先日、体操の白井健三氏の密着レポートを放送していました。若いわりにしっかりしているといつも思っていましたが、ああ、こうして成長してきたんだなと分かりました。
その中で、「日体大に入って、人間力を身に着けることができました。」と言っていましたが、私が感心していたのはこの人間力なんだと思いました。
その密着は、高校を卒業して日体大の寮に入ったところから始まっていました。日体大の寮って、四人部屋で、各学年一人ずついるみたいです。料理も自分たちでするのか、入寮のお祝いにみんなで鍋を囲み、お赤飯を食べているところでした。
そんな中で、まだ新入生で、技術も完成されていない健三選手に、先輩方が、見ていてくれて、アドバイスを一言二言くれるのです。もちろん監督コーチもいるのでしょう、女子の選手のニュースでは監督がクローズアップされていましたから。
で、健三君は自分が四年生になった時は、後輩たちにアドバイスを書いて渡していました。後輩の一人が冊子にできるほどの量の紙類を見せていました。
これが人間力、人を思いやれる力なのだとしっかりわからせられました。
で、いつものように自分に置き換えてみるのですが、私には無理といつものように思います。若いころの私は、本当に性格が悪かったのです。たとえ表に出なくっても、自分にはわかります。そうすると、人に好かれませんから、人の言ったことがいちいち自分に向けられた矢のように感じて、恐怖心になり、いつも一人で好きなことだけしていました。
デモです。この歳になって、十分な考える時間ができて、わずかな年金でもなんとか食べていけるとなったら、人と競争したり、ねたんだりしなくてもよくなったら、自分の立ち位置がわかるようになりました。相変わらず、臆病で引きこもりっぽいですが、人の気持ちが思いやれるようになったと思うのです。この歳になってやっと少しずつ人間力がついてきたということでしょう。
思えば、白井君が4年で体得したことを、私は50年かかって学んだのです。もう遅いかもしれませんが、それでも、学べてよかったと思います。自分自身が楽に息ができるような気がします。