2018年2月2日金曜日

残っていない遺産

 ピラミッドや万里の長城、ヨーロッパの繁栄した年の建築のような立派な遺産を見ていると、『ああ、これは栄華の跡、これで苦しんだ人もいるはずだ』と、この頃思うようになったのは、やっぱり歳のせいでしょうか。
  昔、若い頃、古い建築が専門だった夫が、誰かの話として、『大きな建築は搾取の跡だ』と言うことを聞いて、『なるほど』とは思ったのですが、その頃あまり切実に世の中のことを考えていなかったので、知識としてしか考えていませんでした。夫もそうだったと思います。
 でも、それこそお金の苦労も心の苦労もいっぱいして、もう人生も先が見えて来たと思える今になると、そして、ビットコインや実業家、政治家として成功した人たち、飴と鞭を使い分けるトランプさんのような人たちを見ていると、『本当にそうだな』と思えてくるのです。
 インフラ整備は本当に有り難いです。貧しい私達の生活を豊かにしてくれました。でも、恐怖の産物の大きなお城や、立派なお寺は必要だったでしょうか。やっぱり、今は残っていない、武田信玄のつつじが崎の館は,信玄の治水工事とともに、遺産として語り継がれるべきだと思います。
 立派な世界遺産がいっぱい指定されていますが、きっと世の中にはそういう見えない遺産もいっぱいあったはずです。見えない遺産,弱者の為の遺産も登録してほしいものだと思います。