますが、埃はどんどんたまります。拭いたと思っても二、三日で、白い埃が気になります。掃除機をかけるほどではないと思っていると、一週間で綿埃があちこちに飛び出します。ワイパーで集めたり、ころころで吸い取ったり、雑巾で拭ったり。こうやって、一生、埃と戦って行くのが人生なのだと思えてきました。

 結局、謙虚に自然と共生して身の回りを整えて行かなければならないということですよね、生きるということは。人に任せることもできない、自分でやるしかない。これが生きて生活をするということの真実だと思えてきました。

 普通はもっと早くに、仕事を持ったり、したりする中で気づくべきことだったのでしょうが、何事にも遅い私はこの年になって気づきました。というか、若くて勢いのある時は、気にも留めずにしていたことが、足が痛くなって、体の動きも悪くなり、自然との闘いが毎日に大きなウエートを占めて来て気付いたのでしょう。でも、気付いたということは大事なことです。

 ミニマリスト宣言

 『71歳一人暮らしで1日 1000円生活。ケチでも楽しく豊かな暮らし方』という記事を読んで、『まあ、私と同じ人がいるわ』と、読んでみたのが始まりです。エッセイストの小笠原洋子さんという方の生活を紹介していました。

 『いかにお金をかけずに心豊かに生きてゆくかを追求しているのです』とおっしゃる小笠原さん、私と違うところは、ひとりが好きで、生涯のほとんどを『ひとり』で生きてきたという逞しさと清廉さです。

 で、私と比べてみると、年金暮らしというのは同じです。

 小笠原さんは一日千円と言っているので、一か月にすると、3万円くらい、私は車の経費も含めて5万円くらいを取っています。結婚した娘が一家を連れて、週に一度は食事をしに来るので、ちょっと足りないです。私も交友費としてはこれだけです。

 小笠原さんはテレビも見るようで、通信費が一万円と言っていました。私はテレビは切ってしまいましたが、同じくらいです。

 小笠原さんはURの高齢者用賃貸住宅に住んで、家賃が五万五千円と言っていました。私は築四十二年の古家に住んで、固定資産税や保険料、維持費など月一万円くらいです。高齢者用住宅は便利で、定期的に安否確認をしてくれるみたいです。私の場合は下の娘が同居しているので、今のところその心配はいりません。月々の費用は安いですが、最後に責任解体費がかかるでしょうね。

 小笠原さんは、電気代とガス代で、月四千円くらいと言っていましたが、私の場合は水道代も含めて月、少ない時でも一万円くらい。今まで40アンペアで年に一、二度ブレーカーが落ちていたので、なかなか踏ん切りがつきませんでしたが、今度、30アンペアに変えてもらおうと思っています。

 これをまとめてみると、

小笠原さん、10万3千円。(水道代を二千円として入れて)。

私、9万円くらい。(足りない生活費1万円を入れて)

これに公的保険料が入りますが、私も72歳ですから、きっと同じくらいです。

 私は、一人暮らしではありませんが、なかなかのミニマリストであると、安心しました。

 小笠原さんの他にも、ミニマリストの記事がありまして、冷蔵庫と洗濯機を使わない家庭とか、おばあちゃんを見習って、残り物を出さない、地球にやさしい生活を心がけている家庭とか、みんなそれぞれに頑張っているみたいです。

 ところで、小笠原さんの記事に『空いた棚はそのまま開けておく』というのがありましたが、最初読んだときは気にも留めませんでした。でも先日、壊れぎみの古い冷房エアコンの撤去を量販店に頼みに行って、新しいクーラーを探している自分に気づいて、『ああ、このことか』と思いました。その冷房エアコン、実際にはあまり使いませんでした。『家が古いし、置き型で何かないかな』と思っていたのですが、あまりいいのが無くって、『今年は止めよう』と思いまして、はっと気が付いたのです。捨てたものの代わりに何かを買おうとしてしまうのですね、人間って。

 さて、私は次にどんな工夫をしましょうか。

 ワクチン接種の話、再び

 婿のお父さんが、打とうか打つまいか迷っていると聞いて、「ワクチンで死んでも、コロナで死んでも同じだから、私は打つわ」と大見得を切ったまではよかったのですが、予約が取れません。

 最初の週は「予約を締め切りました」という字幕が出てダメ、二週目は予約可能日に全部満杯の✕マーク、電話は全くつながりません。

 「私は高齢者なのに」とつぶやいても、まったく相手にされない状況です。

 キャンセル待ちをしようかと思いましたが、いつ来るかと緊張状態にいるのも苦手です。「いいや、ワクチンで副反応を起こす人もいるのだから、打たなくても」と、イソップ童話の「酸っぱい葡萄」の心境です。

 若い人たちの接種がどんどん始まっているので、予約のとれない高齢者の入り込む余地はありません。「まあいいや、みんなが感染しなければ、私に移すこともないだろうから」とか、「どこにも行かないし」とか。一番最後と覚悟しました。

 で、心穏やかに暮らしていたある日、娘のところにも接種券が届きました。で、予約の仕方を教えてやるとか言って、予約サイトを開いたら、七月の最終日に空きがありました。

 どうも、皆さん、オリンピック前に打ちたいと急いだみたいです。おかげで、私は七月、八月で打ち終わりそうです。まあ、うたない選択もありえたのですが、周りに迷惑をかけないようにするのが一番だろうと思います。

 超自然農法

 自然農法のまね事をして大失敗した話はしましたが、でも、自宅でとれた野菜を食べたいですよね。

 で、考えたのです。何が食べられるか。まず、種をまいたやつはほとんどダメです。小さくしか育たないか、虫の穴だらけ。

 で、我が家の庭に何が育っているかというと、シソです。赤紫蘇、青じそ、雑草のごとく生えています。それで、クックパッド等のレシピを検索して見てみると、青じそのちょこっと漬け、とか、赤紫蘇の赤紫蘇梅干しご飯、その残りのゆでた赤紫蘇とシラスを炒めて作ったふりかけ。などなど、結構出てきます。

 で、結局、雑草でいいんですよね。元気に育ってきてくれるのですから。

 これまでにも、我が家では、三つ葉、セリなどもテンプラにしました。ニラや小葱も料理しましたが、この頃、彼らは細く硬くなってしまいました。急いで有機肥料を買ってきて撒きましたが、果たして秋までに回復してくれるかどうか。

 アスパラガスは、ポキポキ取っている間に、嫌がって出てこなくなってしまいました。回復するための休みが必要なのでしょう。

 で、その間に、今まで邪険にしていたミントと桑の葉をテンプラにしました。美味しかったです。桑の葉は茹でて胡麻和えでも美味しいです。

 キュウリやトマトは買ってきます。庭に植えても場所を取るだけで、ほとんど収穫はありません。ジャガイモや玉ねぎも買ってきます。捨てた芋から芋類は芽を出して、時々収穫しますが、思わぬ喜びです。カボチャも捨てた種から一、二個とれますが、場所を取ります。

 これからはミョウガが採れます。

 そうそう、イチゴは雑草なんですね。いくらでも増えて行って、ジャムを作った後は繁茂を抑えるのに苦労します。

 あとは種から育てた枇杷、枝切をしたら、今年はなりませんでした。イチジクも枝切りで今年はならず、ブドウだけは元気です。種をまくと柿もリンゴもどんどん生えてきます。でも、植えるところがありません。あまり大きくならないうちに処分しないとと思うのですが、せっかく生えてきたのにと思うと、年々延ばしてしまいます。

 これで十分です。野草と雑草だけで、料理法さえ手に入れれば美味しく食べられます。

 英国ミステリー噂話 『検視法廷』に出ているマット・バードックの話

 『検視法廷』では、クレア・グース演じるジェーン・ケネディの元彼の刑事デービー・ヒギンズを演じているんです。これは昔楽しんでみていたドラマでした。

 で、この頃『第一容疑者』を見始めた話はしましたが、その第二話で出てきた人がどこかで見たことがある役者さんだと思って、考えてみたら、刑事デービーの若いころだったのです。つまり、まだ髪の毛がふさふさしていたころです。

 この髪の毛がふさふさしていたころの顔は、どこかで見たことがあると、気になって、またウキペディアで調べてしまいました。

 それによると、彼は1992年にこの『第一容疑者』でデビューしたみたいです。同じ年に、『フロスト警部』でDCバーナードという役をやったと書いてありました。で、思い出しました。二話くらいに出ていたと思います。確かにこのふさふさした頭でした。

 フロスト警部ではたいてい、一話ごとか、二話くらいで新しい刑事が来るのですが、彼はえらいさんの甥とかいう設定だったと思います。いつもいい服を着ていて、お育ちがいいという感じでしたが、結構しっかりと活躍していて、最後に亡くなってしまう役でした。これだけ覚えているのですから、彼は存在感のある役者さんだったのでしょう。

 でも、他の出演作品を見てみると、2004年に『ニュートリックス』にDIトム・ウイルソンという役で出ていたらしいのですが、おぼろげにあれかなと思える程度にしかわかりませんし、2005年の『バーナビー警部』のハリー・ローズという役なんか、全く分かりません。見ていたはずなのですが。

 で、『検視法廷』は2015年から2016年だそうで、坊主頭になっていたのです。最近は、『ニューブラッド』という作品にでているらしいです。この『ニューブラッド』は一度、GYAОでも放送していましたが、残念ながら見ませんでした。今度放送されたら見てみます。

 それと、『検視法廷』で、検視官ジェーン・ケネディの母親役の太った女優さんが『ポルダーク』に出ていて気になっていたのですが、ビーティ・エドニーというロンドン生まれの女優さんだそうです。

 本 『地球の歩き方、ヨーロッパのいなか』ダイヤモンド社、“91~92版』

 若いころは、旅行に行きたくて、こういう本を何冊も買いあさりました。でも、現実には行けませんよね、お金もないし、生活もあるし。で、読まれることもなく積んであった、これは30年前の私の本です。

 最初に出てきたのは、ヨーロッパは多民族であるということでした。国がポンポンポンとある感じですが、スペインのなかにもバスクあり、カタルーニャあり、その他にもスペインとフランスにまたがった自治州があるみたいです。イギリスだって、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、言葉もそれぞれ違うらしいです。このウエールズの中でもコーンウオールのケルト人はフランスのブルターニュのケルト人と同族なんだそうです。海をわたって真向いのフランスに移住したのだそうです。で、EU諸国が『少数民族の人権にどうしてあんなにこだわるのか』が分かったような気がしました。自分たちの問題なんです。

