2021年6月26日土曜日

 本 ソフト経済学 日下公人著、知的武装解除がヒントを生む 1988年発行PHP文庫

 この頃、ドラマはミステリーが大好きなのに、本はフィクションを読む気になかなかなれなくって、今回も実用書を手に取ってしまいました。

 でも最初の長いプロローグを読んだとき、やっぱり頭のいい人の話は分かりづらいと後悔しました。

 で、本日、『中国共産党100周年直前に家を追われた趙紫陽元総書記家族』というニュースが出ていて、この名前がプロローグに頻繁に出てきたことを思い出しました。

 ニュースには『1987年に総書記ポストに上った趙紫陽は、89年4月から6月にかけて、北京の天安門広場に集まって政治の自由化を要求していた学生デモ隊を武力鎮圧しようという党指導部に反旗を翻した。しかし同年6月、「動乱を支持し、党を分裂させた」という理由で失脚した。2005年に85歳で亡くなるまで、16年にわたり富強胡同の自宅に軟禁された』とあり、この自宅に今も住んでいた娘夫婦が追い出されたらしいのです。

 プロローグにも、中国の国家資本主義を方針を掲げて主導した人物と書かれていました。この本が出版されたのが、1988年で、ちょうど趙紫陽さんたちが指導者で、天安門事件の前だったのです。

 他にも中国共産党100周年記念館のニュースがあり、毛沢東主席と習近平主席だけが大々的にまつられ、間の、中国の今日の繁栄をもたらした指導者たちはほんの一区画だけだったと書いてあった記憶があります。

 リンゴ日報の廃刊のニュースもあり、こんなに言論統制をして、習近平さんは何をしようとしているのでしょうね。今、毛沢東さんがえらかったなんて思っている人はそんなにいないと思います。こんな中国を作り上げてしまったのですから。むしろ、後世の人は天安門事件に反対し、国家の繁栄の基礎を築いたという趙紫陽さんを尊敬するのではないでしょうか。

 この本の続きは、よくわからない経済のはなしですが、頑張って最後まで読みます。

 後半は思いのほかすんなりと読めました。あとがきを書いた方が『頭のいい』と絶賛していましたが、本当にそういう内容でした。こまごまとしたことをよく覚えているのですが、これはあちこちで講演をしたときに繰り返し話されていたネタだったのでしょう。

 でも、それとは別に、その一つ一つの事象を分析して、理論にまで積み上げているのです。こうして日本経済を導いてきたんだなあと、その言葉通りに動いてきた経済と社会の流れを感じました。

 この方は私の父より少し下、日本の産業が大発展をしてきた時代、世界が分業の時代に入り、中国経済がこれから爆発するという時代を駆け抜けていられた方です。楽しそうに時代を読み解いていられました。

 中で一つ、私が『ああそうか』と思ったのはドイツの話です。このころまでにドイツの経済は成熟し、停滞期に入ったようです。人々はあまり働かず、出生率もどんどん下がって、50年後には人口が半分になると予測していました。

 で、今わかりました。ドイツがなぜあんなに移民を受け入れているのか。著者は「ドイツ語さえ話されなくなるのではないか」と危惧していました。なぜ、あの優秀な指導者のメルケルさんが警戒心もなく『一帯一路』に乗っかってしまったのか。ドイツ経済の弱みを握られたのです。