近頃のユーチューブ、タイヘイトリオ タイヘイ夢路さん
ある日、突然、ユーチューブにタイヘイ夢路さんの『浪速春秋』という歌が現れたんです。私の年代だったら、まだテレビでタイヘイトリオさんの漫才を見たことがある人は多いと思いますが、歌謡漫才です。で、聞いてみたのです。春団治さんのお姉さんのおあいさんの目線で歌われた、いわゆる浪曲歌謡でした。あの頃、浪曲歌謡は結構あったんです。
他にもタイヘイトリオさんの漫才の動画があって、そこでは相方の糸路さんが「私らはテレビ久しぶりに出してもらうけど、あんたはいつも出ているから…」といったような嫌味を言っているところを見ると、夢路さんのこの歌はヒットして彼女は歌番組にも進出していたのでしょう。
私がこの間書いた都はるみさんの『浪速恋しぐれ』は春団治さんの奥さんの目線で歌われていたのです。歌に歌われるようなそんなに有名な人でも、年代的にも距離的にも遠いとまるっきり知らない人なので、まず、この春団治とは誰ぞやとウキペディアで調べてみました。初代、二代、三代、四代とその前の零代もあるそうで、この何代目の人なのかと探検家よろしく探していきました。まず読んだのは二代目の記事。でも、この人の記事は家族関係が違いました。では零代か、初代か。零代は若死にしたそうですので、やっぱり、初代ということになりました。小説にも芝居にもなって、森繁久彌さんや藤田まことさん、藤山寛美さん等が演じたそうです。その中のエピソード、どこかで見たことがあると思っていましたが、NHKの朝ドラの「わろてんか」の中に出ていたものだそうです。
で、私が興味を持ったのはタイヘイ夢路さんなのです。多分浪曲の修行をされたのではないかと思われるほどの声量と節回し。これも芸術の域です。歯が欠けている映像もあったのですが、声だけは何の変りもなく出ているのです。もう、多分お亡くなりになっているだろうと思いましたが、どんな生い立ちでどんな修行をされたのか、気になって調べてしまいました。
名前を入れて調べてみると、『タイヘイ夢路さん(たいへい・ゆめじ=漫才師、本名辻本節子〈つじもと・せつこ〉)が7月31日、肝硬変で死去、88歳。葬儀は近親者で営んだ。』(2018年)という記事が目に飛び込んできました。『昭和30年代から40年代にかけて一世を風びした浪曲漫才「タイヘイトリオ」のタイヘイ夢路』というのもありました。私が小、中学生のころです。
さらにウキペディアを見てみると、『一時満州で軍事浪曲で満州日出丸を名乗って売れていた浪曲師兼興行師京山愛朝の娘で、少女浪曲師として4歳から朝日博子の名前で舞台に立つ』と書いてありました。やっぱりだったのです。あの声は普通の人では出せるものではありません。
さらに読んでいくと、まるでミステリーのネタバレのようになってしまってもいけないのですが、糸路さんはお姉さんだそうです。最初にドサ周りの巡業で知り合った夢路さんと洋児さんが夫婦浪曲漫才を始めたそうです。そこに糸路さんが加わってトリオになり、やがて事業に失敗した洋児さんが失踪。原児さんを加えて再出発したようです。
やがて、糸路さんがソデに回りと書いてありましたが、ご主人と音楽活動をしていたようです。原児さんも司会業や歌手などに道を見つけ、夢路さんも歌手やバラエティ、俳優業もこなし、活躍していたようです。夢路さんが亡くなると糸路さんも同じ年の次の月に亡くなったようです。春団治さんも含めて、みんな生き切ったという感じでしょうか。