2014年10月24日金曜日


心のさざ波

 若い頃、『随分と馬鹿だったな』と後悔で身震いすることがあります。
 「思っている事を何でも口に出して言う馬鹿がどこにありますか」とよく母に言われました。『でも、何でも口に出した方が、腹に一物が無くていい』とずっと思っていました。
 ついこの頃です、『痛いの苦しいのと言うと、家族が不安になる』という事を知ったのは。それと同時に、心に寄せ来るいろいろなさざ波を、例えば誰かに対する不満などを誰かに言うと、それが黒い不安となって人の心に定着してしまうのです。『気にしない、そうは思わない』と、はね返して言える人はそんなに多くはないと思います。言った本人は忘れてしまっても、聞いた方がずっと覚えているというのもよくある事です。
 だから、心にしまっておけるさざ波は口から先に出さない方が賢明なのです。そうすれば周りにさざ波を立てずに済むのです。目的を持って立てる人の場合は、また別で、そういう人は誰が見てもわかりますから、こちらがわざわざ、口から先に出さなくっても自然に浮いてきます。
 生活に対する不安でも、例えば、先日娘達に、「八月は電気量が多かった、昨年の八月よりずっと多い」と言いました。電気料金は値上がりしていますが、電気使用料が多かったのです。でも、後で何が原因だろうとしばらく考えていましたら、はたと気がついたのです。家の中がカビ臭くって、今年の夏は洗濯機を多いに廻したのです。多分あれが原因だったろうと思いました。その後、娘達に原因を説明するのに躍起になりました。よく考えて、自分の中で解決してから言えば、余分な労力を使わなくて済んだのにと思います。
 このところ戦争地域のニュースをよく見ますが、家を壊され荷物を抱えて出て行く人たちの映像を見ていると、人生は波のない方がよいと思いますね。飽き飽きするほど何も無くって、やる事を探しているというのは幸せな事なのかもしれません。この歳になれば、もうそういう状態でいいのかもしれません。わざわざ波風を起てなくっても、自然災害は選択の余地無くやってくるのですから。