2017年11月24日金曜日

歩く人、完  このところ、気にしているせいもあってか、例の歩く人を良く見かけます。  季節もよくなってきたせいか、相変わらず元気に歩いています。  そんな中、うれしい発見をしました。  その一、夏にはサンダルを履いていたのですが、今は靴を履いています。  その二、秋の雨の後には傘を持っていました。  その三、お店にも寄っているようです。目立つ格好ですが、不潔ではありません。きっと誰か、心を砕いていてくれる人がいるのでしょうね。なんとなく安心です。  それを見て、この頃は「ラッキー」、「彼女は今日も元気に歩いてる。私も頑張らなくっちゃ」と思えるようになりました。


2017年11月17日金曜日

詐欺じゃないの?

 ある日、突然に警察から電話がかかってきました。市内で、オレオレ詐欺の電話があちこちにかかってきているので、注意してくださいというものでした。
 『私は絶対に大丈夫』と思いながらも、丁寧にお礼を言いました。だって、幸いにもうちにはテーマになるような息子はいないのです。それに加えて、食料品が20パーセント値上がりしたといわれる昨今、家計を引き締め、工夫をしなければならない緊張感があるのです。だからオレオレ詐欺なんかに電話で付き合っている暇はないのです。
 と思っていた数日後、夫が丁寧に受け答えしている電話が気になって聞き耳を立てていましたら、うちの内情を次々にしゃべっているのです。いい加減この辺で切れるかなと思っていても一向に切れる様子もなく、ついには、家には家族三人が常時いるというところまで話し、これで切るかなと思いきや、まだ切れないので、しびれを切らし、私が「うちの内情を探らないでください」と言って切りました。これがオレオレ詐欺の下準備ですよね。夫一人なら簡単に騙されていたかもしれません。
 それともう一つ気になるのは、テレビコマーシャルの多さです。我が家のように老人が二人、日がなテレビの前で過ごしていると、好きなサスペンスを見ているのに、いつの間にかコマーシャルを見ているのです。これも無料で見られるためには仕方がないと、その時はトイレに立ったり、洗い物をしたり、運動をしたりとそれなりに対処しているのですが、それにしても多いです。
 分析してみると、主に、老人向けの足腰や目のサプリメントの宣伝と、主婦向けの美容、化粧品、まだ若い人には腹筋マシーンやらのトレーニング器具、さらには万人向けの便秘薬。
 かくゆう私も、目のサプリメントを買ってしまいました。私の場合は、気休めと思って飲んでいるので、さほど気にはなりませんが、いいと思って、あれもこれもと買ってしまう人がいたら、これって詐欺にはならないんでしょうか。ましてや、安全性なんて誰も保証していないサプリメントです。
 どこかで歯止めが欲しい気がします。
 実は、昔々、通信販売のサプリを買って、大失敗したことがあるので、あれは詐欺だったと、私はある程度は用心しているのです。みんなもそうしているのでしょうか。

2017年11月10日金曜日

トランプさんのこと

 トランプ大統領が夫人同伴で来日されまして、いろんなテレビ報道がありました。その前に来日されたイバンカ大統領補佐官とともにあまりに華やかすぎて、まぶしいせいか、あまり見ませんでした。
 この方、昔から有名だったのですよね。トランプタワーの主でしたし、一時、日本がバブルの時に、日本企業がトランプタワーを買ったというニュースもありました。そのころ、何度目かの離婚もして、きっとあの頃がどん底だったのでしょうね。
 そこから不死鳥のようによみがえったのです。大統領にまでなりましたから。
 並大抵の道のりではなかったと思います。我が家などほとんど利益の出なかった会社を来年たたもうとしているのですから。この苦労を、自分でしてみると、トランプさんの才能というか、しぶとさというか、貪欲さというか、もともと、商売人としての資質があったのだということはわかる気がします。
 トランプさんを支持して、好景気を甘受できた町の人々はもちろん、更に不景気になって職を失ってしまった白人労働者の多い町の人々もその支持を変えないので、支持率のパーセンテージは変わらないとという取材がありました。
 『確かにね』と思います。大統領就任式の聴衆の数の少なさが報道されましたが、支持を送った貧しい人々はワシントンにまではいけない人々なのです。就任式を見に行けるのは小金持ちだけです。
 そして、歴代の大統領が、自由や人権や民主主義という言葉を多用するのに対して、トランプさんは経済、雇用、環境より復活というような現実的な言葉を多用するのだそうです。どん底から這い上がって、現在を得た、その過程をアメリカという国でやろうとしているのだとみんな思うのでしょう。「これが成功するかどうかで、評価が分かれるだろう、ここ一、二年が勝負だ」と識者はコメントしていました。
 成功の陰には当然のように黒い噂も漂うよその国の大統領のことですから、私はコメントする立場にはないと思うのですが、七十を過ぎてのこのバイタリティはどこからでてくるのでしょう。まさに人生100年時代です。そのことだけは見習いたいと思います。
 そういえば、この頃、私のブログにあんなに来ていたロシアからのトラフィックが、ほとんど来なくなりました。やっぱりロシア疑惑はあったのですよね。コンピューター会社の人が証言していましたもの。

