2022年10月25日火曜日

 ドラマの話 この男不熟につき

 昔見たドラマで、ずっと覚えているものがあります。いまだによく覚えているのです。小林薫さんの困った顔と引導を渡す中村梅之助さんの厳しい顔。その言葉、『この男不熟につき・・・』、つまり使えないので、放逐する、解雇するというのです。そして、この後、出ていく小林さんの何かほっとしたような顔と、後を追って家を出ていく、多分、中村さんの娘だったと思いますが、奥さんの姿。

 今回調べてみたら、『藤堂家城代家老の日誌より(1990・NHK)』とあり、題名は『ドラマスペシャル 不熟につき…』とありました。いくつかの賞もとったようです。

 で、なんでそんなに身につまされているのかというと、私も夫も、一応、会社は作ってありましたので、厚生年金ですが、フリーランスのようなものでした。だから、収入も年金も少ないほうです。

 で、この歳になって周りを見回してみると、大きな会社で定年を迎え、豊かな貯蓄とそれなりの年金で、生活を送っている方々。共働きで公務員を退職されたご夫婦。羨ましいなと思います。

 でも、わが身に置き換えてみると、私たちにはできなかったろうなと思います。『すまじきは宮仕え』の言葉のように、それができない人もいるのです。

 例えば、芸能人はお金がたくさん入ってうらやましいと思いますが、毎日あんなにきれいにお化粧をして、ドレスアップして、きついパンプスを履いていることなんて、私にはできないだろうと思います。加えて対人関係に弱点のある私が、毎日人の中にいることは、若いころでも悩みでした。つまり、私は『この女、不熟につき』だったのです。

 だから、若いころはそれなりに苦労しましたが、今は低収入でも仕方がなかったと思っています。その分、人にあまり気を使わずに済んだこと、好きなドラマを見られていること、幸い生活に困らないでいられることを幸せなことだと思えています。

 ドラマの話、『メジャークライムズ』第6最終シーズン

 これは2017年頃の製作のようです。あの頃はまだコロナなんかなかったころだったと思うのですが、設定ではインフルエンザが大流行して、フリオのお母さんが亡くなり、レイダー警視も治り切っていないという設定で始まりました。

 コロナの前から、アメリカではインフルエンザで亡くなる人は多いと言われていました。そんな中で、レイダー警視に後遺症の心筋炎が出てしまうのです。

 私の浅い知識ですが、これはコロナの後遺症としても知られていて、確か、細菌をやっつけるための抗体が、何を血迷ったか、臓器を攻撃してしてしまうという話で、心臓を攻撃してしまうと心筋炎になるそうなのです。

 何に感動したかというと、レイダー警視の身の処し方です。心臓移植も視野に入れなければならないという時間との戦いの中で、常にどう対処すべきかを考えていて、死の準備をしていくのです。

 彼女にとっては、生きているという事は常に自分を正しい位置に置くことのようでした。

恐れるとなにもできない、恐れずに冷静に周りを見、判断を誤らない。

 これ以上書くとネタバレになるので書けませんが、この姿勢は見習いたいものだと思いました。

2022年10月24日月曜日

 十年後

 この間、『ガレージセール・ミステリー 探偵ジェニファー』を見ていたら、ジェニファーの相棒のダニが、十年後の自分を思い描いて、目的を持って生きるという講座に出ているという設定でした。

 「ふむふむ なかなかいいアイディアだ」と思ったのですが、私の十年後を考えると、私は84歳です。生きてはいるかもしれませんが、まともに動けているでしょうか。今だって怪しいのに。

 やりたいことはあるので、もう少し時間ができるのが楽しみなのですが、それまでの間、体力をつけようと運動をしています。朝、出かける前の30分から一時間のストレッチと筋トレ。一日30分のヨガか有酸素運動。痛いところを治すユーチューブの整体屋さん。家事と庭仕事も運動だと思って頑張っています。

 でも、やっぱり歳とともに衰えては行くのです。例えば、筋トレとストレッチを一年間続けて、姿勢がよくなった、お腹がへっこんだと思っていると、どうも足の踏ん張りが昔ほど効かない。よろよろする。多分、浮指と言われるものだろうと思うのですが、で、一日30分ヨガかウオーキングをすることにしたのです。

 そういえば、と思い出しました。昔は週に一度くらい、プールに行って歩いていました。プールの中だと歩くのに足を踏ん張らなければいけないので、指まで使うのです。歩かなくなったのはコロナ以来です。まあ、今はウォーキングとヨガで代用するとしましょう。

 という事で、私の十年後はスタイルもよくなり、衰えもなく、元気になんでもやりたいことのできる体になっていることでしょう。

 本 『バシャール x 坂本政道、人類、その起源と未来』

 これは亡夫が買った本です。まだ新しく、読んだ形跡はありませんので、捨てるにも捨てられず、かといって、あまり求められているような本でもないようなので、一応読んでみようかと手に取ったのです。

 で、どういう構造になっているかというと、このバシャールという人は、人とも言えない人なのです。このバシャールさんのいう事を、ダリル・アンカという人がチャネリングという方法で伝えるのです。一種の霊媒のようなものだと思います。

 坂本さんはそういうことに興味と知識のある人のようで、人間にはわからないことを聞いていきます。

 最初は「人類の起源」、星座などに興味のない私は、聞いても分かりませんでしたが、前人類の存在から人類になるまで、こと座、オリオン座、プレアデス、そして、シリウスを経て地球まで変化をしながら、生成されたという事です。

 あまりよくわからない世界の話ですが、ただ一つ、私が、ほっとしたと感じたことがありました。それは死後の世界の話です。

 『死後はどこに行くの』かという問いに、『元来た様々な星に行ってもいいし、生まれ変わって、地球に戻ってきてもいい。本人の意思次第です』というような話でした。これで、『輪廻』なんかしなくてもいいんだと思ったのです。死んだらどこかの星にふわふわと飛んでいけるのだと想像してしまったのです。

 人間って、想像する生き物ですからね。でも、後ですぐに気が付いたのです。これって宗教と同じだと。キリスト教なら天国、仏教なら極楽浄土、昔からそんな世界は想像の世界で作り上げられていたのです。誰も見たことがないのですから、本当かウソかわからない。本当にあるのかも知れない、バシャールさんも言っているのだからと思うか、みんな、頭の中の想像の産物、観念の世界、物理的な世界にはないと思うか。

 確かに、あると考えれば、私がほっとしたように、こころが救われる人も多いだろうと思いますが、それはみんな想像の世界、頭の中だけにあると考えるのが妥当のような気がします。頭の中だけで、死者と会話したり、未来を描いたり、私程度の苦労ではその程度でも、十分に救われるのです。

 それとこの頃、この歳になって、思うことがあります。天国って、人の心の中、つまり、思い出の中にあるのではないかと。後に残った人たちがこころの中で懐かしがったり、いい意味で思い出したり、ありがたがったり、そうしてくれることが、『天国に住む』という事なんじゃないかと。そのためには、生前に、仏教でいう『徳を積む』事や、キリスト教でいう『愛を育む』事が大事なんじゃないかと。そういう意味でも、『歳をとるということ』は『天国に住む』ための準備期間で、ある友人が言ったように『ギフト』ですね。

 で、よくわからないこの本は捨てることにしました。