2021年3月8日月曜日

 自分ファースト

 これは、夫が亡くなったと知らせたとき、アメリカの友人がくれた言葉です。「これからは自分ファーストで生きるのよ」という意味でした。彼女は私より年長で、先に長年介護したご主人を亡くされているため、そのようなアドバイスができたのだと思いますが、私はありがたい言葉だと思いました。あと何年命があるかわからない、悲しんでいる暇はないのです。

 その言葉を頼りに、私は夫の荷物を整理し、捨てて、家を自分の暮らしやすい空間に変えています。倉庫と化していた我が家は、そのまま倉庫にして、他に住むところを探そうかしらと以前、亡き夫とも話していたのですが、今は大分快適な私の住まいの空間になって、引っ越そうという気持ちも無くなりつつあります。古くって時々ネズミやヤモリやハクビシンの訪問に会うのはご愛敬ですが。

 それでも、まだまだ、捨てて、場所を空けるべきところはたくさんあります。ずっとどうしようと悩んでいたのですが、今、全30巻近くある百科事典を少しずつゴミに出しています。これまでの重いゴミの処分で、このごろ、足腰が痛くなって一度にはできなくなってしまったのですが、これはもう使わないし、置いておいても仕方がないと、処分を決めました。

 夫はインターネットをしなかったので、百科事典ほ必需品でしたが、今は誰も使いません。一時は老人ホームにあげれば、使ってくれる人もいるかな、コロナが明けたら聞いてみようかなと思ってもみたのですが、高い入居料をとって、競い合っている介護施設が、そんな使い古しを使うとも思えなくなって、ついに捨て始めました。

 もう一つ、半身不随で芸術活動のできなくなった夫の父が、楽しんで見ていた原色日本の美術、これも30巻近くがあるのですが、これも次に捨てていこうと思います。

 こうして、自分ファーストで自分の場所を確保していくのですが、思い出とともにあるものはある程度心を鬼にしないと捨てられないですね。