2017年11月3日金曜日

古すぎる毛糸

 こんな衣類の出し入れの季節は特にですが、私は材料を見つけるとすぐにリフォームをしています。衣類はほとんど買いませんので、もう趣味を通り越して生活の一部になっています。だから、ミシンはいつでも始動できる状態になっています。
 以前、フローリングのカーペットを木製床材に張り替えた話はしましたっけ。最初の三か所は夫と二人でして、あとの二か所は一人でしました。コツを覚えると一人でもできるのです。
 そんな私が二の足を踏むのが毛糸です。市販のニット製品はミシンでも直せるものがあるのですが、問題は、母が手編みで編んでくれたセーターやカーディガンの数々。
 手編みって難しいのです。最初に直したものは袖が長すぎたので、短くしたんですが、短くなりすぎました。そこはリフォーム屋の私のいい加減な性格がしっかりと現れてしまいますが、さすがにもう一度直す気にはなれずに短いまま着ています。及ばざるは過ぎたるより勝れりと言いますよね。。
 母は新しい毛糸をたくさん残して逝ってしまいました。手編みをしている上の娘がもらう予定ですが、なかなか持っていきません。管理も大変です。かといって、私は新しい毛糸で何かを編もうとは思いません。昔、リフォームばかりする私を見て母が言いました。「古いのを直したって、新しくはみえないよ、オーつまらない」と。洋裁和裁、正式に両方習った母と違って、私はまっとうに習ったわけでもなく、出来上がりがいつも希望通りにならないことを身に染みて知っていますから、ある程度形になっているものを直すほうが気が楽なのです。お金もかからないし。
 そんな私が、ここ一週間、手編みをしています。半分だけできました。手編みは時間がかかるので、せっかちな私はそれもあってできないのです。
 その毛糸は昔々、二十年も前に、娘がアメリカで古着のセーターを買って、持ち帰ってきたものです。デザインも平編みだけで、いかにも止め方も知らない素人が編んだと思える編みっぱなしのようなもので、色も茶色、素朴といえば素朴、汚いといえば汚いセーターでした。さすがに娘は着なくなって、私に回ってきたのですが、私には袖が長すぎたのです。それで、いつか編むときもあるかと思ってほどいたのです。その過程で、黄色い藁の穂くずのようなものがたくさん出てきました。きっとアメリカの農家の人の作業着になっていたのかなと思いました。洗うと、茶色が落ちて、ベージュになりました。泥染めか、汚れか。でも、この毛糸は縮まないのです。
 あれから十年、タンスの奥で眠っていたのです。で、いよいよ身の回りの整理を少しずつしていかなければならなくなって、引っ張り出してきて編み始めたのです。
 編み始めると、その毛糸にはごみがたくさん絡んでいることがわかりました。黒くなった穂くずのようなもの、黒い太い毛、白い太い毛、それらをみんな取ると、糸が細くなってしまいます。で、また想像しました。きっと、ネパールのような寒いところで、編み方もろくに知らない女性が、家族に着せるために必死で糸を縒って編んだんだろうと。毛糸も羊ではないかもしれない。犬の毛でセーターを編む人の話を聞いたことがあったので、犬かもしれない、まっすぐな太い毛が混じっているので、ヤギか他の動物もしれない。それを羊の毛と縒り合わせたのかもしれないと。そう考えると、ごみを拾いながらも編まないわけにはいかなくなったのです。私が上に着ればいいだけですから。
 下手な私が編んでいくと、いろいろな間違いをしでかします。目数が多すぎて広くなりすぎて、ほどいて編みなおしたり、途中で、目数が足りないと気付いて、一目増やしたら、下のほうで、一目つながるところのないループが浮いていて、慌てて、毛糸を少し切って縛ったり、元のような平編みではなく、縄のような模様を入れたら、厚手になりすぎたり、ごみを取りすぎて毛糸が細くなったり、その都度、解決策を考えたり、なんとか折り合いをつけて、想像したような形に向かって進んでいく、まさに人生のようなものですね。これが新しい毛糸だったら、間違った落ち込み方も激しくって、完成した時の喜びは半減されるのではないでしょうか。つまり、こんな古いひどい毛糸を、なんとか着られるものに作り上げたという達成の喜びのほうが大きいと思うのです。