2012年9月16日日曜日

あきない 

 来訪者が来ているのか、いないのか、よく分からない状態で、お店を開いていると、将来が不安になります。このまま、誰も来ないで終わってしまうのか、それとも千客万来になるのか。これは普通のお店の人と同じだと思います。
  まだ開いたばかりだというのに、『十年したら仕舞おうか』などと考えていたりします。そんなとき、夫の言った言葉を思い出します。「商売を『あきない』というのは飽きないでするからなんだ」と言ったのです。
  その時はただ『なるほどうまいことを言う』と思って聞いていたのですが、今は実感として分かります。商売には『飽くなき工夫』と共に『飽きない忍耐』が必要なのです。それがまた商売の醍醐味でもあるのでしょう。そういうアイディアにも辛抱にもあまり自信はありませんが、努力することに意義があるのかもしれません。
  そういう状態で、『古物商の許可』を取るときも悩みました。将来誰も来ないなら、二万円近くは無駄な投資です。でも『後ろには引かない』と思うなら、これは前に進む道です。それで、前に進む道を選んで警察に申請に行ったのです。これが無ければ、商品の工夫に多様性が発揮できないのですから。
  お金がかかりますから、『先ずATMで下ろして』と思い、八時半に警察につきました。ATMもまだ開いていないので、ドアの開いていた警察に先に行き、説明だけでも聞いて来ようと思いましたら、警察も「九時から」と言われ、それでも書類を取り出して来て説明を始めてくれました。
 「ネットショップを始めたのですが、古物を売る為には古物商の許可がいると書いてあったので」と正直に言いました。
  担当の方が、「古物商を始めるには、いろんな書類がいるんだ」と言いました。「つまり、古物を仕入れて売るわけだから、」とそこまで言われたのを聞いて、私のとちょっと違うと思いました。
 「仕入れはしないんです。手持ちのものを売るだけですから」
  「ああ、それなら許可はいらないです」
  何となくホッとしました。担当の方もホッとした様子だったのを見ると、書類というのがそうとう複雑で、大変なのだろうと思えました。
 「良かったね、一万九千円も取られなくって」と言われて帰って来ました。