2021年7月22日木曜日

 本 『地球の歩き方、ヨーロッパのいなか』ダイヤモンド社、“91~92版』

 若いころは、旅行に行きたくて、こういう本を何冊も買いあさりました。でも、現実には行けませんよね、お金もないし、生活もあるし。で、読まれることもなく積んであった、これは30年前の私の本です。

 最初に出てきたのは、ヨーロッパは多民族であるということでした。国がポンポンポンとある感じですが、スペインのなかにもバスクあり、カタルーニャあり、その他にもスペインとフランスにまたがった自治州があるみたいです。イギリスだって、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、言葉もそれぞれ違うらしいです。このウエールズの中でもコーンウオールのケルト人はフランスのブルターニュのケルト人と同族なんだそうです。海をわたって真向いのフランスに移住したのだそうです。で、EU諸国が『少数民族の人権にどうしてあんなにこだわるのか』が分かったような気がしました。自分たちの問題なんです。

 次に旅人はフランスのセザンヌの故郷を旅します。セザンヌって、どんな画家だったっけと忘れてしまった知識をコンピューターを使って思い出しました。あのタヒチに行ったのは誰だっけ、ゴーギャンでしたよね。ゴーギャンをモデルに小説を書いた人はイギリスの?。『モース』じゃなくって、『モーム』でした。サマセット・モーム。『月と六ペンス』、私は英文科だったのにすっかり忘れていました。で、あらためて、ゴーギャンをウキペディアで調べてみると、とんでもない人でした。この人なら、小説のモデルになっても不足はないという感じです。

 こういう風にして、旅人が自分の好きな作家や芸術家の原点を訪ねていくという構成でできていますから、知らない作家も出てきます。フランスで有名なジョルジュ・サンドという女流作家のところに、10年一緒に住んだ愛人としてショパンが出てきました。ショパンってクララさんという愛妻がいたんじゃなかったかしらと思って、またウキペディアを見てしまいました。クララさんはシューマンさんの奥さんでしたね。こうして知らないことが次から次へと出てきます。旅のだいご味でしょうか。

 次はイタリア、テレビで見ていた『イタリアの小さな村」と同じです。でも、芸術家はほとんどが宗教と関連していて、どこでもドーモと教会が出てきます。

 次はドイツ、最初に出てきたのは、ルードビッヒのノイシュバンシュタイン城でした。昔、なけなしのお金を叩いて、家族で貧乏旅行をしたときに行ったところです。あの時、熱に浮かされたように行っておいてよかったと思います。我が家のいい思い出ってあれしかありませんでしたから。確か、1989年のベルリンの壁崩壊の前だったと思います。この本の旅人たちも、その前後に旅しているようです。

 ところで、今地球温暖化のせいであちこちで水害が起こっています。ドイツ西部やベルギー等でも多数の死者が出たと報じていました。私たちもライン下りをしましたが、ライン川など、大河はほとんどが国際河川なんですね。何か国もの間を流れているのです。だから、損害も何か国にも及んでしまうのです。

 次のオーストリア・スイスも行きました。サウンドオブミュージックの街ザルツブルグとインスブルックです。スイスではインターラーケンからユングフラウヨッホにお馴染みの登山電車で登りました。でも本で、旅人は同じインターラーケンから、違う山を登っていました。私たちが行ったのは大きい所だけですが、チロル地方の村やハイジの村、ドナウくだりも紹介されていました。アンドレ・ジッドが住んで『田園交響楽』を書いた村の紹介があって、ストーリーも半分書いてありました。読もうか止めようか、悩みます。

 スペイン・ポルトガルのうち、私たちはスペインのサグラダファミリアだけを見に行きました。これは行かないと見れません。その後もサグラダファミリアの工事の様子はテレビで何度も紹介されて、正解でしたが、この本にはバルセロナは出てきません。面白そうな海岸の町や起伏にとんだピレネー山脈のなかの村が出てきます。でもちょっと、鬼才というか、変な芸術家が多いのは、ヨーロッパの端っこで、目立たなければ世に出られなかったからかもと思いました。

 イギリスは、言葉も何とか通じるので、私たちの貧乏旅行のメインでした。今英国ミステリーであちこち映し出されるので、だいぶ行った気にはなっていますし、ちょっと食傷気味でとばしました。

 オランダ・ベルギーは行きませんでした。あの頃は暗いイメージがあったのですが、読んでみると、歴史の重みやヨーロッパの中心という印象を受けました。いつか行きたいと思ってしまいました。

 番外編として、アイスランドの生活、ギリシャの島々、リヒテンシュタイン王国、アンドラ王国、アイルランドが紹介されていました。よだれが垂れます。

 ツアーなら歳をとっても行けるかも知れません。まずは足痛を治しましょう。