英国ミステリー噂話、なぜ、みんな、金持ちなの
以前にも書きましたけど、ポアロもシャーロックホームズも、出てくる人は金持ちが多くって、『なんで探偵業でそんなにお金が入るんだろう』と不思議に思いますよね。あのあと、考え続けて、結局イギリスは国として大もうけをしたから、景気が良かったせいだろうと結論づけました。
でもそんなはずないんです。『生活の世界歴史』第十巻を読むと、貧しい人々はいっぱいいたんです。金持ちに仕えるメイドさんや執事たちもたくさんいまして、メイドは貧しい娘達が手っ取り早く得る職業だと書いてありました。
そう言えば、昔、NHKで、BBC『Lark Rise to Candleford』という、貴族に支配されているラークライズという村で、貧しい農民の娘として育った女の子が、口減らしの意味もあってキャンドルフォードという町の郵便局に働きに行くという設定の物語を放送していましたが、あれは意外と現実に近い物語なのかもしれないと思います。イギリスは『ダウントン・アビー』みたいな世界ばかりではないのです。
コロンボは制作側が意図的に金持ち世界を舞台にして、彼らの鼻を明かす事で、視聴者の胸をすっきりさせるという手法をとったと聞いていますが、同じ製作陣で作られたという『ジェシカおばさん』もそんな感じです。英国ミステリーにもそんな手法があったのでしょうか。
でも、それも不自然だから、視聴者側はかえって、独り身のフロスト警部やブラウン神父やバーナビー警部やオックスフォードミステリー、ウイッチャーの事件簿など、現実に近いような物語の方に引き寄せられて行くのではないかと、視聴者の一人として私は感じるんですが、いかがでしょうか。