2021年4月24日土曜日

 本『葬式は要らない』島田裕巳著

 以前にも書いた、夫が生前読んでいたという本です。夫は得度して仏具一式を大事そうにしまい込んでいた人でした。まさか、ベストセラーとはいえ買って読んでいるとは思いもしませんでした。

 夫の家は古い家で、お墓も広く、そのうえ夫は四人兄弟の末っ子でしたから、お姑さんは四人男の子みんなにお墓を大事に守っていくようにと教えたのです。ところが、家と長兄のところは女の子が二人ずつ。嫁に行ったらそれまでです。それに加えて、姑さんと反りの合わなかった私は、子供たちの負担にならないようにと、まさに『お墓は要らない』と散骨を主張し始めていました。

 そういうわけで、亡くなった姑の遺産も、男の子のいる家だけで主に分け、私たちは肩の荷を下ろしていたのです。その頃から夫も少しずつ『無用論』に傾いて行ったのかもしれません。

 著者の島田裕巳氏は1953年生まれ、私よりちょっと若い年代の宗教学者だそうです。学者さんですから、内容には葬式の歴史的なことから、心理的なこと、未来の展望まで、いろいろなことが網羅されていて、納得すると同時に安心も与えてもらえます。

 そういうわけで、私の『お墓、葬式無用論』は理論と安心を与えられた感じがしました。最後の『お骨をどうするか』は、今は、将来私の骨と一緒に海に散骨と思っていますが、家墓という言葉もあるようです。ちょっとまだどういうことかはっきりとは分かりませんが、これから考えていく下地にはなった感じがします。