2021年9月26日日曜日

 本、『野良犬の値段』、百田尚樹、著、2020、幻冬舎発行

 これは最近、知人にいただいた本です。新しい本なんて何年ぶりでしょう。また現代の第一線の作家さんの本も何年ぶりだかわかりません。なので、いつ読み始めるか、戦々恐々で、なかなか表紙を開けられませんでした。だって、知らない人に会いに行くようなものですから。

 しかし、次に読む本はこれなので、次の隙間時間ができたら、一時間でも読みだすぞと気構えていました。でも、コロナの自粛が延長されて、どこにも行くところのない娘家族が、休みの度にやってきます。忙しいですよ、掃除、買い出し、料理、ごみ出し、その合間に九月の草取り、木の伐採。秋に死ぬ人は春に死ぬ人より多いと昔聞いたことがありました。猛暑が急に治まって、台風に気を取られていると、急に寒くなり、また暑さがぶり返す。高気圧と低気圧の間で、血圧も上がったり下がったり。同居している娘は体調不良でお医者さんに行きました。私はしっかり体操時間を取っています。

 などなど、言い訳をしながら、それでもある日、恐る恐る表紙をあけました。手がかりは、帯に書いてある、『私たちは、ある人物を誘拐しました。この人物を使って実験をします』という言葉だけ。一体、何が書いてあるのでしょう。

 ありがたいことに、大きな字でした。でも、読みだしてすぐにこりゃダメかとガックリ。出だしからスマホでツイッターをやる人の話でした。爺さん婆さんはスマホは持っていないし、ツイッターもしません。そこへ行くとトランプさんは進んでいますね。アメリカは国が広いせいか、通信手段は進んでいるようです。コロナのせいで会えない分、老人でも毎日スカイプをしているので忙しいと言っている人もいます。と、余計なことを考えてしまいました。

 少し読み進むと、だんだん日常の話になり、私にも読めるかなと思えてきたのですが、今度はツイッターがどんどん拡散していき、登場人物がどんどん増えていき、所属場所も数か所にわたっていきます。

 作者の経歴を見ると、放送作家として活躍、有名な「永遠の0」で作家デビュー、本屋大賞受賞など輝かしい経歴の持ち主で、最新ニュースに疎い私でも名前を知っていたくらいの人でしたから、広い行動範囲はあたり前なのかもしれません。でも、社会性ゼロの私は、場面が変わるたびに右往左往、ここはどこ、誰だっけという状態でした。

  第二部に近づくとますます難しくなって、第二部でぱっと変わるのです。ストーリーは書いてはいけないのですが、そこからはドラマを見るように一気に読めました。様々なメディアの功罪、眞子さまや菅首相に向けられたようなバッシングの被害、ロストジェネレーションの話、派遣の現実、高給取りの話、企業の裏側や収益、ネットの使い方、作戦のたて方。社会を知り尽くした作者ならではだと思いました。まさに当代の気鋭の作家さんだと思います。

2021年9月25日土曜日

 眞子さまの結婚

 以前、マスコミのバッシングを受ける菅首相を見ながらも、「私は菅首相でいい」と書きましたが、先日の訪米で、バイデン大統領に慰労された記事を見ていましたら、そのコメント欄に、私と同じ意見の人がたくさんいて驚きました。「口下手でもたくさん仕事をした」とか、「実務家として短い間にたくさんの難題を乗り切った」という意見が書かれていました。小泉進次郎さんが、涙を流しながら「短い間にこんなに仕事をした内閣はない」と言っていたと聞きましたが、そう思っている人はたくさんいたのです。

 今月中に結婚すると言われている眞子さまへのバッシングもひどいですね。私がどんな意見を持とうと大勢には関係ないと思いますが、あまりに思いやりのない言い方に心が痛みます。

 まず、眞子さまの結婚は自由です。小室圭さんはこんな逆境の中、よく頑張って、資格をとり、家族の成立のために努力したと思います。

 シングルマザーのお母さんは生きて子供を育てるのに必死だったと思います。貧乏を経験した私には分かります。どんなことでもしよう、どんなことでも利用しようと頭を働かせるのです。でないと、子供を道連れに心中なんてことだって起こりうるのです。あまりのバッシングに、今回そうならなくてよかったと思います。眞子さまの強い精神力のたまものだと思います。