 次に旅人はフランスのセザンヌの故郷を旅します。セザンヌって、どんな画家だったっけと忘れてしまった知識をコンピューターを使って思い出しました。あのタヒチに行ったのは誰だっけ、ゴーギャンでしたよね。ゴーギャンをモデルに小説を書いた人はイギリスの?。『モース』じゃなくって、『モーム』でした。サマセット・モーム。『月と六ペンス』、私は英文科だったのにすっかり忘れていました。で、あらためて、ゴーギャンをウキペディアで調べてみると、とんでもない人でした。この人なら、小説のモデルになっても不足はないという感じです。

 こういう風にして、旅人が自分の好きな作家や芸術家の原点を訪ねていくという構成でできていますから、知らない作家も出てきます。フランスで有名なジョルジュ・サンドという女流作家のところに、10年一緒に住んだ愛人としてショパンが出てきました。ショパンってクララさんという愛妻がいたんじゃなかったかしらと思って、またウキペディアを見てしまいました。クララさんはシューマンさんの奥さんでしたね。こうして知らないことが次から次へと出てきます。旅のだいご味でしょうか。

 次はイタリア、テレビで見ていた『イタリアの小さな村」と同じです。でも、芸術家はほとんどが宗教と関連していて、どこでもドーモと教会が出てきます。

 次はドイツ、最初に出てきたのは、ルードビッヒのノイシュバンシュタイン城でした。昔、なけなしのお金を叩いて、家族で貧乏旅行をしたときに行ったところです。あの時、熱に浮かされたように行っておいてよかったと思います。我が家のいい思い出ってあれしかありませんでしたから。確か、1989年のベルリンの壁崩壊の前だったと思います。この本の旅人たちも、その前後に旅しているようです。

 ところで、今地球温暖化のせいであちこちで水害が起こっています。ドイツ西部やベルギー等でも多数の死者が出たと報じていました。私たちもライン下りをしましたが、ライン川など、大河はほとんどが国際河川なんですね。何か国もの間を流れているのです。だから、損害も何か国にも及んでしまうのです。

 次のオーストリア・スイスも行きました。サウンドオブミュージックの街ザルツブルグとインスブルックです。スイスではインターラーケンからユングフラウヨッホにお馴染みの登山電車で登りました。でも本で、旅人は同じインターラーケンから、違う山を登っていました。私たちが行ったのは大きい所だけですが、チロル地方の村やハイジの村、ドナウくだりも紹介されていました。アンドレ・ジッドが住んで『田園交響楽』を書いた村の紹介があって、ストーリーも半分書いてありました。読もうか止めようか、悩みます。

 スペイン・ポルトガルのうち、私たちはスペインのサグラダファミリアだけを見に行きました。これは行かないと見れません。その後もサグラダファミリアの工事の様子はテレビで何度も紹介されて、正解でしたが、この本にはバルセロナは出てきません。面白そうな海岸の町や起伏にとんだピレネー山脈のなかの村が出てきます。でもちょっと、鬼才というか、変な芸術家が多いのは、ヨーロッパの端っこで、目立たなければ世に出られなかったからかもと思いました。

 イギリスは、言葉も何とか通じるので、私たちの貧乏旅行のメインでした。今英国ミステリーであちこち映し出されるので、だいぶ行った気にはなっていますし、ちょっと食傷気味でとばしました。

 オランダ・ベルギーは行きませんでした。あの頃は暗いイメージがあったのですが、読んでみると、歴史の重みやヨーロッパの中心という印象を受けました。いつか行きたいと思ってしまいました。

 番外編として、アイスランドの生活、ギリシャの島々、リヒテンシュタイン王国、アンドラ王国、アイルランドが紹介されていました。よだれが垂れます。

 ツアーなら歳をとっても行けるかも知れません。まずは足痛を治しましょう。

2021年6月26日土曜日

 本 ソフト経済学 日下公人著、知的武装解除がヒントを生む 1988年発行PHP文庫

 この頃、ドラマはミステリーが大好きなのに、本はフィクションを読む気になかなかなれなくって、今回も実用書を手に取ってしまいました。

 でも最初の長いプロローグを読んだとき、やっぱり頭のいい人の話は分かりづらいと後悔しました。

 で、本日、『中国共産党100周年直前に家を追われた趙紫陽元総書記家族』というニュースが出ていて、この名前がプロローグに頻繁に出てきたことを思い出しました。

 ニュースには『1987年に総書記ポストに上った趙紫陽は、89年4月から6月にかけて、北京の天安門広場に集まって政治の自由化を要求していた学生デモ隊を武力鎮圧しようという党指導部に反旗を翻した。しかし同年6月、「動乱を支持し、党を分裂させた」という理由で失脚した。2005年に85歳で亡くなるまで、16年にわたり富強胡同の自宅に軟禁された』とあり、この自宅に今も住んでいた娘夫婦が追い出されたらしいのです。

 プロローグにも、中国の国家資本主義を方針を掲げて主導した人物と書かれていました。この本が出版されたのが、1988年で、ちょうど趙紫陽さんたちが指導者で、天安門事件の前だったのです。

 他にも中国共産党100周年記念館のニュースがあり、毛沢東主席と習近平主席だけが大々的にまつられ、間の、中国の今日の繁栄をもたらした指導者たちはほんの一区画だけだったと書いてあった記憶があります。

 リンゴ日報の廃刊のニュースもあり、こんなに言論統制をして、習近平さんは何をしようとしているのでしょうね。今、毛沢東さんがえらかったなんて思っている人はそんなにいないと思います。こんな中国を作り上げてしまったのですから。むしろ、後世の人は天安門事件に反対し、国家の繁栄の基礎を築いたという趙紫陽さんを尊敬するのではないでしょうか。

 この本の続きは、よくわからない経済のはなしですが、頑張って最後まで読みます。

 後半は思いのほかすんなりと読めました。あとがきを書いた方が『頭のいい』と絶賛していましたが、本当にそういう内容でした。こまごまとしたことをよく覚えているのですが、これはあちこちで講演をしたときに繰り返し話されていたネタだったのでしょう。

 でも、それとは別に、その一つ一つの事象を分析して、理論にまで積み上げているのです。こうして日本経済を導いてきたんだなあと、その言葉通りに動いてきた経済と社会の流れを感じました。

 この方は私の父より少し下、日本の産業が大発展をしてきた時代、世界が分業の時代に入り、中国経済がこれから爆発するという時代を駆け抜けていられた方です。楽しそうに時代を読み解いていられました。

 中で一つ、私が『ああそうか』と思ったのはドイツの話です。このころまでにドイツの経済は成熟し、停滞期に入ったようです。人々はあまり働かず、出生率もどんどん下がって、50年後には人口が半分になると予測していました。

 で、今わかりました。ドイツがなぜあんなに移民を受け入れているのか。著者は「ドイツ語さえ話されなくなるのではないか」と危惧していました。なぜ、あの優秀な指導者のメルケルさんが警戒心もなく『一帯一路』に乗っかってしまったのか。ドイツ経済の弱みを握られたのです。

 台湾のリーダーたちのえらいとこ、その2

 昔、台湾で、性的マイノリティーの人々と、それぞれの民族衣装を来た少数民族の人々が、一緒にパレードをする様子をテレビで見たことがありました。差別のない国を象徴していたようです。

 日本では、特に地方都市ではそうゆうのって、あまり見かけませんし、特に対人恐怖症の私はパレードなんかにはよほどの使命感がなければ行きません。

 で、なぜこんなことを書く気になったかというと、先日、ネットの記事で、『台湾の天才IT相”オードリー・タン氏は、その稀有な知性ゆえか幼少期は学校になじめず、転校と不登校を繰り返した末に、自宅で学習することを決めました。周囲が猛反対するなか、母の李雅卿だけはオードリーの決断を尊重し受け入れます』、そうして彼女は息子の自学をサポートし、その経験を基に、『台北市独立学習実験プロジェクト(中学・高校6年)を立ち上げ、ユネスコから「 アジアで最高のオルタナティブ教育の1つ」として称賛される』ようになったようです。

 本が出ているらしいので、どんな教育か、詳しくはそちらに譲るとして、私が考えるに、いわゆる、自学学習、子供の興味に沿った教育ということだと思います。

 そして、オードリー・タンさんは『2005年、外見と自己意識を一致させるために、名前を変更するなどの女性への性別移行(英語版)を始めた』とウキペディアにあるように、性的マイノリティーになったのですが、彼女の活躍を見たら、誰もその存在を否定できないのではないかと思います。

 で、もう一つ、私がネットで見た記事がミャンマーの話です。ミャンマーでは昔からロヒンギャというイスラム系民族の迫害問題が有名で、みんなが心を痛めていました。『スーチーさんがいるのにどうにもできないのかしら』と歯がゆい思いもしていました。ところが今回、軍のクーデターが起こって、軍政に反対して、いくつかの少数民族の武装組織が立ち上がって、戦っているという話が聞かれるようになりました。

 これを見ると、台湾の政治家たちはえらいなあと改めて思うのです。少数民族も性的マイノリティーもみんな含めて台湾なのだとあのパレードで宣言していたのです。摩擦の起こりえない環境を作り上げていったのです。

 私が日本人として感謝したいのは、戦前まで支配していた日本の遺構を、歴史遺産として大事にしていてくれることです。人と人、国と国には摩擦はつきものですのに、その摩擦を解消するような政治をしているのです。本当に頭のいい、先見の明のある人たちなのだなあと、頭が下がります。

 もう一つ、アメリカに同調したとはいえ、どうしてあの時、「一つの中国」を認めてしまったのだろうと、憤慨したことはいまだに忘れられません。

 英国ミステリー噂話 警察医ブレイク シーズン3

 ずっと楽しみに見ていたのに、シーズン4は放送されないで終わってしまいました。一挙放送していたので、それこそ一話を二、三回は見ていました。これって、あとは有料放送で見ろという誘い水だったのでしょうか。

 これ、オーストラリア製作のドラマでした。でも、ITⅤの名前が最後の方の製作の名前に入っていたので思わず調べてしまいました。ウキペディアを読みましたが、全くよくわかりませんでした。昔から法律や経済は苦手です。

 で、警察医ルシアン・ブレイクですが、主演の『クレイグ・マクラクランは、オーストラリアでは有名な俳優で、凄腕警察医の繊細なところまでも見事に表現しています』とあるように、なかなかいい役者さんで、助演陣もしっかりしています。

 これも一話ごとの事件と、登場人物たちの人生が二重になっていて、今はこの方式の物語製作が普通なんだなと思わせます。

 で、このシーズン3でも、ずっと一緒に暮らしてきた家政婦のジーンが、息子夫婦のもとに行くというので、悲しい別れのシーンで終わってしまったのです。(いつシーズン4が見れるやら)

