2023年6月20日火曜日

 手術!

 コロナ罹患後の味覚障害は有名ですが、私と娘はコロナの半年後に唾液腺の腫れでお医者に行きました。抗生物質を処方していただいて、娘は治ったらしいのですが、私はまだしこりが残っていて、お医者さんに大病院を紹介していただき、検査を受けました。

 若いお医者さんは、しこりは何でもなさそうだけれども、昔手術して取った耳下腺腫瘍のところが再発しているようだから、CTを録ろう、次には針を刺して取って検査をしてみようと言われ、40年前は良性腫瘍と言われたのだから、これで終わりだと元気をつけて、説明を受けにいったら、「今は良性腫瘍だけれども悪性に代わる可能性がある腫瘍です。その下にも何かありそうなので、そちらを穿刺検査してみて、MRIもやってみましょう」と言われました。

 『ええ、良性なら今でなくてもいいのじゃない』と思いましたが、そこは74歳の年の功、「ありがとうございます」と受けてしまいました。

 あとで考えましたが、お医者さんってファイターなんですよね。いつも病気と闘っているのです。だから、見つかった以上、止まっているわけにはいかないようです。ありがたいのか迷惑なのか。

 でも、そう言われて見ると、足が冷たくって血圧が高い、背中が凝るなども、みんな、体の中に腫瘍があるせいかもしれないと、だんだん病気の気分になってきてしまいます。

 でも手術っていやなんですよね。私はこの耳下腺腫瘍の手術を二回していまして、胆石の開腹手術を一回していますが、みんな痛くてしんどいのです。特に60代で受けた開腹手術は若いときに受けた手術とは気概が違いました。

 同じ年代の団塊の世代の人たちが次々に亡くなられる中で、コロナは生き延びたものの、いつ死んでもおかしくない歳です。

 心が揺れていた時、以前に読んだ婦人公論のある記事を思い出しました。『90歳ひとり暮らし、都営住宅で生活費月10万のシンプルな生活とは?BTSの音楽を聞き、夜は晩酌』。ツイッターで『現在20万人以上のフォロワーがいる大崎博子さん。その暮らしぶりは、老後のお手本にしたいアイデアに溢れています』。本にもなったそうです。その中に『実は70代で、胃がんの手術を受けています』という記述があったのです。70代で手術って、珍しくもないのだと励まされました。

 手術前

 で、『なんでその気になったか』というと、『これだけ検査をして、良性だから一年後というと、また同じつらい検査をしなければならない』と思ったのです。あとは前回の時もどんどん大きくなって行ってしまった経験から、『一年後にはもっと大きくなる、小さいうちに取った方が予後もいいかもしれない』、『入院しても一週間だろう』等など。そう言えば、知人も80代で心臓の手術をしたと言っていたっけ。

 やがて手術入院が近づいてくると、なんか本当に病気のような気になってきて、手術をしたら、もっと身体も軽快になるだろうかと考えたり、一週間ゆっくりできる、きっと何もすることがないから、運動をする時間もたっぷりとれるだろうと甘いことを考えたり、楽しみにもなってきました。

 手術後

 手術はそれなりに大変でしたが、コロナ以来の面会謝絶で、看護師さんたちが真夜中も親身に面倒を見てくれました。日に日に、尿管カテーテルをはずしたり、きついストッキングを脱いだり、点滴をはずしたりと身軽になっていきます。

 そうすると、新しく新築移転してきたこの病院は設備もよく、病室のある六階は眺めがいいのです。身軽になると、特別明るくって、眺めのいいデイルームにも散歩に行けます。先生の診察も毎日あり、『こりゃあ極楽だわ』と、のんびりしようと思っていた矢先、「明日退院」と言われてしまいました。手術から四日目のこと、入院期間は五日でした。まあ、元気になったんだから仕方ないです。