 人生は長いし、一気にすべてを解決なんてできません。これから、二人で努力して、少しずつ信頼を取り戻せるように、決して安易な道のりではないと思いますが、ここまでやったのですから、乗り切ってほしいと思います。あんなに難しいと言われたオリンピックだってできちゃったのですから。

 ゴキブリの生命力

 涼しくなって、家の中でゴキブリを見る機会も少なくなりましたが、夏の間、涼しいからと真夜中に起きて、居間の電気をつけようものなら、数匹のゴキブリが一斉に別方向に向って走り出します。

 アレルギー症の家族がいて、殺虫剤の使えない我が家では、昔からゴキブリハウスをあちこちに仕掛けてありました。昔は結構入っていたような気がしますが、いつのころからか、ほとんど入らなくなってしまったようです。今年も一ハウスにひと夏で五、六匹です。これは多いほうです。

 で、涼しい真夜中に起きだしてコンピューターをつける私としては見て見ぬふりをするわけにも行かず、古いハエたたきを二本見つけてきて、手元に常備しました。で、エイ、ヤとたたくのですが、結構すばしっこくてたいていは逃げられます。逃げ足の遅い、ドジな奴が私ごときにたたかれて、椅子の横あたりで動かなくなります。私は当然死んだと思って、明日片付けようとそのままにしてコンピューターに戻ってしまうと、翌日の朝にはもういないのです。

 最初は、『さては仲間のゴキブリに食べられたかな』と思いましたが、そういうことが二、三度起きると、『あいつ生きてたな』とわかりました。何のことはない、たたかれて気絶していただけだったのでしょう。そういうわけで、私が、この夏に退治したゴキブリもやはり五、六匹です。そして、一晩に四方八方逃げ回るゴキブリはやはり五、六匹いたのです。

 ドラマで、「地球上で一番強い生き物は昆虫だ」という人がいましたが、私は最強の生き物と死闘を繰り返していたわけです。昔はゴキブリでも殺すのはかわいそうなどといい子ぶっていましたが、テーブルの上などに二、三匹のゴキブリがはい回っているのを見ると、やっぱり、戦わないわけにはいきません。この間の子連れで家に入ってきたネズミと同じ、人間のおごりを感じて後ろめたい気持ちはありますが、やっぱり殺してしまいました。

2021年9月5日日曜日

 菅首相の退陣

 私は菅さんはいいと思っていたのですが、数を頼まなければならない総裁選に、選挙資金を牛耳る長老たちの賛同を得られなかったのでしょうね。

 二階さんと刺し違える覚悟だったのでしょうが、賛同が得られなかったということでしょう。そのためにはもっと時間が必要だったのかもしれません。オリンピックやコロナに忙殺されてしまったのでしょう。

 しかし、いつまで自民党は二階さんや麻生さんや阿部さんの長老会政治をするのでしょう。結局、彼らに反対すれば、選挙資金を貰えないということなのでしょうか。だから、派閥に入るのでしょうか。河合杏里さんが貰った一億五千万の選挙資金はどこに還流していったのでしょう。

 国民はお金より人を選ぶ選挙を実践していかないと、大変なことになりそうな不安があります。

 英国ミステリー噂話 『第一容疑者』最終章『希望のかけら』 2006と、原案、脚本のリンダ・ラ・プラント

 いつもは、ストーリーの出だしの予備知識を入れてから見ていたので、主人公のテニスン警視がアルコール依存になっていて、事件の連絡の記憶もないという設定に、ちょっと暗くなりました。

 この『第一容疑者』のストーリーは社会性があるということで、みんなちょっと暗いのです。でも、エミー賞を取ったり、ロンドン警視庁の教材になったりとか、現実を踏まえて、できているので、一度見出すと、止められなくなります。

 で、最後のシーズン7まで来たのです。

 事件解決もありますが、出世して、力を存分に振るいたいと願ったテニスン巡査が、警部になり、女性初の警視になり、女性蔑視の組織内で、能力を発揮していくのですが、やっぱり、大変な苦労をしていくのです。恋愛も子供も家庭もすべて捨てて邁進してきて、このシーズン7は、いわゆる退職前のシーズンです。

