2019年6月18日火曜日

マインドフルネス

 この間、NHKの「美と健康の新常識」という番組をたまたま回したら、ダイエット関連の実験をしていたのです。
 被験者は二組に分かれて、片方は四個のチョコレートと感想を書くレポートだけを渡された組、もう片方は同じ四個のチョコレートとレポートと、音声ガイドでした。時間内にレポートだけの組はほとんどの人が四個食べてしまったのに、音声ガイド付きの人たちはほとんどが残しました。
 その音声ガイドがどんなものかというと、「まず匂いをかいでみましょう。形を見てみましょう。一口噛んで、歯ごたえを味わってみましょう。舌の上で転がして、解けるのを感じてみましょう。・・・」といった感じのもののようでした。つまりチョコレートに集中してみましょうという感じです。そうしていると、一つ目はおいしいと思って食べたチョコレートが二つ目三つ目になるともう十分と思えてくるそうです。
 これが『マインドフルネスのダイエット』だということです。要は『味わって食べるダイエット』ということでしょうか。ゲストのおひとりの先生が「僕はワインを飲むときにこれをやります」とおっしゃっていました。「まず色を鑑賞し、匂いを嗅いで、それから一口、口に含みゆっくりと味わう。そういう味わい方をすると飲み過ぎることがなく、悪酔いもしない」ということでした。
 私としてはここまででよかったのですが、そのあとはだんだん難しい説明になりました。
 どうもこれは座禅の無の境地と似たもののようです。禅宗のお坊さんでお医者さんという方が「マインドフルネス」の指導をしていましたが、「目を閉じて、呼吸に集中する」と言っていました。昔、やってみたことがありましたが、長くはできませんでした。
 人間は集中することが苦手です。たいてい、『マインドワンダリング』の状態で、いろんな雑念が頭の中を駆けめぐり、昔のことを思い出して私が叫び声をあげるようなことや、食べながら、何かをしながら、その先にすることを考えているというようなこと、(私はこれを自分の特技だと思っていたりもしたのですが)、だから、一つのことに集中するのは難しいと思っていたのです。こういう雑念には嫌なことも重荷になることも混じっていて、ストレスの原因になりやすいということでした。
 確かに心を一つのことに集中したなら、その中に楽しいことも見つけやすいかもしれません。
 これって、茂木先生の『ランニング』にも、イタリアの小さな村のあの元サッカー選手の『時間を忘れさせてくれること』にも通じるものかもしれません。
 まあ、とりあえず、今、私には食べているものに集中するというマインドフルネスが必要でしょう。何せ、いつもテレビを見ながら食べているのですから。これはいけません。夫も一緒に食べるので、かけないわけにもいきませんからバックグラウンドミュージックとでも考えましょう。
 『今が大事』、ということはこの歳になると、よくわかります。家族との時間を大切にしなければと思います。でも、食事の時、食べるものと同じくらい食べている時間も大切にしなければならないというのは初めて知りました。