2018年6月14日木曜日

色即是空

 『この世にある一切の物質的なものは、そのまま空 (くう) であるということ。「般若心経」にある語。』辞書で引くとこうなるのですが、なんとなく、やはり昔から知っていたつもりの言葉でした。
 でも、なんとなくですが、わかったような気がしたのは、何か月か前、『地方発ドキュメンタリー『クワイ河に虹をかけた男』永瀬隆』というテレビ番組を見た時です。
 私は後半半分しか見ていないのですが、元陸軍の通訳だった永瀬さんが、タイとビルマを結ぶタイメン鉄道の建設で行われた日本軍の蛮行と、敗戦時、帰国する日本兵一人一人に、飯盒一杯の米と蓋一杯の砂糖をくれたというタイ政府への感謝と贖罪の戦後処理を奥さんと二人三脚でする、その20年間を満田康弘さんという方が撮影したドキュメンタリー映画だということです。
 戦争末期のこの出来事は、映画『戦場にかける橋』で語られていますし、何度も放映されていますが、戦後生まれの私は、怖くて一度も見たことはありませんでした。
 その中で、戦後、仏教の修業をしたという永瀬さんがこの言葉について語ったのです。『人間とは価値のないもの、その行動で初めて価値が生まれてくる』というような言葉でした。そのあとの『空即是色』という言葉がこれでわかったような気になりました。
 『その空であることが体得されると、その現象としての存在がそのまま実在であるとわかるということ』という国語辞典の説明ではわかりませんよね。
 戦争というものも一種のパワーハラスメントだなあ、とこの頃の日大アメフト部の騒動を見て思いました。徒党を組んでイジメをしたのです。どんな事情があれ、やらされてしまったほうがもちろん悪いのですが、それを反省して、どう贖罪するかが大事なのでしょう。それが生きるということだったのでしょう。 
  一度は聞いたことがあっても、全く意味のわからない言葉ってたくさんありますよね。それを英語で言われるとなんとなくわかるという経験もしました。ケネス田中さんという武蔵野大学の仏教学の教授のお話でした。テレビの宗教の時間だったかな。私がメモしたもので、正確さには自信がありませんが、
 諸行無常とは「エブリシング イズ チエンジング」、昨日はヒストリー、明日はミステリー、現在はプレゼントなのだそうで、人生は、でこぼこ道、皆、苦を体験する。「リブ ディープリイ」で、自分らしく今を生きるということが大事だそうです。
 涅槃寂静とは、やがて悟りを開く、幸せになるということらしいです。