 時代背景が第二次世界大戦後という設定で、登場人物たちの人生にも影を落としているのを見ると、ほんとに人生っていろいろあるんだなあと思わされます。涙も笑いも後悔も背負いながらめげずに生きないといけないんだなあと。

 台湾のリーダーたちのえらいとこ

 「決して人をそらさない」と言ったら、あまりいいイメージではないのでしょうか。

 台湾の政治家たちは、自国の生き残りに必死だと思うのですが、ちょっとしたことにも、感謝し、自分たちもできる限りのことをしようとする。善意を前面に出して政治をしているという感じです。蔡英文総統は頭がいいなと思います。

 尖閣諸島については、台湾も領有権を主張していたのですよね。つまり、台湾、中国、日本が領有権を主張していて、日本が実行支配しているわけです。ですから、台湾の一部の政治家たちは領有権を主張したんです。でも、本島が奪取されかねないときに、尖閣を領有しても何の意味もない、それより、尖閣を日本に守ってもらって、協力して中国を撃退すべきだと諭した政治家がいたみたいです。

 韓国は、それとは真逆の方法で国を動かそうとしています。いつまでも「日本が悪い」、「賠償すべき」と、次から次と被害者を繰り出してきます。いわゆる『怒りの政治』です。今までそれで成功してきたから、軌道修正が簡単にはできないのでしょうが、休まるところを知らない社会の中では居心地は悪いでしょうね。

 次と期待されるユン前検事総長は、何かの会合で「憎悪のない政治」というようなことを言っていたと記憶していますが、果たしてそんなに簡単に、民意の修正ができるでしょうか。

 とにかく、政治家には、頭がよくて誠実な人になってもらいたいです。

 この頃、文大統領が昔から言っている『トップダウンの政治』というのをよくよく考えてみたのです。彼はまず自分が外国の元首に会いたがりますよね。

 菅さんにも会いたいと言って、「今話しても何も進展しない」と言われると、「日本が拒否した」と政府ぐるみで言ってくる。この日本批判は、G7で宣言に署名してしまった韓国政府の中国に対する言い訳のようにも聞こえます。

 で、トップダウンですが、昔は「俺のところに口利き料を持ってこい。そしたら話をしてやろう」という賄賂政治家のやり口だったのではないですか。あれだけ北朝鮮に擦り寄っているのに、北朝鮮があれだけ嫌うのはきっと何かあるのです。

2021年6月13日日曜日

 血圧が下がった

 足が痛くてもお医者に行かず、ヨガやストレッチ、マッサージや湿布薬で治そうとしている話はしました。血圧計が壊れていた話しもしました。

 でも、足はなかなか治らず、痛みがあちこちに広がり出しました。身体のバランスが悪いからだろうと娘婿が言っていましたが、痛い本人は必死です。

 ヨガやストレッチ、マッサージや湿布薬の他に、整体の動画を頻繁に利用し、家にある腰の運動機械、腰の指圧機、背中のマッサージ機、足のバイブレーションの機械を毎日一回以上使うことにしました。シップを時々保冷材にした話もしましたが、そうしたら、なんということでしょう、血圧が下がったのです。家の壊れた血圧計で測っても、10くらい下がっています。

 びっこを引いているのは変わりませんが、整体の動画で教わった、足のねじれを意識した歩き方にしていると、痛みは前ほどではありません。

 一時期、娘が行ってくれていたごみ捨ても自分で行けるようになりましたし、庭仕事、季節変わりの出し入れ洗濯など、やらなければならないことは細々ながらもできています。ちょっとやりすぎると、またシップを張ったりしていますが。

 これって、血圧が下がったことと関係しているでしょうか。それとも努力のたまものでしょうか。あとは体重が下がればもっと楽になると思うのですが、運動ができない分、体重は下がりません。栄養は下げられませんし、あとは便秘の解消でしょうか。

 ネガティブ・キャンペーン

 六月四日に日航機が台湾の空港にワクチンを積んで到着したというニュースを見た時、「え、やったんだ」と興奮して喜んだのは私だけではなかったと思います。そのあとも『天安門事件のその日、その時間に』とか、『管制塔の感謝の言葉』とか、『日本の駐在事務所へ届く感謝の花束』とか、『中華航空が護衛について、一緒に飛んできた』話とか、『要請を受けてから十日間の政府関係者の努力』とか、『日本で生産されたあるだけのワクチン』とか、『東日本大震災の時の台湾からの200億円の寄付に対する恩返し』とか、一生懸命読んでしまいました。

 そんな中で、『なぜ日本人が打たないアストラゼネカなのか』『まず台湾在住の日本人に先行摂取しよう』とか、『アメリカに行って接種してこようとする人たちに交じって台湾からわざわざ中国本土に接種しに行く人もいる、台湾人は本当に中国が嫌いなのか』といった、ネガティブキャンペーンを見ると、心が暗くなります。『本当なのか』と。

 そして、そこに着いたコメントを読んで、ほっと救われる思いがします。

『台湾は現時点でアストラゼネカしか承認していない』とか、台湾在住の日本人と名乗る人が、『私の周りの日本人はこの快挙に大喜びしています』とか、台湾では日本からのワクチンを15日から高齢者を中心に摂取するということを聞いて、『現在勤労世代はアメリカに行って、旅行者用の無料接種を受けてくるしかないのだろう』と思い至り、『中には近い中国へ行って同じく無料接種を受けてくる人もいるだろう』と思いました。

 中に名前を出して、ネガティブキャンペーンを書いている人がいて、ちょっと腹に据えかねたらしい人が、経歴を調べたらしく、『お金をもらって記事を書く人だ』と書いていました。

 そういうこともあるんですね。なんでも制約なく言えるのが民主主義らしいのですから。そういえば、私の好きだったドラマ『ポルダーク』でも、敵役の金持ちが、自分に得になる噂を流して、ポルダークを窮地に陥れるというストーリーが何回も出てきます。『三国志』の権謀術策の部類でしょうか。

 ぼんやりと田舎に生きている人間にはそんなことをしてどんな生きがいが生じるのかわかりません。広い宇宙から惑星のかけらが飛んできていつぶつかってもおかしくない時代、素直にすべてに喜んで生きる方が救われると思うのですが。

 英国ミステリー噂話 女捜査官テニスン~第一容疑者1973

 このドラマを見るのは、これで二度目ですが、飽きずに次回を楽しみに全六話見てしまいました。主演のステファニー・マティーニという女優さん、現在三十歳で、2019年にドラマを撮影したころは27~8歳ころだったようですが、とにかく美人です。新人警官という役にぴったりで若いです。

 実はこのドラマの元が、昔AXNミステリーで『第一容疑者』という題で放映されていたのを知っていたのですが、一度も見たことはありませんでした。『警部ジェーン・テニスンが、男性中心の警察組織の中で周囲と対立しながらも難事件を解決していく、英国の人気ミステリー・ドラマ。オスカー女優ヘレン・ ミレン主演』と大宣伝していたものでした。

 『女捜査官テニスン』はこのドラマのスピンオフドラマで、警察に入りたての新人ながらも積極的に警察に溶け込んでいこうとするテニスン捜査官の活躍を描いたものです。

 スピンオフ作品は『主任警部モース』に『モース刑事』があり、何回か見ましたが、私はあまり好きではありませんでした。

 今回はステファニー・マティーニさんの美貌に引っ張られて見てしまいましたが、この続きで、ヘレン・ミレンさんの『第一容疑者』が配信され始め、見てしまいました。テニスンが警部に出世して、チームのボスになり、女性警部への風当たりにも負けず事件を解決していく様は確かに面白いです。でも、制作年代が古いらしくって、あのポワロの晩年のころに一緒に活躍した推理作家アリアドニ・オリヴァ役のゾーイ・ワナメイカーさんが若々しいです。

 このステファニー・マティーニさんのスピンオフドラマは、『モース刑事』と違って、シーズン2はないみたいと思いましたが、原案、脚本を書いたリンダ・ラ・プラントさんのウキペディアによると、これが、2015年に製作されて、2021年まで毎年一作づつ製作されたみたいです。

 本『一休さんの道 下』川口松太郎 著 読売新聞社


 最初、『大君の都ー幕末日本滞在記』オールコック著、山口光朔訳。著者はイギリスの初代駐日公使、多事多難をきわめた幕末期の政治・外交史の貴重な記録であると共にすぐれた文明批評の書でもある』を読み始めたのです。

 三巻に分かれた岩波文庫青版です。どちらかというと学術書で夫の本ですが、夫も読んだ形跡はありません。今私が読まなければ、この本は読まれずに捨てられてしまうと思って、勇気を出して取っかかりました。でも、古い文庫本は字が小さく、紙が黄ばんでいて老人には読みづらい。

 昔、同じ岩波文庫で『三国志』を読み始めたことがあり、あまりの殺人と策略の多さにいやになって途中で捨てたことがありましたが、今回はそうはならないことを祈るのみで読み進めました。でも、序文を読んだだけで、捨てることにしました。やっぱり学術書はあまり好きではありません。

 で、手に取ったのがこの本でした。夫は一休さんが好きで、何冊か関連の本がありますが、これは『下』だけです。しかも著名だった劇作家の作品で、単行本で字も大きい。何とか読めるだろうと読み始めました。

 これ、フィクションですよね。さすがに著名な劇作家の作品だけあって、生き生きと描かれています。思わず引き込まれてしまう感じで毎日一章づつですが読み続けてしまいました。

 自分が一休だったらきっとこうしただろうという思いが随所に感じられるのです。最後に息子の川口浩さんの謝辞があって、そこにこれが遺作であること、奥さまの三益愛子さんが先に亡くなっていること、そして川口松太郎さんも亡くなっていることなどが語られ、「波乱万丈の人生を生きた」と書かれていました。川口松太郎というと、劇作家で有名作品も多く、華やかな感じで、奥さまも有名な女優さんでした。私たちの時代には息子や娘さん、お嫁さんも芸能界にいて、有名な一家だったんです。

 どこが波乱万丈だったんだろうと思って、ウキペディアを調べてしまいました。

 東京の浅草で生まれた私生児で、酒飲みの左官職夫婦に養子に出され、実の両親は誰だかわからないという。親を知らずに育ったという、一休さんと重なる部分があったのです.

