2021年4月8日木曜日

 英国ミステリー噂話 ストーリー展開

 『ハッピーヴァリー』も、最近見た『警視バンクロフト』も三話でストーリーが完結するみたいです。

 昔見ていたシェトランド諸島を舞台にした、アン・クリーブスによる警察小説シリーズも三話くらいの1シーズンを見ないと犯人が分からなくって、毎回更新されるまでイライラしてみていましたが、これって良し悪しですよね。次のシーズンに入った時、「どうせ初回は、人物紹介と説明で終わっちゃうんだろうな」と思うと、とっかかりの興味がうせてしまう時もありました。

 かといって、バーナビー警部や、ポアロ、シャーロックホームズのように一話完結だと、よっぽど魅力ある人物や設定でないと、やはり長続きしません。

 メジャークライムズは複数の個性ある人物の魅力で、いろんな角度から人間観察ができますので、飽きずの見続けられますが、これはそれだけではないとこの頃気が付きました。登場人物の物語が、数話にわたって続くのです。例えば、シャロンの離婚問題、ラスティの薬中の母親、養子問題、などなど。私はシーズン2の途中から見始めたのですが、シーズン2は重大犯罪課によるラスティの証人保護から、それを狙う殺人者、そしていよいよ最後はラスティが証言台に立って、殺人者を有罪にするという大きなストーリーと、その途中に起こる一話完結の事件解決のストーリーが巧妙に組み合わさるのです。

 これだと犯人も捕まるし、次の展開への興味も残って、次も見なければならなくなります。このストーリー展開のやり方を、日本の『警視庁何でも相談室、ゼロ係』が取り入れているなと思いました。一話完結の犯人の他に、シーズンを通しての犯人がいるのです。

 メジャークライムズはアメリカワーナーブラザーズの作品のようですが、さすがにハリウッドの脚本力は違うなと思うのはその二つのストーリーの展開がいかにも自然で、重大犯罪と人それぞれの個性や苦労、生き方などが描き出されています。

 以前にもこういうミステリーはありましたが、これはなかなか難しい脚本だと思います。どちらかのストーリーが魅力のないものだったり、印象が強すぎたりすると、両方とも陳腐になってしまって、見なくなってしまいます。バランスが非常に難しいと思います。

 古いですが、フロスト警部はその成功例かもしれません。一話完結のストーリーの他にフロストの人生のストーリーがありました。愛情の冷めていた妻の死、恋人、住まい、毎回違う相棒の人生、最後はついに伴侶を得て幸せになるのです。

 そういえば、ニュートリックスも一話完結のストーリーの他に四人の個性的な親父たちの人生のストーリーがありました。これは好みの問題かもしれませんが、私は、こういうミステリーが好きなのです。