 父の死で、心の通う家族を亡くし、同じアルコール依存の治療を受けていた同僚を亡くし、心を通わせた若者たちに失望し、タイトルの『希望のかけら』がみんな無くなっていくのです。

 これから、ハードな再生の老後が楽しいといいと願わずにはいられません。

 で、原案、脚本のリンダ・ラ・プラントさんのウキペディアもこの際見てしまいました。

 ラ・プラントというのは17年くらい結婚していたご主人の姓のようです。本名はLynda Titchmarsh 1943年3月15日生まれの現在78歳、リバプールの出身のようです。

 the Royal Academy of Dramatic Art.で学び、 the Royal Shakespeare Companyで、女優としての仕事を得たようです。その後子供番組に出演し、やがて脚本を書いたようです。1983年に売れる脚本を書き、その後小説も書くようになり、

1991年にグラナダテレビで放映された『第一容疑者』は、アメリカでも放送され、1993年にアメリカの推理作家協会からエドガー賞を授与されました。

 1993年に彼女は自身のテレビ制作会社を立ち上げ、精力的に作品を制作し、その間もベストセラー小説を書き続けたようです。テニスン警視と似てますね、キャリアにまっすぐに向き合って進んでいったようです。かくして彼女は多くの賞を受賞し、高名な脚本家、小説家と言われるようになったのです。

 私生活では、1996年に、音楽家の夫と離婚し、57歳で、男の子の赤ちゃん養子を迎えたようです。これが、まだ描かれていないテニスン警視の未来でしょうか。ラ・プラントはヘレン・ミレンのテニスン警視をまた書きたいと言っているそうです。

 本、『黄色い部屋の秘密』ガストン・ルル―、木村庄三郎 訳,

昭和41年角川文庫

 これは夫の本です。夫は若いころ推理小説が好きでたくさん読んだようです。あまりに古いので、敬遠していましたが、これは、この間文化論を読んだ、木村庄三郎氏の翻訳なので、ついに手に取ってしまいました。

 まず、ガストン・ルル―ってどんな人だろうと、ミステリアスな好奇心が湧きました。で、ヤフー検索。

 『Gaston Leroux, 1868年5月6日 - 1927年4月15日)は、フランスの小説家、新聞記者。フランス推理小説創成期においてモーリス・ルブランと並ぶ人気作家だった』。『オペラ座の怪人』の作者だそうです。百年前の人ですが、このころの人は早死にで、これだけ活躍しても五十八歳で亡くなったそうです。両親も早く亡くなり二十歳ころには弟妹を養っていたみたいです。尊徳さんと同じです。

 同様に、この前は調べなかった木村庄三郎氏のウキペディアも見てみました。そこで最初に見つけたのは、西洋学者は同音異字の『木村尚三郎』氏で、同音同字には相撲の行事の『木村庄三郎』もいるということです。調べてよかった。大恥でした。で、ご本人は『木村 庄三郎(きむら しょうざぶろう、1902年8月10日 - 1982年1月10日)は、日本の翻訳家』。戦後たくさんのフランス文学の翻訳をされたようです。

 この推理小説は大変有名で、多くの人が翻訳しているようです。訳者は元は小説も書いた方のようでそのせいか、文章は手慣れた感じで、翻訳ものにしては読みやすいです。ストーリーも煩雑ではなく、『謎』が中心で、追いかけていく感じです。さて、どうなっていくのでしょう。

 隙間時間を利用しながら、少しずつ少しずつ読んでいったのですが、言葉巧みに引っ張る、引っ張る。十八っ歳の新聞記者は頭脳も言葉も巧みです。 

 作者は弁護士の資格を取ったようですが、飽き足らず新聞に記事を書いていて、そこから作家になったようで、これが最初の作品のようです。

 結局、真ん中くらいで結末を予想したのですが、全くのはずれでした。

 私は推理小説は本当は苦手で、せっかちなせいで、普通は真ん中まで読んだら、最後のページに手をかけているのですが、これは最後まで追いかけながら読むのに精一杯でした。でないと、鍵がどこに出てきたかわからなくなってしまいそうなのです。

 ネタバレにならないようにこの辺でおしまいにしますが、それなりに面白かったです。