 こういう重なり合う部分があると、人間は感情移入がしやすいのでしょう。夫が一休さんに魅かれたのも、どこか、似た経験をしたことがあったのだろうと思います。というか、波乱万丈な人とは、重なり合う経験を持つ人も多いはずです。

 小学校出で、丁稚奉公や露天商も経験し、『逓信省の電信技師の試験を受けて埼玉や栃木の電信局にも勤めた』そんな中で小説を書き始め、その方面の人脈を築いて行ったようです。その人脈の築き方が凡庸ではなかったと顔ぶれを見てもわかります。のちに有名になる人がたくさん名を連ねるのです。『戦後の1947年に大映製作担当専務、監査役となり、映画界にも貢献』とあるように文学界、演劇界、映画界といくつもの顔を持っていたようです。

 その上に、NHKのアーカイブス、『あの人に会いたい』を見て、「僕は人間が好きなんです」と言い、恩人菊池寛に涙する場面を見てしまうと、確かに、一休さんのように波乱万丈の人生だったんだろうなと納得させられました。

2021年5月31日月曜日

 ジャムの季節

 五月六月は家庭菜園は忙しい季節です。幸い我が家では「どうせ育たない」と種まきはあきらめましたが、草取りの合間にイチゴが赤くなっていたり、天ぷらにいいような野草がいつの間にか大きくなっています。今年の一番の収穫は桑の葉です。実はほとんどなっていません。でもこの桑の葉、血糖値を下げると宣伝していましたよね。天ぷらだけでなく胡麻和えも美味しいです。

 我が家の地植えのイチゴは、そのままでは酸っぱすぎるので、洗って砂糖をかけて電子レンジでチンしてジャムにします。食べ終わらないうちにまた次が赤くなります。冷蔵庫がいっぱいになります。そこに来て、梅の実を拾ってきました。欲張ってたくさん拾ってきたので、ジャムが三瓶もできてしまいました。

ジャムって、パンにつけるか、ヨーグルトに混ぜるかしか食べ方を知りませんでしたので、さあ大変です。食べ方を考えなければなりません。で、この梅ジャムは、納豆に混ぜてみました。いつも納豆に砂糖をかけた梅干しと梅酢を混ぜていたので、そこからの発想です。梅ジャムはちょっと甘すぎましたが、酸味があって同じようなものです。量を加減すれば使えます。

あとは何でしょう。今年は琵琶はなりませんでした。イチジクもダメ。でもブドウがたくさん実をつけています。あれが紫色になったら、やっぱり酸っぱいので、またジャムですね。

 膝の痛み、整体屋さんのユーチューブ

 歩けないほどの足の痛みの話は前にしましたが、今もまだ引きずって歩いています。

 このかん、運動はラジオ体操から、ユーチューブの局所ヨガに変えました。肩とか膝とか股関節とか、悪そうなところを狙い撃ちで攻略出来たらいいなというわけです。もちろん痛いので、昔ヨガをしていた時のように足を組んだり、ひっくり返ったりはできません。でも、できる範囲でして、同じことが次はできるようになると、少しは良くなっていると感じられるわけです。

 薬嫌いの私は、お医者には行かないことにして、湿布薬をしこたま買い込みました。今思うと大変な散財です。それも最初は効くと思ったのですが、ある程度すると、効果はそれ以上は上がりません。

 次に考えたのが、整体屋さんのユーチューブでした。コロナ下でもあるし、お金もかかるし、時間もないしと考えていたのもありましたが、ユーチューブにヨガと同じようにストレッチの動画もあって、それを見ていると、今度は整体屋さんの動画が時々上がってきていたのです。そこで、『膝』と検索してみると、日本国中の整体屋さんがユーチューブを使って発信しているのを知りました。

 私の悩みは最初のころは膝周りの痛みで歩けないというものでしたが、この頃は膝の腫れと痛みで足が曲がらなくなっている、いわゆる正座ができない。これは世に言う『膝に水が溜まる」という現象ではないかと思いました。

 で、それ関連の動画を見てみたら、『膝が痛いときは、まず肩から緩めていく』という動画がありました。確かに肩も痛いのです。痛いのは右足で、左肩、これは心臓にまで来たかなと湿布薬を体中に張っていたのです。

 で、これは的を射ていると思い、整体屋さんのユーチューブをあちこち漁って見始めました。『膝の水の抜き方』とか、『膝が痛くなる人の歩き方矯正』とか、なるほどと思って、やってみると確かに効く感じはします。でも一回二回では元に戻ります。で、コンピューターにそれ専用のファイルを作って、何個か収め、日替わりですることにしました。これで、朝ヨガのファイルと夜ヨガのファイル、整体のファイルと三つできて準備はOKです。あとはやるだけ。

 それとこの頃、気付いたのですが、湿布薬って炎症を抑えるものです。だとしたら、氷で冷やしても同じではないかと考えて、保冷剤を袋状のものに入れて足にまきつけました。これがとても気持ちがいいのです。夜はこれで十分です。なんでも市販薬がいいとは限りません。私たちもどこかで洗脳されているのです。基本に立ち返ると、違ったものが見えて来ると感じました。

 英国ミステリー噂話 バスカビル家の犬 

 もう何度も見ているからいいやと思ってしまいがちな、ジェレミー・ブレット主演の『シャーロック・ホームズの冒険』、確か『バスカビル家の犬』は面白かったなと思い出して、見てみたんです。

 そしたらなんと、前に見たのと全然違う。あれは一時間に編集された短縮版だったのかしらと、啞然としてしまいました。

 何が違うかというと、最初にバスカビル家の当主、チャールズが門の前で人待ち顔に立っていて、それから何かにおびえ、逃げて亡くなるところから始まるのです。確か、前は無かったような。

 その莫大な遺産を継ぐべくヘンリー・バスカビルがアメリカから戻ってきます。

 と、ここで、このヘンリー、ハンサムだし、このドラマは何回か見ているのですが、その他にもどこかで見たことがあるようなと気になって調べてしまいました。名前は、Kristoffer Tabori アメリカの俳優さんだそうです。で、英語版のウキペディアを見てみると、私の知っている作品では、『ジェシカおばさんの事件簿』に出ていたらしいのです。『ジェシカおばさんの事件簿』はほとんど全作品見ているので、覚えてはいないのですが、多分、どこかで見かけていたのでしょう。余計なことですが、両親とも俳優さんで、子役から活躍していたようです。

 で、話しを戻すと、チャールズは門の前で隣人の娘のローラという女性を待っていたようです。ローラは不幸な結婚をしてチャールズに助けを求め、また、ステープルトンという隣人と再婚したいという希望も持っていて、彼の言いなりになっていたようです。

 ステープルトンの妹ベリルが実はステープルトンの妻だったとわかって、すべてが解明されてしまうのですが、このローラを扱った部分も抜けていたような気がします。

 こうして、長編として全部見てみると、やっぱり面白さが違います。ほかの長編も面白そうなのは見直した方がよさそうです。

 本『愛を感じるとき』金賢姫 1992年文芸春秋社発行

 本の整理をしていると、ベストセラーになった本は世の中にたくさん余っているということに気づきます。つまり、そういう本はどの家にもあるということです。 我が家にもご多分に漏れずたくさんあります。そういう本は、我がネット古本屋に出すわけにもいかず、古い文庫本などと一緒に古紙収集に出すしかないのですが、その前に、私が読んでみようという気になりました。

 最初は週に一冊は読めるだろうと高をくくっていたのですが、何のなんのまだ三冊目です。これからは月に一冊を目標にしましょう。

 この本は夫の本ではなく、父の本です。父は意外と本好きで、遠距離通勤のサラリーマンだったせいもあり、結構残して逝き、どちらかというと理工系の弟は読まないので、私が何冊か貰ってきたのです。が、やっぱり積読状態でした。

 この本も、今となっては作者の名前を知っている人も少なくなって、それはむしろ作者の望む普通の状態を作っているのですが、あの当時はベストセラーでした。そして、父も買ったのです。

 彼女は北朝鮮の元工作員で1987年115名が亡くなった大韓航空機858便爆破事件を起こし、バーレーンで捕まる寸前に自殺を図ったが、死にきれず、口にガムテープを張られ、両手をつながれた状態で韓国の空港に降り立った姿が、日本のテレビでも大々的に報道されていました。世間音痴の私でもはっきりと記憶しているのですから、皆さん、衝撃を受けたはずです。             

 その後、死刑を宣告され、やがて赦免されるのですが、この本が出る前に

『いま、女として- 金賢姫全告白』池田菊敏訳 文藝春秋 1991年10月( のち文庫)が出ていて、すでにベストセラーとなり、多くの励ましが届いている様子が『愛を感じるとき』池田菊敏訳 文藝春秋 1992年12月( のち文庫)にも書かれています。

 これは事件から五年後の心の変化をエッセイ風につづったもので、30歳になった作者が北の家族を心配しながらも、結婚もして静かに普通の生活をしたいと願う気持ちが素直に語られています。

 その後、ボディーガードだった元国家安全企画部の部員の男性と結婚し、名前を変え、男児を出産し、ソウル市内で普通の主婦として暮らしているとウキペディアに書いてありました。『やっぱりな』という気がしました。これは彼への愛の告白と同時に、世間の人にも人並みに幸せになることを許してほしいというメッセージだったような気がします。彼も安定した公務員の職を捨てて、愛に殉じたのでしょう。

 『1998年 - 金大中政権が誕生。以降2期10年に渡って親北政権・太陽政策が続き、親北ムードに沸く韓国世論にも押され、逃亡に近い生活を余儀なくされる。』とウキペディアに書いてありましたが、親北政権の文さんの元でも、きっと苦労の連続なのだろうなと思いやられます。

 みんなが幸せならばそれだけでいいのに、なぜ、政治家は自分の主張を押し立てて波風を立てたがるのでしょう。

2021年5月17日月曜日

 英国ミステリー噂話 道 フェリーニ

 『粗野な旅芸人ザンパノに、たった1万リラで売り飛ばされた娘ジェルソミーナ。町や村への巡業を続ける二人だが、自分勝手で女癖の悪いザンパノに嫌気がさしたジェルソミーナは彼の元を離れてしまう。祭礼の夜、綱渡り芸人イル・マットの華麗な演技に魅了されるジェルソミーナ。しかし、イル・マットはザンパノと因縁を持つ男だった……。巨匠フェリーニの出世作にして、数多くの映画賞に輝く永遠の名作。フェリーニ最愛の妻ジュリエッタ・マシーナとアンソニー・クインの観る者を惹きつける演技、そして決して忘れることのできないニーノ・ロータのメロディ。今、最新の修復技術による素晴らしい映像と音声で甦る。

 キャスト 出演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート スタッフ 監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ 脚本・台詞:トゥリオ・ピネッリ 撮影監督:オテッロ・マルテッリ 編集:レオ・カトッツォ 音楽:ニーノ・ロータ 製作:ディーノ・デ・ラウレンティス、カルロ・ポンティ』

