2021年10月20日水曜日

 本 棟梁の知恵袋、森谷春夫、講談社、昭和56年第6刷、実用書

 あまり読んだ形跡はありませんが、これは夫の古い本です。

 著者は岩手県生まれの大工さんで、上京し、従軍し、中国大陸で、日本在来工法の良さを実感し、戦後、東京で工務店の社長さんとして多くの住宅を作られた方のようです。今、生きていれば、百歳を超えているでしょうか。

 ですから、欧米のテレビドラマの家を羨ましがっている私にはちょっと違和感があります。例えば、「二間続きの和室を作っておくと便利」などと言われても、家のアレルギー家族が抗菌畳に反応してしまうことを考えれば、絶対にダメです。

 社長さんが長年にわたって蓄積した知識と技は、敬服に値するものです。でも、それを40年後の令和3年に読むと、やはり違和感があるのです。特に素人が読むとです。

 知識とか技術とかはこういうものかもしれません。常に変化しているのです。  例えばカメラ、私たちの時代のカメラはもう誰も使えません。フィルムさえ売っていないでしょう。あれからデジカメになり、携帯やスマホで簡単に撮れる時代になりました。昔は一枚の写真も貴重でした。現像代も高かったし。今はメモリーに保存しておくと現像しなくても見れるのです。

 タイプライターもそうです。昔は大学の必修科目になっているところもありました。和文タイプは会社の書類にはなくてはならず、時間をかけて漢字を探しながら、ミスしたところは修正液を使いながら、書類作成をしたものです。それがワープロになり、今はコンピューターで何枚でも印刷できます。

 夫のカメラはもう捨てましたし、私のタイプライターはとっくの昔に捨てました。

 実用書って、難しいですね。いつまで実用に耐えられるのでしょう。