2021年6月13日日曜日

 ネガティブ・キャンペーン

 六月四日に日航機が台湾の空港にワクチンを積んで到着したというニュースを見た時、「え、やったんだ」と興奮して喜んだのは私だけではなかったと思います。そのあとも『天安門事件のその日、その時間に』とか、『管制塔の感謝の言葉』とか、『日本の駐在事務所へ届く感謝の花束』とか、『中華航空が護衛について、一緒に飛んできた』話とか、『要請を受けてから十日間の政府関係者の努力』とか、『日本で生産されたあるだけのワクチン』とか、『東日本大震災の時の台湾からの200億円の寄付に対する恩返し』とか、一生懸命読んでしまいました。

 そんな中で、『なぜ日本人が打たないアストラゼネカなのか』『まず台湾在住の日本人に先行摂取しよう』とか、『アメリカに行って接種してこようとする人たちに交じって台湾からわざわざ中国本土に接種しに行く人もいる、台湾人は本当に中国が嫌いなのか』といった、ネガティブキャンペーンを見ると、心が暗くなります。『本当なのか』と。

 そして、そこに着いたコメントを読んで、ほっと救われる思いがします。

『台湾は現時点でアストラゼネカしか承認していない』とか、台湾在住の日本人と名乗る人が、『私の周りの日本人はこの快挙に大喜びしています』とか、台湾では日本からのワクチンを15日から高齢者を中心に摂取するということを聞いて、『現在勤労世代はアメリカに行って、旅行者用の無料接種を受けてくるしかないのだろう』と思い至り、『中には近い中国へ行って同じく無料接種を受けてくる人もいるだろう』と思いました。

 中に名前を出して、ネガティブキャンペーンを書いている人がいて、ちょっと腹に据えかねたらしい人が、経歴を調べたらしく、『お金をもらって記事を書く人だ』と書いていました。

 そういうこともあるんですね。なんでも制約なく言えるのが民主主義らしいのですから。そういえば、私の好きだったドラマ『ポルダーク』でも、敵役の金持ちが、自分に得になる噂を流して、ポルダークを窮地に陥れるというストーリーが何回も出てきます。『三国志』の権謀術策の部類でしょうか。

 ぼんやりと田舎に生きている人間にはそんなことをしてどんな生きがいが生じるのかわかりません。広い宇宙から惑星のかけらが飛んできていつぶつかってもおかしくない時代、素直にすべてに喜んで生きる方が救われると思うのですが。