 これ、イタリア映画でした。でも、アンソニー・クインって英国俳優じゃなかったでしたっけ。

 さらに、物語って、最後に行きつくまでは「どうなってしまうのだろう」とはらはらドキドキ、ミステリーです。

 ギャオで映画やドラマを見るようになってから、テレビのミステリーチャンネルで見ていた時よりずっと多くの作品を見られます。でも、なかなか『これぞ』と思う作品を引き当てるのは時間がかかります。で、こういう紹介文を見て、『これは』と思った作品を見始めるのですが、それでもなかなか当たりません。この作品の監督、フェリーニさんは、他にももう2作出ていたので、有名なんだなと思いましたが、他のはなかなか見る気が起きませんでした。

 「『道』(1954年)では甘美なテーマ曲と物語の叙情性とヒューマニズムから世界的なヒット作となり、二年連続のヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞、並びに第28回アカデミー賞でアカデミー外国語映画賞を受賞し、フェリーニの国際的な名声が確立する』とウキペディアに出ていましたが、まさにイタリア映画と思わせる作品でいた。

 この作品でヒロインを演じた、奥さまのジュリエッタ・マシーナさんは1921年生まれと書いてありましたから、この作品のときは33歳ころ、『知的障害のある若い娘』という設定にはちょっと老けているかなと思ってみていましたが、それなりに演じ切っていました。知的障害のあるとはあとでウキペディアを見て知ったのですが、どこかチャップリンに似た動きをしていたので、何かあるとは思っていました。

 私は、ちょっと悲しい感じがして、昔見た水上勉の「離れごぜおりん」を思い出してしまいました。障がい者つながりで。

 さて、アンソニー・クインさんですが、アメリカの俳優さんだそうです。言葉は当然吹替でしょうね。1915年生まれですから、この作品の時は39歳ころ、フェリーニさんはジュリエッタさんより一つ年上の34歳ころ、皆さん、まさに脂の乗り切ったころの作品ということですね。

 付け加えると、ニーノ・ロータさんは、フェリーニさんのほとんどの作品で音楽監督を務めているみたいです。

 最後に出てくるカルロ・ポンティってどこかで聞いたことのある名前だと思っていたのですが、例のソフィア・ローレンと何とか結婚した映画プロデューサーのカルロ・ポンティさんらしいです。もう一人のディーノ・デ・ラウレンティスさんも『業界最高峰の人物で、生きる神話の一人とも呼ばれた』そうです。まさにイタリア映画の黄金期ですね。いつか、他のも見てみようかと思います。

 自然農法の反省

 今から一年ほど前、『イタリアの小さな村』というテレビ番組を見て、なるほどと驚いてやってみようと思ったのがこの自然農法でした。

 幸か不幸か忙しくて草取りに費やす時間がなく、植木鉢にびっしり生えた雑草を見ながら、「自然農法だと、この雑草が冬の間の霜よけになり、深く張った根っこは酸素を地中に運んでくれるらしい」と、むしろ頼りにしていたのです。

 ところが、いざ春になって、そろそろ小葱も食べられるという時期なのに、小葱が本当に細いのです。秋の終わりには肥料もちゃんとやって、時々は水もかけていましたので、ちょっとがっかりでした。

 でも、分かるんですよ。雑草だって必死ですから、特に植木鉢だと、水と肥料の争奪戦だと思います。いざ雑草を除けてみると、植木鉢の土の表面に必死に根を張って広がっていました。植木鉢だと、水と肥料は上から来るのです。

 で、反省して、痛い足を引きずりながら、植木鉢をひっくり返して、草をはずし、新しい土を入れて小ねぎを植え替えています。

 来年は冬でも小さい雑草でも、除いて、小葱に栄養をつけさせようと思います。自然農法は植木鉢ではダメみたいです。

 本『「耕す文化」の時代』木村尚三郎 昭和63年(1988)ダイヤモンド社発行

 『いま、文化としての『農』を議論すべきとき。技術文明が成熟した今日「ハイテク」は私たちに新たな驚きや感動を与えてはくれない。真に楽しく、真に創造的で、真に驚きと夢を与えてくれるのは「新しい農業」だ。新たなルネサンスの道がここにある。』帯に書いてある文です。

 この方は、一時代をけん引した評論家です。なので、この本を買ったのは夫です。

 読んでみると大学の先生らしく、たくさんの知識と経験がちりばめられていて、焦点が見えづらいきらいがあります。なので、最初のころは何を言いたいのかなという感じでした。一般にこういう本はストーリー性がないので、内容を把握しづらい気がします。

 やっと中盤になって、私にも分かるような、日本人は農耕民族だから、座してゆっくりと作物の成長を見ながら待っているのが得意、欧米人は狩猟民族だから、五感を使って動き回って獲物を確保するのが得意というのが出てきました。だから、欧米人は次々と技術を開拓しているということのようです。

 次に分かったことは、五感の時代ということです。つまり、高度成長の時代はみんなが脇目も振らずにに働いた。働けば働くほど豊かになり、充実感があって、文句の出ようがなかった。やがて低成長になると、(この本が出版されたのが昭和63年ですから、バブルの前の低成長でしょうか)人びとは働いても十分な見返りがなく、批判する心と、暮らしのハイテク化で時間の余裕が生まれてくる。そうして人々は五感を使って、インワールドルッキングをし始めるというわけです。

 今、低成長の真っただ中にいる私たちにもうなずける話です。特に今はコンピューターを使う人ならだれでも批評家になれる時代ですから、一人一人が五感を使って考えられる時代になり、自分は何者かを考え始める時代になったということでしょうか。そうして、昔の価値、生きるとは何かを再発見する、これがセカンドルネッサンスの時代というわけです。

 で、ここまでで終わってもいいのですが、溢れる知識と経験を持つ筆者は、文化(カルチャー)と文明(シビリゼーション)を論じ、地方独特の文化を大事に考えているといいます。例に挙げるのがヨーロッパ、農業国のイタリア、フランス、工業国のドイツ、イギリス。この二分類は宗教でもカトリックとプロテスタントという違いがあります。更にお酒の好みでも、ワインとビールという違いがあると言います。

 つまり、農業国のフランスやイタリアでは食べ物がおいしい。料理はゆっくりとワインを飲みながら、家族と楽しむ。比べて工業国のイギリスやドイツでは醒めやすいビールを飲む、昼に飲んでも午後また仕事ができるからだそうです。

 けれども、低成長の時代になって、働いても実りが得難い時代になると、本当は自分は何がしたいのだろうと考え始める。そして、著者は五感を使って楽しめるのは農業だと提案しているのです。

 著者の溢れるほどのたくさんの知識をいちいち『なるほど』とうなずいていると、なかなか論点がまとまりませんが、これも一つの自学学習でした。

2021年4月25日日曜日

 英国ミステリー噂話 イミテーションゲーム エニグマ ベネディクト・カンバーバッチ

 これもミステリーではなく英国映画でもないのですが、英国の実話だそうです。

 『第二次世界大戦時、ドイツ軍が誇った世界最強の暗号<エニグマ>。世界の運命は、解読不可能と言われた暗号に挑んだ、一人の天才数学者アラン・チューリングに託された。英国政府が50年以上隠し続けた、一人の天才の真実の物語。時代に翻弄された男の秘密と数奇な人生とは――!?』

 これを見て、見ないわけにはいかなくなりましたが、長い人生を生きてきたものには一つ一つがうなずける真実だと思いました。ネタばれになってはいけないので、これ以上は書きませんが、他の人の評価コメントも5満点で4・9。ほとんど満点です。

 主演は英国俳優ベネディクト・カンバーバッチ。たくさんの作品に出ていますが、私は、あまり好きではなく、ほとんど見ていません。ただ一つ見たのは、ジュリア・マッケンジーがミス・マープルを演じた「殺人は容易だ」での、青年役だったと思います。顔は長いし、背は高いし、ちっともハンサムには見えなかったのです。その後、「シャーロック」などに主演して、有名になりましたが、一度も見たことはありませんでした。

 今回、カンバーバッチさんのウキペディアを見てみると、両親とも俳優さんだそうです。才能もあったのでしょう。ご先祖は政治家、軍人、王様にまで関係しているようです。

 この作品に関しては『2014年、米『タイム』誌が選ぶ「2014年俳優による演技トップ10」で、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』が第1位に選ばれた』とありました。この作品で、主人公のアラン・チューリングは40代半ばで死ぬのですが、演じた方は37歳くらいだった計算になります。だいたい同じ年代の役だったわけです。

 見ようかなと思った作品もあったんですよ。カンバーバッチさんのリストには載っていませんでしたが、オーストラリアに移住する貴族の話だったような気がします。

 この出演作品リストを見ると、多岐にわたって活躍している、才能のある役者さんだなと思えます。ちょっと私には頭の追いつかない役者さんのような気がします。

2021年4月24日土曜日

 ナバリヌイ氏

 ナバリヌイ氏の刑務所でのハンガーストライキの話しがニュースになっています。手足がマヒする、体調不良で医師の診断を求めていたのだそうです。

 『どうしてロシアにもどったんだろう』とみんながコメントしています。毒殺されかけたのですから、今回も食事に何か仕込まれていたのではないかと思うのは私一人ではないと思います。本人も気づいてのハンガーストライキだったのではないかと。

 それに対する抗議デモがロシア全土で起こっているみたいです。

 著名人の抗議署名もあったそうで、あのJ・K・ローリングさんも署名しているみたいです。

 私としては、悪を倒す柔道黒帯のプーチンさんがこれほど悪だとは思いませんでしたが、まさにハリーポッターの世界が現れてくるようです。自分を終身大統領にし、反対者はノビチョクという毒薬で抹殺する。この毒薬、ロシアが敵対者に使うので有名になってしまいました。これが使われれば、ロシア政府の犯罪とゆうことです。

 プーチンさんの奥さんが早々に離婚したのは、やっぱり見抜いていたのでしょうね。隣にいて止めてほしかったなと思いますが、そんなことをしたら、奥さんだって殺されかねなかったでしょう。

 どなたかのコメントにあるように、ロシアと中国という大国は、昔から王が必要だったのでしょう。それが、共産主義という手段を得て、同じように発展してしまった。果たして、また革命がおこるのでしょうか。

 でも、現代は昔と違って、武器が強力になってしまいましたから、よっぽど平和的にやらないと地球が吹っ飛ぶでしょうね。まさに武力は抑止力です。私たちには魔法はないのですから。

 中国製の服

 今、衣類はほとんどが中国製です。イタリアのファッションブランドでもそうだったから、中国との交流が多く、コロナが突然イタリアで拡散したと言われています。

 この間、テレビかネットかで見ていたら、北朝鮮にも中国の工場があるということでした。そこである段階まで作って、中国側の会社に渡し、タグをつけて輸出するのだそうです。その北朝鮮の工場で働く人たちは家にも帰れず、奴隷のような生活を強いられているということでした。

