2016年5月8日日曜日


制服のこと

 NHKの特報首都圏で、埼玉県川口市の自主夜間中学の4ヶ月にわたる密着取材を放送しました。元々は、この夜間中学は基礎学力をつけるチャンスのなかった大人に、少しでも世の中を生きて行くのに必要な基礎となる学力をつけてもらうためのボランティアによる自主講座だったそうです。
 ところが今、母子家庭、父子家庭が多くなり、子供を進学させるのも大変になり、お金がない、お金がないと親が言う事が子供達のプレッシャーになり、不登校になり、受験のための基礎学力がなくて、高校を受験できないという子供達も通っているという事でした。
 中でも父子家庭の達也くんと母子家庭の庸介くんに、より多くカメラが引かれていましたが、達也くんはフィリピン育ち、フィリピン人のお母さんは借金を残したまま蒸発。お父さんは肺がんを患って、年金生活。
お母さんの借金を返済しているというお父さんは、15歳になって引き取った息子に、高校の費用を出せないと言ったようです。
 もちろん、言葉と学力の問題もあったのだろうと思いましたが、達也くんはアルバイトをしながら、一年間この夜間中学に通ったのです。そして希望通りの工業高校に合格。ボランティアの元小学校教諭の金子さんが、『どうしても入学時に20万円はかかってしまうんですよね』といいながら、就学支援金や返済の必要のない奨学金の存在を丁寧に教えて行きます。『三年なんてすぐに経ってしまいます。高校までは親の責任で、それからは子供の責任ですよ』と親も教育しながら。
 金子さんが帰った後に、二人は費用の計算を頭と電卓と現金を付き合わせながらします。制服は中学の制服のボタンを付け替えて、校章をつければいいし、鞄は家にあるもので間に合うとか。
 『食費を削らないと行けない』と言っていたお父さんは、ついに『今ここで頑張らないと、後で子供が困るので』と言うようになりました。
 ほとんどしゃべる事のなかった母子家庭の庸介くんは少しずつ自分の希望を言えるようになり、夜間高校に入る事になりました。そして将来は大学にも行って将来はプログラミングの仕事をしたいと希望を口にできるようになります。
 二人とも、やっと将来が見えるようになったのです。
 で、何が言いたいかというと、制服の事です。夜間高校は制服がいらないようでした。
 わが家は母子家庭ではありませんでしたが、どんどん借金をして来るお父さんは母子家庭よりひどい状態でした。その話は前にもしましたが、幸い、私の親が働いていて収入があったので、随分助けてもらいました。が、それとて限度があります。下の娘の入学説明会のとき、高校指定の水着とか、『買わなくてはダメですか』と私は聞きました。隣に座ったお母さんが、『ダメに決まってるでしょ。みんな一緒なんだから』と、困ってしまうだろう先生や一人だけ浮いてしまうだろう娘を慮ったように言われました。私はこの皆一緒が嫌いなのです。私は同じ高校の卒業生ですが、胸にパットの入っていない競泳選手と同じ水着は、太っていた私には何ともいやで、結局一度しかプールに入りませんでした。それも男の先生は横目で見て笑っていました。でも、費用は同じだけかかっているのです。
 シルバーリハビリボランティアの時と同じです。同じ事をしていても、見かけが同じでなくってはダメなのです。
 この皆同じが無くなれば、必要でないものは買わなくってもいいのです。今まであるもので間に合わせる事もできるし、本人に合ったもの、それ以降何回も使えるものをかう事ができるのです。そうすれば、大気汚染にもつながる、大量消費をしなくてもいいのです。
 この制服の問題、何とかならないでしょうか。