2023年2月18日土曜日

 捨て台詞

 もうすでに70を過ぎているのですが、自分の内側から見る自分は、しわしわの顔を見ることもないので、20代の感覚で闊歩しています。時々、おばあちゃんと言われてハッとすることもあるくらいです。

 確かに、歩くのも昔ほどスムーズじゃないし、動きもキレがあるとは言えませんが、『昔からこの程度のものよ』と思えば、そうかもしれないのです。

 先日、いつもの店に買い物に行って、せんべいのコーナーであれこれ見ていた時のことです。いつも買うせんべいがないので、どうしようか、買おうか買うまいか、買うとしたらどれにしようか、など迷いに迷って、せんべいの前をふさいでいたのでしょう、「どいてくれない」と言われました。「あ、すいません」と言って脇にどいた私の前に来た女性は、二、三個選んで、「待ってられない」と捨て台詞を残して行ってしまいました。

 最初に思ったことは、『勢いがあるなあ』ということでした。50代と見える女性は、あまり周りに忖度することもなく、言いたいことを言いながら、生活しているのでしょう。『私にもああいう時代があったなあ』と思いました。

 ここでどっと歳を感じました。まず、せんべいの選択に時間がかかったこと、次に後ろに彼女がいたことに気づかなかったこと、さほど怒りを感じなかったこと。自分にもああいう時代があったことを恥ずかしく感じたこと。

 歳をとるとはいろんなことが一歩引いて見えて来ることなのでしょうが、昔の自分も見えてきて、恥ずかしさと後悔に苛まれるということでもあります。

 これが私の対人恐怖症の原因でもあるのでしょう。そう言えば、どこかに、60歳を過ぎたら、一人で孤独に生きていくのがいいと書いてあった記事があったような気がします。