 これって、有名なウイグル綿の話しと同じですよね。細かいことはよくわかりませんが、批判をしたℍ&Мというファッションブランドが中国で不買運動にあっているという話でした。私も中国製以外の衣類を探したのですが、やっぱり安い中国製に手が行ってしまいます。私はなるべくリフォームをして抵抗しましょう。

 こういう人権問題、本当になくなればいいと思います。みんなが楽しく働ける社会であってほしいと思います。

 こういう労働の仕方は日本でも、明治期発展の過程で、または貧しい時代にはどこでも起こったことだと思います。貧しいということは罪だと思います。でも、豊かになったら、心も豊かになってほしいですし、なりたいものだと思います。

 我が家の血圧計

 毎朝、血圧を測るのですが、だいたい180-80です。弟が「間が大きいのは血管が柔軟だからだ」と言っていたので、『血管が柔らかいんだ。下が低いから大丈夫だろう』と思っていました。『あとは痩せれば低くなる』と。

 けれども、今回の疲労困憊ひざ痛では、『血圧が高くって血管が傷ついたのかしら』と思ったりもしました。

 ある日、娘たちが来た時、頭が痛いと言っていた娘が計ったら、「180ある」とびっくりして叫びました。いつも120くらいだという娘婿が計ったら150。で、「これ壊れてるんじゃない」という話になりました。

 翌日、娘の家に行ったので、計ってみたら、160くらいでした。どうやら、家の血圧計は上が20から30くらい高く出るのではないかという結論に達しました。

 そう言われてみればです。夫の生前の血圧も測って記録していたのですが、いつも高く出て、お医者さんで測る血圧と大差がありました。で、我が家の血圧計を信頼していた私は、お医者さんにご注進したことがあり、今となっては赤っ恥です。実は『こういう性格だからお医者さんには行けない』と思う事情もあるんです。

 で、その差を計算すれば、私の毎朝の血圧は150-80くらいになり、『ちょっとたかい』という範囲になるはずです。

 『血圧計、買い替えなくっちゃ』と当然思いました。

 でもです。『もし買い替えたやつが、またちょっと能天気なやつだったらどうしよう』と思いました。確かめて買えるわけでもなく、店頭に並んだやつを買ってくるわけですから、家に帰って開けてみて、計ってみて、どうしてそれが正確だと言えるでしょう。

 『今のでいいや』とすぐに思いました。ちょっと上が高く出るだけで、充分に作動はするのです。上の血圧を20-30低く見ればいいわけです。

 こういう計器類って、時々点検が必要ですね。点検の話は聞いたこともないし、「買い替えなさい」と言われるのが落ちだろうと思うので、行動には起こしませんが、あまり信頼しすぎるのも危険のような気がしました。

 山―足が痛い

 今思ってみると、夫の死って、結構大変でした。

 最初のころはコロナ下での弔い。世間一般と同じようにできなかったのは、私には幸いでしたが、皆さん善男善女ですから、どうしても気持ちが収まらない義理固さがあって、いろいろ送ってくださいました。その都度お返しを探して送って、二、三か月。その間、書類的な後始末と並行して、喪失感など感じないほど忙殺されていました。

 やっと終わったと思って次の段階に入りましたが、それが、『断捨離』でした。夫は歴史家でコレクターだったのでそれこそ大変な話は何度もしましたが、ごみ出しの日になると、大きなごみ袋を何個も、ごみ置き場にカートに乗せて持って行きました。二、三回になることもありましたし、時には車に積み込んで持って行かなければならないこともありました。

 捨てると場所が空くので、掃除をして、今度は出しっぱなしのモノの移動です。重いので、外のカートを家の中に持ち込んで引っ張っていき、棚やロッカーに収めました。大きな棚の上の方には脚立を使いました。そこで、多分足腰に負担がかかっていたのでしょうが、その時は夢中であまり感じませんで、5年もヨガを続けてきた体力があると、自画自賛していました。

 もうここは倉庫にして、引っ越しまで考えていたのに、本当に愛すべき我が家になった話はしましたが、その頃、まだ体力に自信のあった私は、コロナでどこへも行けない孫たちに、山に行こうと提案しました。私は田舎育ちですから、山には慣れていたのです。で、十二月ごろから週に一、二回、近くの楽しい山登りが始まりました。

 そのあと、二月ころに、ネズミの姿を発見したのです。昔にも二回ほど発見して、粘着式のネズミ捕りで捕まえた経験があったので、仕掛けて待っていたのですが、このネズミ、時間が経つうちにどんどん太って行って、一度かかった形跡はあるのですが、そのあとは一切引っ掛かりません。ネズミ捕りの枚数を増やしても同じです。ある時、古い冷房機の横から出入りしているのを目撃して、脚立を持ってきて、乗って隙間をふさぎました。そしたら、今度は上の隙間から出てくるので、網戸の網でカバーをしました。そしたら今度はその網を破って穴をあけて出てくるのです。今度は金網を買ってきて、また脚立に乗って金網をねじ止めしました。

 このころから足が痛いと気付きはじめました。一度、脚立から一段足を踏み外したことがあって、そのせいかなと思いもしました。それでも山には杖をつけば行くことができました。いよいよダメだと思ったのは長く歩くと、翌日痛くて歩けなくなったこと、脚立に乗ると翌日痛くて歩けなくなること、孫たちに付き合って一日出かけたときに、後半はほとんど歩けなかったこと。

 中国だか韓国だかで、配送員の過労死が報告されていましたが、これかなと思いました。配達しているとき、働いているときは疲労にさほど気が付かないのです。ある日突然来るのでしょう。

 私の場合、休むことにしました。休んだら、あちこち体中が痛むことに気が付きました。前太もも、大腿四頭筋というらしいです。膝、カクカクして力を入れると痛いのです。ぷっくりしていて張るので、水が溜まっているかもしれません。膝の裏。腿の裏の凝り。背中、特に左肩から上腕にかけての張り、心臓かな、動かすと痛いのです。休むとよくなってくるのですが、安心してちょっとでも動き回るとまた痛くなります。後になって分かったのですが、股関節と背中に粒状の内出血がありました。

 で、周りに言うとお医者に行けと言われるので、「ちょっと休みにするわ」と言って、湿布薬をしこたま買い込み、毎日マッサージ機にかかり、お風呂でマッサージをし、疲れたら横になります。オートファジーの食事法も取り入れ、水分もできるだけ1500㏄くらいまでにして、あとは実行あるのみです。また山に行けるようになるまで。

 本『葬式は要らない』島田裕巳著

 以前にも書いた、夫が生前読んでいたという本です。夫は得度して仏具一式を大事そうにしまい込んでいた人でした。まさか、ベストセラーとはいえ買って読んでいるとは思いもしませんでした。

 夫の家は古い家で、お墓も広く、そのうえ夫は四人兄弟の末っ子でしたから、お姑さんは四人男の子みんなにお墓を大事に守っていくようにと教えたのです。ところが、家と長兄のところは女の子が二人ずつ。嫁に行ったらそれまでです。それに加えて、姑さんと反りの合わなかった私は、子供たちの負担にならないようにと、まさに『お墓は要らない』と散骨を主張し始めていました。

 そういうわけで、亡くなった姑の遺産も、男の子のいる家だけで主に分け、私たちは肩の荷を下ろしていたのです。その頃から夫も少しずつ『無用論』に傾いて行ったのかもしれません。

 著者の島田裕巳氏は1953年生まれ、私よりちょっと若い年代の宗教学者だそうです。学者さんですから、内容には葬式の歴史的なことから、心理的なこと、未来の展望まで、いろいろなことが網羅されていて、納得すると同時に安心も与えてもらえます。

 そういうわけで、私の『お墓、葬式無用論』は理論と安心を与えられた感じがしました。最後の『お骨をどうするか』は、今は、将来私の骨と一緒に海に散骨と思っていますが、家墓という言葉もあるようです。ちょっとまだどういうことかはっきりとは分かりませんが、これから考えていく下地にはなった感じがします。

2021年4月8日木曜日

 英国ミステリー噂話 ストーリー展開

 『ハッピーヴァリー』も、最近見た『警視バンクロフト』も三話でストーリーが完結するみたいです。

 昔見ていたシェトランド諸島を舞台にした、アン・クリーブスによる警察小説シリーズも三話くらいの1シーズンを見ないと犯人が分からなくって、毎回更新されるまでイライラしてみていましたが、これって良し悪しですよね。次のシーズンに入った時、「どうせ初回は、人物紹介と説明で終わっちゃうんだろうな」と思うと、とっかかりの興味がうせてしまう時もありました。

 かといって、バーナビー警部や、ポアロ、シャーロックホームズのように一話完結だと、よっぽど魅力ある人物や設定でないと、やはり長続きしません。

 メジャークライムズは複数の個性ある人物の魅力で、いろんな角度から人間観察ができますので、飽きずの見続けられますが、これはそれだけではないとこの頃気が付きました。登場人物の物語が、数話にわたって続くのです。例えば、シャロンの離婚問題、ラスティの薬中の母親、養子問題、などなど。私はシーズン2の途中から見始めたのですが、シーズン2は重大犯罪課によるラスティの証人保護から、それを狙う殺人者、そしていよいよ最後はラスティが証言台に立って、殺人者を有罪にするという大きなストーリーと、その途中に起こる一話完結の事件解決のストーリーが巧妙に組み合わさるのです。

 これだと犯人も捕まるし、次の展開への興味も残って、次も見なければならなくなります。このストーリー展開のやり方を、日本の『警視庁何でも相談室、ゼロ係』が取り入れているなと思いました。一話完結の犯人の他に、シーズンを通しての犯人がいるのです。

 メジャークライムズはアメリカワーナーブラザーズの作品のようですが、さすがにハリウッドの脚本力は違うなと思うのはその二つのストーリーの展開がいかにも自然で、重大犯罪と人それぞれの個性や苦労、生き方などが描き出されています。

 以前にもこういうミステリーはありましたが、これはなかなか難しい脚本だと思います。どちらかのストーリーが魅力のないものだったり、印象が強すぎたりすると、両方とも陳腐になってしまって、見なくなってしまいます。バランスが非常に難しいと思います。

 古いですが、フロスト警部はその成功例かもしれません。一話完結のストーリーの他にフロストの人生のストーリーがありました。愛情の冷めていた妻の死、恋人、住まい、毎回違う相棒の人生、最後はついに伴侶を得て幸せになるのです。

