2024年6月2日日曜日

 一生懸命する五つの柱のはなし、夫に教わったこと

 私の五つの柱のうちの一つは、ネット古本屋です。これはお金もかかわってくるので、私が社会に接している唯一つの窓です。なので過去にも摩擦は何件かありました。でも、今までは相手方の寛容さと私方の無神経さであまり大きなトラブルにもならずに10年以上やってきてしまいました。

 ところが今回、大問題が起こったのです。「あげた本なので取り下げてほしい」というおしかりのメールが入ったのです。確かに亡夫がいただいた本でした。

 「でもね」と反発心も起きます。

 コレクターの夫が集めたわが家の本は二部屋、三部屋がいっぱいになって物置にまで入っていました。それを捨てたり、古本屋さんに持って行ってもらったり、それでも捨てられなかった夫が残した本で、二部屋分を占領していました。そこに昔英文科の私のもう使わない本。昔ものの私たちは、本は読まなくなってもなかなか捨てられなかったのです。

 それでネットで売り始めたのです。

 社会生活をしていると、どこにでも、トラブルはあるものです。工事期間中でもあり、さすがに慌てました。

 そこで、思い出したのです。昔、交通事故を起こしたときに夫に言われたこと。「起きてしまったことは仕方がない、そのあとどう対処するかが大事。落ち着いて誠実に対処することだ」。不遜な私が40年以上の結婚生活で、夫に教わった数少ないことの一つです。

 それで、取り下げて、『研究書だったので、どなたかのお役に立つかもしれない』と思って売りに出してしまったことへのお詫びとともに「お返ししたい」とメールを送りました。

 実質的にメールの返事はなかったのですが、奥書に書いてあった住所に発送しました。しかし、すぐに宛先不明で返ってきてしまいました。

 「取り下げて、廃棄してほしい」ということだったのだなと、住所を教えてくれなかったことなどを考えると、わかりました。

 出戻りは望まれなかったようでした。でも、夫の言に従って、じたばたとできるだけのことをしたことは、自己満足ですが、『誠実に対処できた』と思えてほっとしています。

 社会って、そういう摩擦の繰り返しのような気がして、いつもびくびくして生きている感じです。