歳をとると時間の流れが速い
そんな話を昔何度か聞いたことがありました。『そおかなあ、時間の流れなんて、みんな同じはずなのに』と、一応科学的な若者は思っていました。
でも、その若者は『早く大人になりたい、なんでこんなに時間が経たないんだろう』とも思っていました。大人びた服を着て、ぼんやりした未来がやってくるのを心待ちにしながら、毎日鏡を見ていたような気がします。
今になってみると、『もっとやることがあっただろうに』と思うのですが、その頃は好奇心はあっても、いざ踏み出す勇気がなかったのです。親の庇護に甘えてぬくぬくとしているほうが楽ですし、好奇心もさほどでもなかったのかもしれません。
確かに、歳をとってみると、どんどん時間が流れ去ります。この間正月だと思っていたのに、四月、五月はあっという間に暑い八月になり、九月も暑いなどと言っていると突然、衣替えのシーズンになってしまいました。また正月です。
ウクライナの侵攻ももう一年半です。
それで、考えたのです。なんでこんなに速いのかなと。
思うに、この歳になれば、なんでも自分で決めて実行しなければなりません。好奇心が微弱でも、勇気があまりなくってもやらなければならないことはやらなければならないのです。そうすると、やることがいっぱいあるのです。
先日のドアのDIYも、とうとうそのままにしておけなくって、ドアを外すことから始めてしまったのです。ネットで散々どれにしようかと悩んで、色違いの同じものを注文して、十日してやっと届いて、一昨日娘と二人で付けました。減築も入れると、この間半月から一か月、あっという間に過ぎてしまいました。過ぎてみれば速いです。
年の功と言いますが、歳をとると、知識が豊富になり、やり方がわかり、やることが多くなるのです。夢中になっている分、時間の流れが速く、あっという間に過ぎてしまうのでしょう。例えば、芸能生活五十年とかおっしゃるベテランは、「あっという間でした」とよく言われますが、『好き』とか『楽しい』とか思って夢中でやっていると、時間のことなど考えることもないのでしょう。
この『夢中』ということが、時の流れを早くしているのではないでしょうか。退屈している人は、きっと時の流れが遅いですよ。