2014年12月3日水曜日


母の一年忌

 母の一年忌を少し早めにすると、弟から連絡があって、黒い服が着られるかしらと心配しながらその日を迎えました。
 その他にも思い煩う事はいっぱいありました。田舎の法事ですから、親戚や組内の人たちが大勢来ます。全く知らない人たちや年に一度か二度しか会わない親戚の人たちにどんな挨拶をしたらいいのか。人見知りの娘は更にいやがりました。知っている人なんてほんの数人だからです。
 葬式のときはもっと悲惨です。母は大往生だったとはいえ、葬式ですから、みんなと楽しいおしゃべりをするという訳にもいかず、無愛想な演技を一日続けて、みんなに悪い事をしたとずっと思っていました。
 あれ以来です、わが家では葬式はしない,お墓は作らないと常々申し合わせをしています。
 でも今度は法事で、実家でご招待したお客様達なので、おもてなしをしなければいけないのだから、楽しく過ごしてもいいのではないかと思いました。弟も、お客さんに、飲み物を注いで回れと、気の利かない姉に時々命令しにやってきます。
 そういう訳で、知り合いの人たちに目一杯話しかけて、お葬式のときの穴を埋めるように楽しくおしゃべりをしました。
 話題を探すのも大変です。同じように胆石の手術をした従妹には手術の話、叔母さんの旅行の話を聞いて、御健康を祈り、近所でお世話になった人たちには感謝の言葉を述べ、母の実家の従姉妹達には、気楽な日常を装っておもしろおかしく話し、向かい合いの席になった父方のハトコ達とは一生懸命話題を探して、ダイエットの話、放射能の話、それでも話題が途切れてしまうと、日常している好きなものを聞き出しました。
 その中の一つ、初めて会ったハトコのお婿さんの、「毎日ぬかみそをかき回しています」と言う言葉に感激しました。私達を見ると,遺伝的ではないにしろ、みんな太っていて、血糖値が高いの、高血圧だの、中性脂肪が異常値だなど、異常ばかりなのです。でも彼は、年齢的に私より上そうなのに、体系は普通、肌はすべすべ、食べ物に好き嫌いはあるようですが、甘いものはほとんど食べない。じゃあ、「何が好き」というところから,ぬかみその話が始まったのです。奥さんにしてもらうのではなく、自分でするというところにますます感激しました。
 その帰り、イオンによって、ぬかみそ漬けの材料一式を買ってきました。これがこの日の落ちです。一日のおしゃべりの大収穫になるかどうかは私のぬかみそ漬けが続くかどうかで決まります。