最近着るもののリフォームをしていると話しましたが、その材料の中でも気にかかるのは、着物です。昔は嫁に来るときに着物専用のタンスが嫁入り道具の中にありました。いわゆる三点セットで、洋服ダンス、和ダンス、三面鏡です。我が家の娘の場合は経済的な理由から身一つで出しましたが、田舎で、そのころ経済的にお金の回っていた私の両親は見栄もあったのか、一通りの嫁入り道具をそろえてくれました。その和ダンスに中身がないというのは恥と考えてか、めいっぱい入れてくれました。姑もまたその時代の育ちで、裕福な家から来たために、お嫁さんの道具にうるさかったのです。
そういうわけで、私の和ダンスには着物がいっぱい。着方もわからず、手入れの方法とて、うろ覚えなくせに、持ち腐れもいいとこです。ほとんどは仕立ててもらったのですが、中に一つ、高校生の頃に、母が太っていた私のために自分で仕立ててくれて,何回か着た着物と羽織のセットがありました。ウールの一重で、母の好きな紫地に絣の模様がはいっていました。色合いは柔らかなのですが、ウールですから結構ゴワゴワしています。ほかにもウールの着物は引き出し一つ分、袖も通さずにありますが、他のは目に入らず、直すのなら、これと決めていて、先日ついに引っ張り出してきて、まず弱い水流の『ドライ』で洗いました。今はウールでも洗濯機で洗えますから楽です。
それから、まず羽織の紐をとり、体に合わせてみました。一重ですが、お尻のあたりが二重になっていて、肩には滑りのいい裏地がついています。これなら温かいかもしれないと思いました。襟は折り返しになっているのですが、立てると温かくてちょうどいい高さです。それで、襟を立てた状態にして、前を爪式のスナップで止めるようにしました。
袖は切って筒袖にしましたが、そのままでもよかったかもしれません。
着物のほうは襟の下で切って、じんべえさんのようにひもを付けました。昔、『標準服』とか『上っ張り』と呼んでいたものかもしれません。袖は筒袖にしました。前は二重になりますし、肩当もついているので、温かいとは思いましたが、『いしきあて』は外して、一応防寒のためにお尻のあたりに縫い付けました。
さて、切った残りが難題です。なにせ、一重のウールで、ごわごわしていますから、用途も決められてしまいます。二重にして、ショールのようにするか、裏をつけてちゃんちゃんこのようにするか。で、その折衷案として、貫頭衣の前あきを考えました。裏には娘たちの昔のセーラー服のひだスカートをほどいて使いました。あれはウールです。と、いうわけで出来上がったのですが、前見頃と後見頃がばさばさしていて、動きずらい。で、脇の下のほうを五センチほど重ねて縫いました。これで、着やすくて動きやすくなったのですが、前が開いてしまって気になる。そこで、また、爪式のスナップを一個つけて、一件落着、これが一番重宝かもしれません。