2013年2月15日金曜日

十日が過ぎました 

 『レア本だ』とばかり、高い値段をつけてしまって、それを注文してくれてしまったお客様がいて、夜も眠れないほど頭を悩ませてしまった三件目が、何ごともなく終わりそうな気配です。
  振り込みはとうとう来ませんでした。来たらどうしようと暇があるとそればかり考えていたのです。
  一週間が経ち、普通はそれで、キャンセルになるらしいのですが、メールだけでも来るかもしれないと、後少し待っていました。でも、十日が過ぎて、やっと肩が軽くなった気がしました。
  顔を見る事のないやり取りで、もっと説明したいとか、言い訳したいとかいう思いもあるのですが、これが、対面の人間関係だったら、もっと気持ちが重く、後々まで尾を引いていただろうなと思います。どこの誰だか判らない、そういう関係で済ませられるのは、精神衛生上も、楽なほうです。
  『すぐに、値下げをしたら、悪いなあ』と思っていましたが、また新しい人がその値段を信じて来てしまってはまずいので、いろいろと理由を書いて、『値下げを断行しました』と書きました。
  やはり、お客さんが納得する値段にしておかなければならないのです。それでないと、お客さんに不服が出るのはもちろんですが、こちらも自責の念に苛まれるのです。今回のように、売れそうな本も、「ちょっと待って下さい」とぐずぐずして売り損なってしまうのです。チャンスは出会い頭にしかないのです。今度こそ、一呼吸で売れるように準備しておきましょう。
  そういうわけで、ついでにいくつかの値下げも『断行』しました。
  そうして、年明けから一層用心深く、本を探して、値段を決め、ショップにアップする作業を続けています。この作業はこの頃楽しみさえ感じるようになりました。いくら社会を避けている私でも、こうして値段を調べて、同じ本が売られていると思うと、うれしいのです。『こんな値段で売っていいんだ』とか、『こんな本はないだろう』と思っていた本があったりすると、何か、自分も社会に肯定されているような、参加しているような気持ちになるのです。それで、ますます、夫の本棚から持って来る数が多くなって、いよいよ50㎆を超しました。