2017年9月5日火曜日

歩く人、続


 随分と馬鹿なことを書いたと反省しています。大きなお世話だったんです。
 あの後、夫と散歩していましたら、ちょうど歩いてきた彼女に会いました。声をかけようかと思いましたが、かけられませんでした。
 いつもは車からしか見たことがなかったのですが、すれ違ってみると、彼女はよろよろしている私たちよりもしっかりと歩いていました。帽子をかぶり、マスクをして、わからないようにしていますが、彼女は多分私たちよりも若いのではないかと思いました。で、声をかけられなかったのです。
 翌日も散歩がてら近くのスーパーに買い物に行きました。二つ三つ選んでレジに行こうとすると、そこに彼女がいたのです。
 なんとなくほっとしました。買い物ができるんだと思いました。経済的にはもちろんですが、買い物ができるほど精神的にしっかりしているんだということです。
 身なりは確かに違和感があります。かまわない人というより、ホームレスの人のそれです。でも、夏なのに臭ったりはしませんでした。しっかりとケアできているのだと思いました。そうであれば、きっと必要になれば自分で助けを求めることができるのではないかと思いました。正直、希望的観測ですが、自分が余計なことをせずに済んでほっとしたのです。
 明日は我が身という言葉がありますが、私が彼女の立場だったら、そんな目でじろじろ見られたら、ひどく傷つくだろうと思います。話しかけるにしても、「よく歩いていますね」と自然に接するのが、正解だと思います。
 この歳になると、友人は重荷に感じてしまうので、多分話しかけることはないと思いますが。でも、秋めいて涼しくなってきたことがこんなにうれしいとは思いませんでした。