教科書に載る話 未来のために働いた知事として
昨年の兵庫県知事選の時、あまりの逆転劇に 『これはドラマになる話だ』と思いました。実際にドラマ仕立ての動画を載せている人もいました。
そのあと、兵庫県議会に出席した斎藤知事に対して、「さいてい知事」と第一声で呼びかけた議員もいました。あの時は県議の名前もわかりませんでしたが、今思えば、伊藤すぐる議員だったと思います。
全会一致で不信任して、思いもかけず110万票という県民の負託を受け、ゼロ打ちで再選された知事に対して、ほとんどの県議が全く友好的でない質問をしていました。
それはマスコミも同じで、たたきにたたいた知事に手のひら返しの味方はできなかったのか、それとも、義理ある人に頼まれてなのか、いつもいつも大変な荒れた記者会見になってしまって、見ている一般ユーチューバー達が、「週一で行われている定例会見を月一にして、あとは動画で流せばいいんじゃないか」と、何人も提案していました。
でも知事は、毎回、同じ質問を執拗に繰り返す記者たちに、顔を曇らせながらも丁寧に説明を繰り返していました。
昔、子供のころ、大人たちが「新聞記者だから」と侮蔑的に言っていたことを思い出して、『ああこれが新聞記者の真骨頂なのか』と納得しました。テレビ画面の華やかで穏やかな洗練された語りとは全く違うのです。「イエスですかノーですか」と、自分が誘導したい答えを知事が言うまで、しつこく何回も繰り返し聞き続けるのです。まさに冤罪を作ってしまう警察の誘導尋問と同じです。しかも、私が聞いたときは、質問をしていたのはNHKの記者でした。天下のNHK、国民が最も信頼するNHKです。本当に裏切られた感じでした。
斎藤知事は声を荒げることもなく、遮られながらも、同じ答えを繰り返していました。こんなのを見せられたら、誰だって「斎藤知事頑張れ」です。
斎藤知事を応援する人たちの中にも、「知事はもう少し強く出てもいいのではないか」「けんかをしてもいいのではないか」という意見もありましたが、最近は「知事は時間をかけてゆっくりと変えようとしているのではないか」という意見も多くなってきました。一期目に性急に改革を断行したのが、兵庫の闇の勢力の「虎の尾を踏んだ」と高橋洋一さんも分析していましたが、その反省を踏まえてでしょうか。
ゆっくりでも『全国最下位だった、兵庫県の教育費を必死に捻出しようとしている』知事は未来世代の支持を得るはずですし、決して人の悪口を言わず、『いつかわかってくれる人が現れて、味方になってくれる』と訓示をする知事は、いつか教科書に載る知事になると思います。