 そういえば、ニュートリックスも一話完結のストーリーの他に四人の個性的な親父たちの人生のストーリーがありました。これは好みの問題かもしれませんが、私は、こういうミステリーが好きなのです。

2021年4月7日水曜日

 金持ちはますます金持ちに、貧乏人はますます貧乏に

 これがコロナ後の世界だったようです。

 ずっとコロナ後の世界ってどんなだろうなと考えていたのです。

 我が家のように儀礼的なことは全部止めて、人間関係も整理して、すごくシンプルな世界になるだろうなと思っていたのですが、私がそんなことを考えている間にシンプルにお金を稼ぐ方法を考えていた人たちもいたんですね。負けました。

 今更、どうやったらお金が稼げるのか考えても遅いですよね。株は最高値で、あとは下がるだけ。仕事はない。でも、いったいどうやったらお金が稼げるのでしょう。私には節約くらいしか思いつかないのですが。

 ワクチン接種に思うこと

 我々高齢者は四月中旬から打ち始めるようです。

 『でもね』と思うのです。春になって温かくなったせいか、体調良くないですよね。いわゆる季節の変わり目です。更には、『私って、無症状感染したんじゃないかな、つまり抗体がすでにあるんじゃないかな』という不安があるんです。『そうだったら、危険を冒してワクチン接種しなくてもいいんじゃない』と思いませんか。

 あちこちでこれだけ症状の出る感染者が増えているのは、無症状感染者があちこちに出没しているせいですよね。

 『どうして抗体検査をしてからワクチン接種してくれないんだろうな』と思いませんか。この抗体検査、自分で申し込むと一万円かかるらしいです。

 この間、私のところに市から手紙が届いて、「一万円かかる検診を無料でしてやるのだから受けなさい」と書いてありました。私はその時は体調がよかったし、どうせ「血圧が高い、少し動脈硬化があります」と言われるのが分かっていたので、痛い注射を受けるくらいなら、『一万円寄付』と思っていたのですが、同じ血液を採るなら、『この抗体検査の一万円を出してもらいたいな』と思います。

 高須院長は、「接種機会を若い人に譲りたい」と言っていましたが、私は『私が感染してアレルギー体質の家族に移してしまっても困るので、私は黙って受けるしかないのかな』とも思います。

 周りに感染者がいないということは、私も感染経験はないということだろうとは思いますが、それでも注射いやですよね。

2021年4月1日木曜日

 自分の終活も一緒に

 夫の荷物の片づけをしていると、自分にも捨てられないでとってあるものがいっぱいあることに気づかされます。

 例えば辞書。今はコンピューターで調べられるので、辞書は必要ありません。専攻が英文学なので、それこそいっぱいありますが、今は誰も使いません。

 ごく一般的な辞書は捨てましたが、思い入れの深いものはなかなか捨てられません。特に、「親が買ってくれたのに」とか、「外国でわざわざ買ってきたのに」とか思うと、ますます捨てられないのです。

 これでは夫の大荷物を笑うことはできません。

 夫は末っ子の甘えん坊だったから、断捨離のような身をきるような仕事はもともとしなかったのです。自分ではできなかったろうなと捨てながら思います。 

 私たちの友人のやはり、捨てられないある人は、「死んだら家ごとつぶして捨ててくれ」と息子に言ってあると言っていました。

 でも私は、少しずつ身を切るように自分で捨てていこうと思います。一日一か所、整理整頓をして、いらないものをより分けて捨てていけば、きっと荷物を減らすことができると思います。

 そういえば、昔、まだ若いころに読んだ、吉沢久子さんの老い支度の本に、自分で写真も捨てると書いてあったときに、違和感を感じましたが、今はわかります。



2021年3月25日木曜日

 英国ミステリー噂話 メジャークライムズ ロス市警重大犯罪課

 これは英国ミステリーではありません。アメリカのテレビドラマです。以前『クローザー』というドラマをたまに見ていたのですが、その続編という触れ込みです。そのチーフをシャロン・レイダーという女性警部が引き継ぎ、『メジャークライム』となったのです。

 私はあまりきちんとしていないクローザーのブレンダよりも、メジャークライムのシャロンのほうが人間らしくて好きで、それで見るようになったのですが、周りのプリベンザ警部補とかフリオ・サンチェスとか、マイク・タオとか、顔見知りの人間味のある捜査員たちがそのまま残っているのも懐かしくって、シーズン2あたりから毎週更新されるのを楽しみに見始めました。

 残念なことに、その役者さんがどうのこうのと調べるほどの気力はないのですが、例えば二度くらい結婚して離婚して今は一人で住んでいるらしいプリベンザ警部補が不幸な生い立ちのラスティにかける温かい言葉や教訓は心がこもっていて、以前よりも大好きになりました。あとは熱血漢のフリオ・サンチェス、冷静なマイク・タオ、みんなハンサムではありませんが、個性的でなり切っているのです。ちなみにハンサムな刑事も出てくるのですが、彼らの名前はほとんど覚えません。

 以前、『役者さんは演技力がついてきたころには老年になってしまっている』と書いたことがありましたが、今もその思いは変わりません。若くて美形で演技力がある人なんてなかなか見当たりません。要は個性があって、その人の人生が出ているような演技ができるのが一番いいのでしょう。

2021年3月20日土曜日

 英国ミステリー噂話 ハッピーヴァリー復讐の町

 英国らしい寒く落ち着いた街に、パトカーのサイレンが響くという設定でつかみはオーケーという引き込まれようです。内容を言うと怒られそうですが、『英国のアカデミー賞”BAFTA Awards最優秀ドラマ・シリーズほか9部門受賞』と銘打たれた有名なドラマのようで、概要はどの記事にも出ています。

 私は、サラ・ランカシャーという女優さんは初めて見ましたが、この方も有名なようで、大英帝国勲章も授与されているみたいです。私の好きだった『ラークライズ』というドラマでナレーターをしていたみたいです。 日本語でWikipediaに乗っています。機械訳みたいで大まかなことしかわかりませんが。この方は体も大きく、運動神経もよさそうで、警官役にはうってつけみたいです。

 見ていて、「あれ、見たことがある、誰だっけ」と思ったのが、極悪人トミーを演じるジェームズ・ノートンです。やっと思い出したのは、『牧師探偵シドニー・チェンバース』を演じた彼です。彼は優秀な役者さんのようで、他に『戦争と平和』に出ていましたが、私はあまり好きではなくってほとんど番宣しか見ていませんでした。でも、このトミー役は、彼の非凡さを裏付けています。

 もう一人、見たことがあると思ったのですが、どこでか思い出せない女優さんは、妹役を演じるシヴォーン・フィネランさん。調べてみると『ダウントン・ アビー』のシーズン2までレギュラーだった侍女のオブライエンさんでした。ひっつめ髪のオブライエンさんからは想像もできない役でした。

 最後に製作総指揮:サリー・ウェインライトさんについて調べました。どこかで聞いたことがある名前だと思ったからです。でも、作品は見ていなさそうでした。彼女も大英帝国勲章を貰っているみたいです。

2021年3月11日木曜日

 コロナワクチン接種の影で

 ある日、ネットサーフィンをしていた時、派遣切りや雇止めが多くなって、いつもの炊き出しに4倍の人が並んでいるというニュースが出てきました。

 はるな愛さんが子供たちにたくさん食べさせてやりたいと言っているというニュースや、ひとり親家庭で、収入が減って充分食べられないニュース。

 こんなに不景気で、みんな苦しんでいるのに、どうして株は上がるんだろうと考えるのは、経済音痴の私だけでしょうか。

 知り合いでも、シングルマザーが仕事を探さなくっちゃと言い、家の娘も仕事が減った、時給が下がったと嘆いています。私は、こういう時はちょっと落ち着いて、今までできなかったことをしなさいなと、慰めにもならないアドバイスをしていますが、私だって、年金がなかったらどんなに節約しても追いつかないだろうなと思います。

 加えて、私のような対人恐怖症のような人、それとは見えなくて、優秀な大学を出ていても、人と協調できなくって仕事が続かない人、いわゆる落ちこぼれの人たちの貧困。その記事には『現代社会において「ちょっと変わった人」の居場所は確実に減った』と.書いてありました。現代社会においては誰もが同じ方を向いて走っているように感じます。ちょっとゆっくり歩きたい人、きょろきょろしたい人は置いて行かれてしまう。そして派遣社員、派遣切りの階層から抜け出せなくなってしまうのです。

 この非正規雇用の仕組みは何度も改正されたようですが、小泉政権時代の知恵袋竹中平蔵氏の改正が今でも恨まれているようです。

 これは企業にとってのセイフティネットで、これがないと企業は浮き沈みに耐えられず、世界の競争から置いて行かれてしまうということでした。確かに私が行った時、アメリカでは正規採用なんてないように見えました。

 昔、ソルトレークシティに行ったとき、モルモン教徒は収入の一割を教会に寄付するという話しを聞いて、それが宗教活動だけでなく、慈善にも使われているのだろうなと思いました。私も国民健康保険料は寄付しているつもりで、自分の健康は自分で守っています。これではだめでしょうか。

 もう一つ思い出したのはシベリアに抑留された人の話です。仲間同士で飢えないために、誰か一人が食料を手に入れたなら、それを少しずつみんなで分けて食べていたと書いてありました。

 こんな時に、日本に一つしかないものを買ったとか、株高で資産が増えたとかいう記事、イギリス王室のごたごた等を見ると、何をやっているんだろうなと思ってしまいます。


2021年3月8日月曜日

 自分ファースト

 これは、夫が亡くなったと知らせたとき、アメリカの友人がくれた言葉です。「これからは自分ファーストで生きるのよ」という意味でした。彼女は私より年長で、先に長年介護したご主人を亡くされているため、そのようなアドバイスができたのだと思いますが、私はありがたい言葉だと思いました。あと何年命があるかわからない、悲しんでいる暇はないのです。

 その言葉を頼りに、私は夫の荷物を整理し、捨てて、家を自分の暮らしやすい空間に変えています。倉庫と化していた我が家は、そのまま倉庫にして、他に住むところを探そうかしらと以前、亡き夫とも話していたのですが、今は大分快適な私の住まいの空間になって、引っ越そうという気持ちも無くなりつつあります。古くって時々ネズミやヤモリやハクビシンの訪問に会うのはご愛敬ですが。

 それでも、まだまだ、捨てて、場所を空けるべきところはたくさんあります。ずっとどうしようと悩んでいたのですが、今、全30巻近くある百科事典を少しずつゴミに出しています。これまでの重いゴミの処分で、このごろ、足腰が痛くなって一度にはできなくなってしまったのですが、これはもう使わないし、置いておいても仕方がないと、処分を決めました。

