2016年4月8日金曜日


今、ある大きな大学病院で起こっている事

 後期高齢者になった夫は普通に生活をおくっていますが、普通の人に比べたら病人です。
 いわゆる成人病(糖尿、高血圧、カリウム障害など)で内科、脳梗塞で脳外科、それと精神科。ある国立の医療センターに通っていたのですが、そこの脳外科と精神科が経営難で閉鎖になって、その大きな大学病院に紹介されて、やって来ました。
 医療センターに通っていた頃は私も若くて忙しく、『自分の病院くらい自分で行ってよ、だって食べて飲んでしまうんだからどうしようもない』という感じで、協力的でなかったので、医療センターの内科の先生にも諦められ加減で、一緒に移動したのです。
 そこに通い始めてすぐ、十月でしたから、もう八年前になりますか、夫67歳、私59歳のとき、二度目の脳梗塞の発作が起こったのです。通い始めた大学病院の救急センターに駆け込んで、即入院になりました。一ヶ月以上入院させていただいて、やっと退院、そうなると、いくら私でも、知らん顔はできずに、送り迎えしながら一緒に診察に付き合いました。
 そうして8年、脳外科の先生からは何度か、転院の打診はありました。でも、その度に、「何かの時に、同じ病院にかかっている方が安心だから」と、続けての診療をお願いして来たのです。実際、副鼻腔炎の手術をしていただいた時は、あちこちに連絡を取っていただいて、無事に手術する事ができました。
 いよいよダメかなと覚悟ができたのは内科の若い先生が、先鞭を切って、家の近くのクリニックに夫を紹介してくれてしまった時です。もちろん、知り合いのクリニックだったので夫は喜んでいましたし、それよりも若い先生とはあまりしっくりいっていなかったのです。
 でも、脳外科の先生とは八年間のお付き合いでしたし、精神科の先生とは七年間、新しく変わった先生もとてもいい方でした。だから、国立の大学病院の経営が赤字になったというニュースは知っていたのですが、「お薬だけ内科のクリニックで貰って、年に一度検査をしに大学病院に来たらどうですか」という脳外科の先生には続けて診療をお願いしたいと無理を言っていたのです。
 そのとき、です、三月になって突然に「転勤で、他の大学病院に行く事になった」と言われました。同じく、精神科の先生にも、「転勤で」、と言われました。どうしたんだろうと思っていましたら、四月に最初に会った精神科の若いお医者さんが、言いづらそうにそれでも半ば強圧的に「転院を考えてくれ」と言いました。『ああこういう事だったのか』と初めて理解しました。精神科の前の前のお医者さんは、いかにも精神科のお医者さんらしく、こちらが面倒になるくらいこまめに患者さんを診察する先生で、いつも大勢の患者さんを抱えていました。一年前の転勤とは、『患者さんに転院を勧められないで、自分が転勤して行ったのだなあ』と思いました。一年だけお世話になった先生も、やはり精神科の先生らしく患者さんの転院の話はいっさいしないで、自分が転勤して行った訳です。若い新しい先生はポストの変わりに、苦しい役回りを引き受けたのでしょう。
 新しい脳外科の先生にも同じ話をされ、前の先生の勧めてくれたお薬だけ内科のクリニックで貰って、年に一度検査をしに大学病院に来るということで合意しました。さて、精神科はどうしましょう、難問です。