2014年5月28日水曜日


物語を作る力

 再び、「生活の世界歴史」の話です。一年経ってもまだ読んでいるんです。世界史の基礎知識がないと本当に難しいのです。その中でも、簡単にページが進んで行く巻と、なかなかイメージが繋がらなくって、後戻りしながら読まなければならない巻がありました。
 基礎知識がない事に変わりはないのですが、なぜだろうと思いますよね。これが、筆力というものかと思いました。
 筆力という言葉は、昔から聞きますが、小説家の読者を虜にする力だと思います。『一気に読んでしまった』とか、『読んだあとも余韻が残る』とかいう現象を起こす力の事だと思いますが、じゃあ、どうしたら、そんな筆力は着くのでしょうか。
 昔は集中力だと思っていました。『私には集中力がないから、ダメだ』と思っていました。でも書いているのは、高名な学者さんですから、集中力はあるだろうと思います。
 今回は、空想力、というのもあるだろうと思いました。読む側にも、時代と場所の基礎知識から出て来る空想力が必要だと思いますが、書く側にも、説明しようとしている事象を、物語を作るように描き込んでゆく空想力が求められるのではないかと思いました。
 知識をつなげるだけでは、引き込まれないのです。
 ちょっと余談ですが、今、世の中が世界的に不安定になっていて、片隅に生きている私たちも不安を感じる毎日ですが、この『生活の世界歴史』を読んでいると、何時の世にも、不安定や不安はつきものだったのだと分かります。政治の表舞台に立てば、殺されたり、投獄されたりは当たり前の話で、最近世界を震撼させた、北朝鮮の粛正などよくあった話なのだと分かります。そう言えば、あの殺伐とした日本の戦国時代の有り様もこんなものだったのかと思いました。
 そんな中で、庶民はどう生きるのか、生きたのか、余り参考になる話も見当たらないのですが、『政治は嫌い』と言って離婚したロシア大統領夫人のような生き方になるのでしょうか。