2017年12月21日木曜日

欲張り

 刑事フォイルが何度も再放送されて、ポール・ミルナー役のアンソニー・ハウエルも大ブレイクしているようです。
 改めてフォイルの魅力って何だろうなと考えてしまいました。人として『頭がいい』という一言に尽きる気がしますが、必要なこと、必要でないことが整理できて、相手によって、きちんと使い分けられる。その冷静沈着さと切り替えの早さですよね、目につくのは。仕事のできる大人なんです。小人は、頭の中にあることをみんな一緒くたにして、言い訳と共に相手に押し付けてしまう。これでは仕事にならない。つまり集中力ということでしょうか。
 でも、普通の人は小人です。みんなあれもしたい、これもしたいと欲張りなんです。それらがみんな頭の中に渦巻いていて、何でもかんでもしゃべってしまうのです。決められないのです。
 亡くなった女優の大原麗子さんは、これも亡くなった俳優の渡瀬恒彦さんと結婚していた時期がありましたよね。その時、女優を辞めて家庭に入ってほしいと言われたのだそうです。でも、どうしても役者としての欲があって、離婚してしまった。歳が行って、病を得て、一人になった時、渡瀬さんに会いたいと無理を言って弟さんを困らせたそうです。
 結局、選んだ道で成功したのですから、間違いではなかったかもしれないのですが、愛も家庭も欲しかったのです。
 小人の私は家庭も子供も、仕事も夢も、みんなほしいと思っていて、何一つ満足にはできなかった気がします。
 このところ、一生の仕事とは、みんなどうやって見つけるのだろうと考えていましたら、屋根修理を頼んだ屋根屋さんが、「近所の屋根屋にアルバイトに行って、そこで見様見真似で覚えて、そのまま屋根屋になってしまった」と言っていました。『イタリアの小さな村』でも、腰痛持ちの大工さんが、やっぱり近所の大工さんを手伝っていてそれが仕事になったと言っていました。親の仕事を手伝っていて、そのまま後を継ぐケースもあるでしょうし、こういうインターンのようなことをしてから一生の仕事を得るという人の話をよく聞きます。私のように大学を出て、求人募集を見て、フロント係のような仕事について、結局何も身につかなかったのを顧みると、それが正当なのかなとこの頃思いました。
 まあ、これからでも遅くない、私には何ができるのだろう。