 夫はインターネットをしなかったので、百科事典ほ必需品でしたが、今は誰も使いません。一時は老人ホームにあげれば、使ってくれる人もいるかな、コロナが明けたら聞いてみようかなと思ってもみたのですが、高い入居料をとって、競い合っている介護施設が、そんな使い古しを使うとも思えなくなって、ついに捨て始めました。

 もう一つ、半身不随で芸術活動のできなくなった夫の父が、楽しんで見ていた原色日本の美術、これも30巻近くがあるのですが、これも次に捨てていこうと思います。

 こうして、自分ファーストで自分の場所を確保していくのですが、思い出とともにあるものはある程度心を鬼にしないと捨てられないですね。


2021年2月23日火曜日

 気の迷い、気のせい

 私は自分では大変合理的な性格だと思っているのですが、時々霊的なものを信じてしまいます。それは決して宗教ではないと自分に言い聞かせているのですが、一種空想力のようなものです。考えてみれば、聖書だって、極楽浄土だって、人を幸せにするための大きな空想の世界ですよね。

 今回夫の死に際しては、年に一度くらい、自分で作った農作物を届けてくださる夫の友人が、亡くなったその日にウリを持って訪ねてきてくれ、死に顔を見てくれたことを奇跡のように感じましたし、死装束の法衣を着せてもらい、ご近所の方々にお別れをしてもらっているとき、遠くで雷が鳴っていたときも『お母さんが迎えに来たんだ』と即座に思いました。

 一番大きかったのは、夫の座右に、相田みつをの格言集がありまして、いつもは『かげぐちをいわれることを知りながら ほめられればすぐのぼせるわたし みつを』というのが飾ってあったのです。それが、病院から連れて帰って、ふと見たら、いつの間にか『アノネ がんばんなくてもいいからさ 具体的にうごくことだね みつを』というのに代っていました。これから、自分の思い通りの見送り方をしようとしている私への夫の言葉かけのようで、奮起しました。

 こういう経験は、前にもありました。夫の母が亡くなった時、家に帰って休んでいた私が、目覚めて時計を見ると止まっていました。さらにもう一つの時計も止まっていました。それから「亡くなった」と電話があったのですが、その時も「お姑さんがお別れに来たんだ」と思いました。

 自分の両親の時は、しっかり者の弟任せで、対人恐怖症気味の姉は、『お葬式っていやね』ということ以外何も感じませんでしたが、これは、もしかしたら、「スプーン曲げなんて簡単よ」と豪語していた姑の霊感なのかもしれません。

 これを『気の迷い』というのかしらと辞書で調べてみたのですが、『気の迷い』という言葉は見当たらず、『気のせい』というのがありました。娘に言われそうな言葉です。「気のせいよ」と。でも『気の迷い』でも『気のせい』でも、自分に都合の良い空想で、悪意も感じず、かえって勇気づけられる、いい感覚なのではないかと気に入っています。

 そういえば、あの「葬式はいらない」という本を発見した時も『これは』と思いました。

2021年2月16日火曜日

 本『父』ファミリーヒストリー

 書棚の整理をしていると、いろんなものが出てきますが、B5番の用紙にワープロで打って印刷したような黄ばんだ冊子が出てきました。表題が『父』と書いてあるだけの簡素なつくりで、夫の字で、民家調査をしたお宅でいただいた旨のメモが書いてありました。

 それは安政四年生まれの父を、明治三十五年生まれの四男が追想して、いとこ会で配ったもののようです。関係する人々の住所まで書いてある私的な文章は今では個人情報の暴露ということで、訴えられそうな代物ですが、せっかく書かれたのにそのまま捨ててしまうのは書かれた人の意に反するだろうと思い、読んでしまいました。

 それは本当にNHKのファミリーヒストリーと同じです。お父さんのお父さんが亡くなると、長兄が放蕩をして財産を使い果たし、一家離散になってしまった。七人くらいの兄弟の下から二番目だったお父さんは十歳ころ、長兄に連れられて江戸に出て、浅草、新吉原あたりで芸妓をしていた義姉のはこやになった。やがて、近くに住む医師の家に引き取られて、慶応三年から十年間を厳しく温かく、多分奉公人としてだと思うが、学問もさせてもらって生き抜いたようだった。

 それから、徴兵制で明治十年には入隊し、読み書きができたので、書記になったこと、代人料を貰って、他人に成りすまして再度入隊してくるもの、読み書きができないので、手紙の代筆を頼みに来るものなど、お父さんは兵隊経験を子供たちに語り聞かせていたという。

 やがて、除隊しても帰る家のないお父さんはその頃、開拓の夢の大地ともいわれていた北海道に行くが、成功することもなく帰ってきて、コバ葺きのにわか職人になる。それから、コバ葺きの請負をするようになり、見込まれて、十三代を数える地元の名家の婿養子になる。しかし、その家は家業の搾油業の拡大に失敗して、十三代目が失踪、その娘がお父さんを婿に貰って十四代目として跡をとったようだった。

 お父さんとお母さんはコバ葺きの仕事をし、精米屋もし、やがて本格的に農業に移行して家を盛り返していく。そして、一女四男が生まれて育つわけであるが、子供たちも仕事を手伝い、それぞれに助け合いながら、自分の道を見つけていく。

 教職を定年退職したこの四男さんが語るには、優しく、穏やかで、多くの経験を語って聞かせるお父さんであり、厳しく、全権を握っているようなお母さんだったようだ。

 お父さんが亡くなったのは昭和二年。戦後生まれの私などの想像もできない時代の話なのである。

 このほかにも、近しい人たちの話が出ているが、中でも失踪した十三代目の話が面白い。つまり、お母さんの父親である。事業に失敗して妻子を置いて出て行って、死のうとして海の近くまで行ったら、そこで荷揚げの仕事をしていた親方に拾われて、しばらく人足として働いていたら、軍港ができた横須賀が沸き返っていると聞いて、そこに向かい、死に物狂いで働いて、民宿を持ち、成功して、著者の長姉がその養子になったという話は、まさに明治大正ならではの成功譚であるように思えた。

 しかし、残念ながら、この冊子はこれで捨てなければなりません。


2021年2月9日火曜日

 英国ミステリー噂話 ポルダーク

  夫の死後、遺族年金のからくりにびっくりするのは、それまで安穏と気にも留めずに暮らしてきたせいなのでしょうか。

 父が亡くなった時の母のと同じだろうとつまり、四分の三だろうとばかり思っていたのです。ところがその間、改正が何度かあったようで、夫の基礎年金は対象にならない。妻の厚生年金部分と夫の厚生年金部分を比べて多いほうを、というのは昔も聞いたような気がしますが、その夫の遺族厚生年金部分から『支給停止額』というのが引かれていてびっくりしましたが、これが妻の厚生年金部分を停止にした額のようです。さらに物価スライド制も無くなったようです。

 こういう計算、機械でもできるでしょうに、それこそ何か月もかかって、ちびりちびりとやっと決定が出てきたときは、もうあきらめの境地になっていました。そういう作戦なんでしょうかね。

 いっそ機械に任せて、人員を削減したらどうでしょうと提案したくなりました。

 で、ここまでは表題と関係ない話なのですが、こちらも対応策を取らなければやっていけないと感じて、身の回りで削減できるものはないかと考えたのです。

 一つだけ、いらないものを思いつきました。それはテレビです。夫は情報源をテレビに頼っていましたし、相撲も楽しみに見ていたのですが、私はインターネット中心になっていて、ニュースも野球もネット画面で見ることが多くなっていました。そうしたら「英国ミステリーはどうするか」という問題だけです。

 ほとんどテレビを見ない娘の、「ネットでもドラマも映画も見られるよ」という言葉を信じて、ケーブルテレビ会社との契約を解除しました。もちろんNHKとの契約も解除です。電話も一緒になっていたのですが、電話とインターネットは娘の回線を使うことにして解除。もともと二回線入っていたのです。これで一つだけ節約しました。

 そうして、ネットで最初に見たのがこの『ポルダーク』でした。これは昔つくられた物のリメイク版だそうで、とても有名なコスチュームプレイと書いてありましたが、いわゆる時代劇ですね。昔、ケーブルテレビのオンデマンド放送を検索していた時に、この写真を見た覚えがあったのですが、その時は恋愛もの、歴史もののカテゴリーに入っていたので見なかったのです。でも、人生ドラマというのはとてもミステリアスで、探偵もの、刑事ものではありませんが、サスペンスの要素たっぷりです。

 主演はエイデン・ターナー、私は初めて見ましたが、とても有名な俳優さんのようです。でも、それよりも感激したのがわき役陣の多彩な名演技です。製作がITVということで、バーナビー警部のジョン・ネトルズも彼の二代目相棒だったダニエル・スコット役のジョン・ホプキンスも出ていて、それから、『検視法廷』で主人公の母親を演じた太った女優さんが出ていて、どこで見たんだっけと頭を悩ませました。

 このインターネットドラマは、自分の空き時間で何度でも見られて、便利です。負け惜しみではなく、これでテレビもとなったら、寝る時間も無くなってしまいます。


2021年2月5日金曜日

 コロナのおかげ

 夫が昨年8月の暑い時期に、誤嚥で急逝しまして、コロナを言い訳に、ごく身近なものだけで見送りました。

 夫は歴史家の端くれだったせいか、それこそ、勉強したもの、調査したもの、行ったところ、見たところ、できる限りのものを取っておきたい性格で、我が家は倉庫と化していたのですが、それらを片付けて半年が、悲しむ暇もなく経ってしまいました。

 コロナのおかげというと、語弊がありますが、おかげでいろいろ思い出しながら、発見しながら、一人で静かに作業を進めることができました。

 中でも一つ気になっていたことがありまして、無神論者の私は前々から「葬式はしない」と言っていたのですが、得度をして法名まで頂いている夫が納得していたのかと気になっていました。

 ある日、片づけ作業の中で、今ベストセラーになっている「葬式はいらない」という本が出てきて、夫もある程度は納得していてくれたのかなと思えてほっとしました。

 そういえば、お墓もつくらないで、散骨にすると言った時も、「お墓は明治以降に庶民も作り出したんだよ」と、歴史家らしいことを言っていました。

 奥さんを亡くされた城山三郎さんの「そうか、君はもういないのか」という本がありましたが、私もときどき、「そろそろ、帰ってくる頃だ」と思って、「いないんだ」と思いなおすことがあります。でも、「いる」と思っていてもいいのではないかとこの頃思います。

  法衣を来て、雲水のようないでたちで逝きましたから、きっとあちこち歩きながら、時々道端の畑で話しこんだりしながら、懐かしい両親のもとに向かっているのだろうと思っています。