2018年12月20日木曜日

コート地のワンピースのリフォーム

 大昔の服だったのです。でも捨てられなくって、いつかリフォームしたいと思いつつ45年が経ってしまいました。
 これはコートとワンピースのアンサンブルで、当時、お金のあっ両親が大きなデパートであつらえてくれたものです。コートは何回か着たのですが、厚地のワンピースは二、三回しか着る機会がないまま、体型もすっかり変わって、ずっと箱入りでした。今回出してみても、生地も滑らかで、コートよりずっときれいです。
 でも、ワンピースですから細身です。丈を短くしてもどれだけの布を集めてマチを入れられるかが勝負でしょう。私はもうマチを入れる大家になってしまいました。
 コート地ですから、コート状に前あきにしたかったのですが、とてもその余裕はありません、後ろファスナーのところに10センチほどのマチを入れ、両脇と袖に同じく10センチほどのマチを入れるので精一杯です。それでも布が足りなくて、コートの裾も切って足してしまいました。
 で、それまではいつもの作業で、いつも通り、あまりかっこよくはならないのもいつも通りでした。驚いたのはそのほどき作業中に、白糸と黒糸で縫われていることを発見した時でした。はじめは灰色と黒のグラデーションの生地だったので、気を使って縫ってくれていたんだと思いました。
 でも、よくよく見ると違うんです。黒の裏地にも白黒の糸が混在して使われていましたから。
 で、思い出しました。細身に見せたい私は、縫いなおしを要求していたのです。直した跡がその白糸のようでした。
 わかった時はハッとしました。私も金力に任せてパワハラをしていた時期があったのだなと。若くて世間知らずだったとはいえ、『ばかだったな』と思います。どうせ太くしようと布を足してこんなに苦労するのに。きっと言い返しもできない若い縫子さんにつらい思いをさせてしまったんだろうなと反省しました。
 それと、あまり慣れているとは思えない縫子さんのこれも一種の反撃だったのかもしれないと思ってほっとしたりもしました。もう、45年も前の話です。